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  越後ジャーナル
  パルジェ
合併賛成派敗れる 混迷する県央の政治 2003・10・31

 新潟県燕市が、三条市など4市町村と合併することの可否を問う住民投票が、10月26日に行われ、即日開票の結果、反対派が、1万2504票、賛成派が1万1783票で、721票の僅差で賛成派が敗れた。

 これにより、燕市は、「政治生命を賭けて戦う」としていた高橋甚一市長は引退するだろうし、改めて市長選挙が行われる。新しく選ばれる市長は、合併問題について、どのような政策を打ち出すのだろうか。

 吉田町との合併については、全く白紙からの取り組みで、三条市との合併に反対しているが、吉田町との合併には触れていない日本共産党の市議団と、合併については町議会が複雑な、吉田町の動きが注目される。

 一方、三条市など4市町村は、現在、取り組んでいる4市町村での合併協議会設立準備会の事業計画を積極的に推し進めていくことになる。燕市の合併反対派の勝利が、4市町村の合併推進に何らかの影響を及ぼすことは必至。それを乗越えてこそ、新しい市を誕生させることができるだろう。

 それにしても、三条市と燕市が、とうとう平成17年3月までには合併できないことになった。ということは、扇の要のような須頃地区を中核として、南蒲原郡と西蒲原郡が協力しながら、県央の中核都市を形成する夢は夢で終わることになる。

 今回の燕市民の判断は、これまで、長い間、県央11市町村、あるいは燕市と三条市が、一緒になって行政的な課題と取り組んできたことを半ば覆すもの。はなはだ疑問だ。

 三条市と合併したくないという燕市民の感情が根強い以上、やむを得ないことだが、長い時間を掛けて育ててきた燕市民と三条市民の交流、人間関係は、極めて複雑になる。これから、両市、あるいは県央11市町村が関連した行政課題の解決には時間が掛かることになるだろう。

 須頃地区の真中に、これまでも、目に見えない壁があって、地場産センターの運営などで、ギクシャクし、し尿処理場の建設なども、なかなかスムーズにいかない。合併によって一気に解決するかと期待されたが、これまで以上に難しくなる。

 政府が、幾つもの市町村に関係する行政的な課題を、その都度、異なった市町村の組み合わせで一部事務組合をつくって取り組むよう指導してきた。ゴミ焼却場や、し尿処理場、火葬場など、規模の大きな投資を伴う事業については、一部事務組合で行うので便利だった。しかし、これが逆に、市町村合併を難しくしているのだろう。

 いずれにしても、週明け早々から、燕市と、三条市など4市町村のそれぞれの動きが活発になる。国政は、10月28日に総選挙が公示され、11月9日に投票が行なわれる。

 構造改革を謳い文句にしている小泉首相の率いる自民党は、民主党に勝てるのか。大衆受けしやすい高速道の無料化などを掲げる民主党。実現の可能性を疑うよりも、聞こえのいい言葉を市民は受け入れようとする。

 燕市の住民投票の結果を見せつけられた後、総選挙の行方を考えていると、国民、市民の判断力を疑いの目で見てしまいかねない。それが、地方の、あるいは日本の政治の方向を決めるのだから怖い気がする。





燕市の住民投票に注目 進む県央の都市基盤づくり
 2003・10・24

 ようやく、国道8号線の4車線化に伴う、三条大橋の新橋架設工事が完了。11月中旬、全線開通の予定で、従来の三条大橋を、整備のため、ここ数日、交通止めにし、車は新橋部分を通過している。いよいよ、新潟県県央地域のド真中を縦断する国道8号線の拡幅工事も、三条市大島地区、栄町地区を残すだけだ。白根市内のバイパス工事、大野大橋の4車線化工事も並行して進められており、これが終わると、長岡市、三条市、新潟市を結ぶ大動脈の4車線化が完了する。

 国道8号線も、長岡市内では、市街地を走っていた従来線に対して、東側にバイパスを造ることで、交差点の少ない高規格化に成功。三条市でも、当初、バイパスを造って、燕三条駅前を通す案もあったが、信濃川に新橋を架けなければならないことや、須頃地区は土地区画整理事業を終えて、バブル期には地価も暴騰していたことなどで、バイパス計画を断念。現線4車線化で工事が進められてきた。

 新橋の完成に合わせて、それに続く三条市須頃地内の国道8号線も舗装し直し、電線、電話線も地下に埋設されて、広い空を遮るものもなく、両サイドには大型店、専門店チェーンが並び、県央地域のモデル空間といってもいい佇まいを見せている。

 須頃地区だけを考えると、少し東側に片寄っており、信濃川と国道8号線の間の土地が狭く感じられる。しかし、燕市側や、まだ農地が多くを占めている上須頃などの今後の発展の可能性を考えると、高速道、新幹線と合わせ、まさに、県央地域の大動脈に相応しい形になった。

 これで、信濃川下流に100年の大計である国道289号線新橋が架設されれば、まさに、弥彦村から吉田町、燕市、三条市、そして下田村から福島県境へと通じる県央地域の横の大動脈となり、国道8号線と国道289号線が須頃地区でクロスすることになる。

 もちろん、田上町や加茂市も、目下建設中の国道403号線バイパスによって、三条市街地、須頃地区と直結する。403号線は、栄町を通って、中之島町、与板町へと通じる。

 一方、燕市など西蒲原郡側も、主要地方道燕分水線の県央大橋の完成によって、須頃地区に直結する大動脈が完成。国道289号線も、中ノ口川に仮称旭大橋を架設、バイパスを完成させることで、燕市の灰方方面、吉田町へと通じる。

 さらに、国道289号線、主要地方道燕分水線が、西蒲原郡を縦断している国道116号線と国道8号線を結ぶことになり、これらが完成することによって、名実ともに、県央地域をひとつのまとまった都市にする基盤が完成する。

 信濃川と中ノ口川の二大河川によって、長い間、分断されてきた南蒲原郡と西蒲原郡の市町村が、近い将来、世界に誇る商工の都市として、新潟県の中央部で新たな発展を遂げることになる。

 小さな世界に目を奪われていては、激しく移り変わる世界情勢に、県央地域が対応できなくなる。燕市で所要を済ませての帰り、舗装し直された国道8号線を走りながら、県央地域の地図を思い浮かべ、鳥になった気分で俯瞰すると、なんで、「ことここに及んで合併問題で燕市民が二つに割れて争っているのか」と不思議に思える。

 燕市が三条市、栄町、田上町、下田村との合併を果たすことで、次には吉田町が合併してくるのは明らかだ。吉田町が抱える下水道事業は幹線を除いて全く手が付けられていないなど、吉田町の財政は苦しくなる。県が廃止を決めている県立吉田病院の今後の対応をどうするのか。吉田町だけでは対処し切れない問題が多く横たわっている。

 合併反対を唱えている小池清彦加茂市長も、すでに、加茂市の行財政が行き詰まりを見せており、語気だけは日増しに荒くなっているものの、内容は弱気になっている。合併しなければ、ゴミの焼却、水道事業などさまざまな住民サービスを維持できなくなる。

 大通川周辺の広大な工業団地群を毎日のように車で走りながら、今こそ、三条市と燕市がガッチリと手を組み、新しい県央地域の中核都市づくりに向けて進まなければ、将来に禍根を残すことになると痛感する。三条市などとの合併に賛成する市民の運動は日増しに盛り上がりを見せているが、三条市民としても、燕市の住民投票の行方が気になるところだ。





燕市並びに県央の未来決する 住民投票本番で激しさ増す攻防戦
 2003・10・23

 燕市はもちろん、新潟県県央地域の未来を決める、旧県央東部5市町村での合併の是非を問う燕市住民投票が16日告示され、26日の投票日に向け、合併そのものに反対の日本共産党所属の市議を含む市議10人の反対派と、同じく10人の賛成派の両陣営は、チラシを配布し、幟を立てるなど市民への意識付けを図っている。また記者会見、決起集会、ミニ集会などを重ねて、自陣営の主張を市民にぶつけ、半分、相手のイメージダウンを狙う中傷合戦の様相を呈している。

 歴史に残る重要な選択にもかかわらず、両陣営とも、わかりやすく、かつ決定的な材料を持たず、もともと、選挙には熱を上げるが、行政には関心の薄い市民性から、なかなか運動は浸透していない。特に燕商工会議所青年部が、中立の立場で、合併に向けて重い腰を上げないし、もともと、県央20万都市の建設を目指してきた燕三条青年会議所は、三条市在住の会員も応援活動をしているが、燕市在住の会員数が少ないこともあって、盛り上がりはイマイチ。

 この市町村合併は、巨額の負債を孫子の時代に先送りせず、少しでも、国、県、市町村の組織をスリムにして、維持費を抑制、国、県、市町村の負担を軽減しようとする行政的な構造改革のひとつ。

 国から県、市町村へ交付される地方交付税交付金や補助金が減額され、少子高齢化で生産人口が減少するため住民税などの税収が落ち込むことが予測されるなかで、現在の住民サービスを維持し、さらに新しく生じてくる住民サービスの要求に応えられる体制にしようとするもの。

 「合併すると地方交付税交付金が減らされる」という、官僚的な発想で合併推進に反対している小池清彦加茂市長などもいるが、もともと、借金地獄の国の負担を少しでも軽減するため、地方交付税交付金、補助金などを減らさざるを得ないので、減っても対応できる、極力自立した市町村行政を進めていくことが合併の主目的。

 旧県央東部5市町村では、日本共産党の市町村議員が、合併反対の主張を繰り返している。資本主義と真っ向から対立し、財源問題を無視し、富裕層に税負担や税外負担を多く求め、弱者への手厚い福祉、教育などの支援を主張しているのだから、合併に反対するのも、同党の主義主張に合っている。

 ただ、燕市の市議だけは、「合併に反対ではない」と、日本共産党としては、例を見ないスタンスを取っている。合併は必要だが、三条市など旧県央東部との合併よりも、西蒲原郡の吉田町との合併を優先すべきと主張する、川上靖夫、星野義則、大岩勉市議らと共同歩調を取っていることが理解しがたい。

 日本共産党としては、吉田町との合併にも反対の立場を取るべきところだ。したがって、記者会見などでも、「吉田町との合併には賛成」とは言っていない。まず、旧県央東部での合併を破綻させ、次に、可能性のない吉田町との合併も、市民の同意が得られないという形で、破綻させる戦略だろう。

 なぜ、吉田町と燕市の合併が難しいのかというと、燕・西蒲原地域で、大同合併しようとした農協のJA合併で、燕市の農協が最終的に抜けた。また、登坂健児元市長が、広域消防を実施しようと計画を進めていたが、杉山光映前市長が、これを破棄して、西蒲原地域から脱会して、同じ施設を導入するという、合併とは逆行する政策を取った。

 今ごろになって、燕市と吉田町を不仲にした杉山前市長が吉田町との合併を言い出すことも、農業関係者が、吉田町との合併を主張するのも、政治的な流れを知る市民には奇異に映る。

 故金子勝吉田町長が、高橋甚一市長の「燕市と一緒に」という勧めを、吉田町議会が燕市を信用していないから無理だと言下に断ったエピソードはあまりにも有名だ。吉田町が西蒲南部の合併から脱会して孤立同然になって、初めてことの重大さに気付き、故金子町長、泉光一町長が、燕市にエールを送り始めたことを考えると、燕市と吉田町の合併は、極めて厳しいと言わざるを得ない。

 吉田町の町議と燕市の市議らが、懇談を重ねても、合併の方向は全く見出されていない。むしろ、燕市が旧県央東部へ復帰することで、吉田町と同じく西蒲南部の合併から脱退した岩室村が、既に新潟市への合併を決めて進んでいるなかで、吉田町は、西蒲南部と旧県央東部のどちらを選択するかを決めざるを得なくなる。

 果たして、燕市民が、単純に「三条モンが嫌い」というストレートさで、このたびの旧県央東部への復帰を果たさなければ、高橋甚一市長も辞任し、新しい市長を選ぶことになると同時に、困難が多く、なおかつメリットの少ない吉田町との2市町の合併の長い道のりをゼロから模索していかなければならないことになる。

 合併して困るのは、主義主張に合わない日本共産党と、まだ連綿と市議の椅子に執着している一部の議員、特別職などだろう。しかし、もう理解しなければならない。新潟県が上、中、下越に大きく3分割されようとしているとき、県央地域は独自の金属産業を抱えて、中越、下越と異なった行政のあり方が求められていることを。

 10月26日の投票日には、高齢者も若者も、燕市民がこぞって投票所に足を運び、意思表明をして欲しい。住民投票などという意思表明の機会は、議会制民主主義の日本では、そうざらにないことだし、あってはならないことなのだから。





マニフェストも結構だが どうする税収上回る?国債発行 2003・10・21

 国会が解散し、10月28日公示、11月9日投票の日程で、各陣営が、「マニフェスト」(政権公約)を掲げながら実質的な選挙戦に突入。国民の関心も、毎日新聞の世論調査では「政策を軸にした選挙になると思うかどうかを聞いたところ、『なる』が49%で、『ならない』の41%を上回る」という。そのこと自体はまことに結構なことだ。各党のマニフェストを中心に国民は判断を迫られることになる。

 今が、自民、民主の2大政党時代を迎えるかどうかの重要な時期。果たして、両党が政策の中心に掲げ、国民に約束している郵政事業民営化や道路公団民営化、あるいは、首都高を除く高速道の無料化、そして年金制度の抜本的な見直しなどが、最大の国政の問題なのかというと、実はそうではない。

 これらは確かに国民生活に直接影響する重要な問題ではあるが、日本の国が抱えている最大の問題は、国家財政の破綻なのだ。自民、民主、あるいはその他の政党が、これまで、国民の人気を得るために、景気回復のための公共投資、手厚い福祉など、与野党馴れ合いと言い切ってもいい、ばら撒きの政治を続けてきた結果、日本の財政は、抜き差しならないところに到達している。

 長期政府債務残高が、国民が働いて稼ぎ出す国内総生産の95.7%に達し、この比率が米国の51.9%、英国の40.0%、独国の34.8%、仏国の30.8%に比べ異常に高いことについては、すでに本欄でも紹介した。

 財務省の見通しでは、経済回復が遅れた場合には、2004四年度の税収が41.6兆円に落ち込み、一方で、公共事業の伸びを抑えても、発行済みの国債を償還する国債費、社会保障関係費が増加し、同年度の国債発行額が42.1兆円に膨らみ、国債発行額が税収を上回ることになるという。

 大手企業の景気回復、株価の上昇などで、やや税収が伸びる可能性もあるが、大手金融機関が、公的資金の導入を図りながら、不良債権の処理を進め、東証、大証の上場企業など大型倒産が続出している。

 不良債権処理が本格化するのは、これからだし、米国経済の先行き見通しの暗さから、円がドルに対して少し強さを見せれば、たちまち株価が下がるなど、米国への輸出依存度の高い日本経済の足腰の弱さが、先行きの景気に不安を覗かせる。

 いずれにしても、日本政府が、バブル景気とその後の緩やかな景気後退の時期に、福祉と公共投資の大盤振る舞いをしたツケは、予想以上に、深い傷跡を残している。国債を増発すれば、日本の財政が破綻する。いや、すでに破綻しているといえるが、いよいよ抜き差しならない事態となる。国債発行額を抑えれば、景気回復が遅れ税収が落ちる。悪循環である。

 そのことをもって、国民を甘く見ているとしか言いようのない、「日本は、緊縮財政ではなく、もっと国債を発行するなり、消費税をアップして、財政投資による景気刺激策を試みるべきだ」という飴玉の政治政策には、にわかに賛成しがたい。

 一日も早く、公共機関の構造改革を進め、小さい政府、小さい地方自治体を構築して、政府、地方自治体の維持費を抑制して、その分、借金の返済と事業費の増加の財源に振り向けるしか方法はない。

 小泉内閣は、3年間は消費税を上げないという。その前に、やるべきこととして、急激な構造改革を迫られている民間に比べ、まだまだ実効が上がっていない公共機関の構造改革と行き過ぎた福祉政策、補助金政策の改善を行わなければならない。

 国民も、そろそろ、政府におねだりするだけの姿勢を改めなければならない。日本人の甘えの構造が指摘されて久しいが、今や頂点に達している。政治家の無責任さはひどい。日本人が負担している国民所得に対する租税負担と社会保障負担は、現在でも、38.3%と、米国の35.9%を上回っているのに、財政は借金地獄なのだ。

 マニフェストも結構だが、この借金地獄をどう解決するのか。国民にツケを回す以外に知恵がないから、国民は、将来が不安で、高齢者はバブル景気の時に貯め込んだお金を、怖くて使えないのだ。

 ましてや、年金の崩壊を目の前にして、高齢者予備軍は、子育てが終わっても、なかなか、のびのびと暮らしをエンジョイできないでいる。日本人の政治音痴が、政治家を腐らせてきたとも言えるのだ。政治家が日本を、あるいは地方自体の行政をリードして行くのが本質だと思うが。マニフェストという言葉に酔って、中身のない政策を唱えている政治家の顔を見ると、「焦点が少しボケていませんか」と聞きたくなるのは小生だけではあるまい。





構造改革路線続行で 「借金棒引き」の可能性なし 2003・10・9

 小泉首相が、自民党総裁選で圧勝し、小泉第2次改造内閣が発足。今後も、「構造改革路線」が続くことが九分通り決定。あとは、10月10日に予定されている国会解散、総選挙で、自民党が勝てば、100パーセント、その方向が確定する。

 核兵器も化学兵器も見当たらず、「理由のないイラク攻撃は侵略戦争だった」と国際社会、ひときわ、アラブ諸国の批判にさらされているブッシュ大統領率いるアメリカは国内経済の陰りを払拭できないまま。

 イラク戦争遂行という大きな代償を払い一時的にはイラク支配で優位に立ったかに見えたアメリカのブッシュ大統領と、イラク情報を誇大に捏造したとして批判を浴びているイギリスのブレア首相を相手に、フランス、ドイツ、ロシアなどヨーロッパ諸国は、国連という国際舞台で、逆転ホームランとまではいかないが、徐々に、影響力を盛り返している。

 そこで何が起こったか。為替相場は、決して、好況とは言えないヨーロッパ各国だが、ユーロは米ドルに対してさらに強くなり、円に対してもやや強くなっている。また、円も、弱いドルに対して、円高基調にある。

 日本の経済は、輸出の好調さから回復基調にあるとされているのだから、通常であれば、円高で、逆に、景気回復にブレーキがかかるはずなのに、円高が進んでいる。これは、ブッシュ大統領の再選の可能性が弱まっていること、小泉第2次改造内閣がスタートしたことで、日本の経済政策が引き続き、危なげない構造改革、緊縮財政路線でいくことが決まったという、世界の経済を牽引している2国の近未来の政治、経済予測の相違による。

 そして、国内では、9月末から10月初めにかけて、上場企業などの大型倒産が続発している。「夜明け前が一番暗い」というのとは、いささか違っている。倒産している企業を見ると、これまでの、バブル期の過剰な不動産投資による倒産に加えて、バブル期に、将来の発展性を過大評価して、金融が緩んだことを幸いに自己資本に見合わない過大投資に走った企業が、その後の長い不況のために売上げを落とし、資金繰りがつかなくなっているケースが目立つ。

 中小企業にも言えることだが、これまで、金融機関が、融資先が減少し、預金に対する貸出しの比率「預貸率」の低下するなかで、余裕の資金を、行き詰まった企業に融資し、支え続けてきた。しかし、ここにきて、亀井静香元政調会長の一派が言う、国債の増発による公共投資の復活、すなわち貨幣価値の下落による実質的な「借金棒引き」の政策はもはやあり得ないし、国民も支持していないことが明らかになった。

 戦後の経済をリードしてきた70代、80代と、これから高齢化社会の中核となる団塊の世代の政治的な確執でもある。もはや、これ以上、借金を増やして、そのつけを、40代、50代、あるいは、20代、30代に回す、問題先送りの政治にノーと言っているのだ。

 この姿勢は、長期間、借金が返済不能に陥っている企業に対して、金融機関が、「再起不能」のレッテルを貼って、終止符を打ち始めていることにも見て取れる。もちろん、金融機関も、不良債権に対して、儲かっているうちに、利益の中から税金を払って、貸倒引当金を積み増してきた。

 不良債権が過大な大手金融機関に対して、政府は、金融不安が引き金となって、日本経済が壊滅的な状況に陥ることを避けるために構造改革を行なうように指導。巨額の国費を投入して金融再生のため必死の努力をしてきた。

 むしろ、自己資本比率の高い地域金融機関は、地元企業との共生を謳い文句に、経営が悪化した企業に対しても十分過ぎるほど面倒を見てきた。もちろん、担保を確保し、保証協会の保証を付けながら。

 バブル期に規模を拡大し、多くの借金を抱えた企業も、多くは、その後の10年間、規模縮小も含めて、健全経営を続行、新商品の開発、新規市場への参入、新規顧客の開拓などで、減少する国内消費、中国などの追い上げによる国内商品のシェアの減少などに対処。再生の道を歩んでいる。

 過剰に負債を抱えている企業が、構造改革も間に合わず、再生の道が見出せないまま、資金不足で倒れている。それが今の状況だ。借金による拡大路線を走りながら、過当競争で、その割に利益が上がらず、新規開店による売上げ増加も限界に達している各種チェーン店が行き詰まっている姿は、バブル期以後の新たな倒産パターンだ。「退くも地獄、進むも地獄」の過当競争社会の現実が、徐々に見えてきている。





燕市住民投票、両陣営スター
 2003・10・2

 新潟県燕市が、三条市など4市町村と合併した方がいいか、すべきでないかを問う住民投票が10月26日(日)に行われることになり、合併賛成派の「合併賛成に○をつける会」と、反対派の「反対に○をつけに行こう会」の二つの組織が、事務所を構え、市民運動に取り組み始めた。

 「反対に○をつけに行こう会」は、川上靖夫元議長ら合併に反対してきた市議会議員が中心なだけにまとまりがよく、合併反対の共産党も加わっており、早くも手作りのチラシ作戦を開始。

 県央東部合併の中身を知る人には、その極端な表現内容が「市民に誤解を与える」と映っているが、合併の内容を知らない、あるいは合併に興味がない市民には、強いインパクトを与える可能性が高い。

 「合併賛成に○をつける会」は、合併実現に政治生命を賭けている高橋甚一燕市長、合併賛成で進めてきた大山治郎前議長ら市議会議員、同市長の選挙を戦ってきた後援会、区長連盟、燕商工会議所を軸にした業界など、支持母体が多く、それだけに、まとめるのに手間取っている。

 議員団は、大山前議長を会長に選んで、実質的にスタートするなど個々の組織は動き始めているが、全体を取りまとめる会長の人選などで苦労してきた。適任者を選んで打診し、さまざまな理由で断られ、最後の落としどころを模索している。

 合併の実現を目指す高橋燕市長は、本紙の単独取材、並びに記者会見で、「合併が実現しなければ、市長を辞任する」と決意を述べ、「合併賛成に○をつける会」の代表にこそならないが、「自らの選挙のつもり」で、前面に立って市民に、合併の必要性を訴え続けている。

 燕市の区長でつくっている区長連盟も、市長をバックアップする形で、積極的に動いており、特に、現在、県央の中核として、最も発展している井土巻、南、殿島地区など、川向地区住民の「合併実現への期待」は、強い熱望となって、やがて住民運動に発展する兆しを見せている。

 投票日まで1カ月しかなく、10月10日には、国会解散の予定で、総選挙に突入するし、燕市議会は、9月末には、市議会の各常任委員会の行政視察がびっしり予定されているなど慌しい。市議会では、視察先のあることだけに、3カ月前の6月定例会後に決めたもので、「欠席する市議が出ることもやむを得ない」という緊迫した状況。

 いずれにしても、両陣営とも、すでに市議らが走り始めて手応えを確かめているのだろうが、「意外と市民は、合併に関心がないし、知らない」という合併賛成派の有識者の声が聞かれる。

 合併反対の陣営は、「燕市は燕市のままでいい」という素朴な市民感情に火をつけて煽るだけでいいが、合併賛成の陣営は、合併せざるを得ない理由、合併の意義や、将来の夢などを語りながら、市民の理解を得ていかなければならないだけに、運動が難しい。

 業界の動きが気がかり。商工会議所は、賛成、反対双方の会員を抱えるなかで、貸館事業として、有償で、会館内に、「合併賛成に○をつける会」の事務所開設に協力しているが、事務職員の派遣などは行わない。(協)つばめ物流センターも、中立的な立場に立っている。

 しかし、構造改革が進められている日本のなかで、燕市は合併せざるを得ない厳しい財政事情にあることや、将来、県央地域が発展していくための基盤づくりには、合併が必要。そのことを理解している業界人など有識者の多くが、運動に加わることが大切。

 今のところ、「反対に○をつけに行こう会」の方が、一歩先んじて出走し、「合併賛成に○をつける会」の方が、ゲートインに時間がかかっているという状況。組織の大きな「合併賛成に○をつける会」が、本格的に動き始めれば、うねりは一気に広まるだろうが、期間があと1カ月と切られている。両会の動きから目が離せない。