マクロ経済は見通し暗いが、そのなかで伸びている企業の経営者に学べ
2003・7・28
「17日、東京証券取引所の日経平均株価(225種)は三日続落。終値は前日終値比237円11銭安の9498円86銭と、今年3番目の下げ幅となり、今月1日以来約2週間ぶりに9500円を割り込んだ」
このニュースは、「最近の東京株式市場の株高は、米国資本が小泉首相の人気を維持して、総理、総裁を続投させるための戦略だ」というようなもっともらしい嘘を一気に吹き飛ばした。
米国の財政は、クリントン大統領時代に黒字になったが、ブッシュ大統領になってから、景気後退を食い止めるための減税、イラク戦争に伴なう戦費の拡大などで、過去最高の赤字に転落。
米国の景気回復策は軌道に乗らず、貿易赤字と財政赤字の双子の赤字は、解決される見通しもなく、今回の東京証券取引所の株安について、理由の一つとして「米国株式の軟調」を上げているメディアもある。
参加国が増えて、規模は拡大している欧州連合(EU)だが、EU内の経済も、統一通貨ユーロの発行による活性化に、このごろ陰りが見え、ドイツの銀行が日本と同様の不良債権問題を抱えているという。
日本を含め、世界の先進国の経済が低迷しているなかで、東京証券取引所だけが、株高を維持し続けることは並大抵なことでない。株高も一時の夢だったのかと思わざるを得ない状況。
こうした状況だから、マクロ経済がよいはずがない。マクロ経済が悪い場合、どのような商品、サービスでも、国際競争、あるいは国内市場での競争に勝った商品、サービスは、売上げが減少する。
逆に、市場全体は縮小しているが、先発大手がいるので、その市場を食っていけば伸びるというのも、後発のメリット。もちろん、先発の市場を食っていくというのは、並大抵なことではない。
後発でも、先発より、優れた商品、サービスを、より安く提供できれば、必ず勝つだろう。マクロ経済が悪化しているときには、むしろ、後発にとってはチャンスになる。身が軽いし、変化にも対応しやすくなっているからだ。
現実に、県央地域でも、この不況にもかかわらず、新商品開発、新市場開拓で、既存の商品、既存の市場での売上げがダウンしても、全体で売上げを伸ばしている企業もある。
「うちも、新規の商品開発、新しい市場の開拓を怠っていたら、今ごろ、どうなっていたことか」と、新事業を拡大した経営者は、県央地域の業界の不振ぶりを冷静に見つめている。
世界のマクロ経済が、まだまだ悪化する見通しのなかで、それを克服していくには、消費者の心をとらえていくしかない。消費者の身近にいて、消費者は、どのような欲求を持っているのか、どのような商品、サービスを提供すれば、消費者に満足してもらえるのかを、常々考え、事業に反映させている企業経営者が、身近にいるということは、大いに参考になる。
身の回りを見渡し、少数ではあっても、業績を伸ばしている企業があったら、経営者の戦略をじっくりと見ておく必要がある。仲間とばかり話していても、情報は増えない。それには、人脈と情報が必要だ。若い経営者や後継者は、積極的に外に出て、本物の経営者に会う努力をする必要がある。

燕市に落胆の声 南蒲、西蒲の壁厚く 2003・7・3
このところ、新潟県県央地域では、県央東部合併研究会や吉田町の動きが激しかったので、小生の情報収集も、もっぱら合併問題に集中。本欄も、今しばらく合併問題について触れておきたい。
市民には、合併問題は、行政の仕組みの問題で、市民生活に直接影響をもたらすものではないように見えるらしい。少子高齢化社会の、税並びに税外負担の増大という避けて通れない課題。どのようにして、負担を少しでも軽くし、なおかつサービスの維持、拡大を図っていくのか。それは行政の問題であると同時に、市民の暮らしに直接影響する問題だ。
特に、地方分権、税の移譲などと言えば聞こえはよいが、経済基盤の弱い地方の都市ほど厳しさが増す。というよりも、これまでの甘えの発想が許されなくなる。なおかつ経済基盤が弱く、新たな税負担が期待しにくい、地方の市町村こそ、少子高齢化が都市部より早く進み、急激にサービスが増大する。思い切って「小さな行政」にしなければ、住民の要求に応えられなくなる。
高度経済成長時代からほとんど変わらない、職員給与をはじめとする役所のシステムをこのまま温存していたら、弱い市町村は維持できなくなる。県央3市でも、経済力が急速にダウンしているなかで、将来は危ういと言わざるを得ない。
経済力の豊かな地域から、貧しい地域に地方交付税や国庫補助金で、再配分して、大きな格差のない行政を維持してきた。それをやめて、自立できる行政にしようというのだから、どの程度急速に変えるかはともかく、地方の市町村は対応しなければ、いつか行き詰まるだろう。
さて、県央東部合併研究会は、6月29日の研究会を最後に、30日で解散し、燕市は「一時休止」の形で離脱した。青年会議所OBをはじめ、県央東部の合併に期待をかけてきた燕市民は、高橋甚一燕市長の「一時休止」に、早くも、「三条市などと肩を並べての、県央東部での合併の可能性はなくなった」と失望している。
平成17年3月の合併特例債の期限に間に合う形での燕市の合併はあり得なくなった。高橋燕市長が、難局打開に「吉田町と一緒に県央東部で」という淡い期待を抱いた時から、金子勝吉田町長の自死が起ころうと、起こるまいと、ほとんど不可能な状況に突入したことは、吉田町議会の姿を見てわかった。
県央地域の核になりうる都市を築き、そのなかで、新たな地域の発展を目指すという、賢明な市民、「新市に『燕』の名前を残したい」という素朴な願いを抱いていた市民。最後まで、燕市の参加を期待した4市町村。
それらの思いが、「一時休止」の言葉とともに消えてしまった。燕市民は、これから、4市町村の動きを眺めながら、4万4000人規模の市として、新しい時代にあった都市のあるべき姿を模索していかざるを得ない。
8月の町長選挙で、吉田町に新しい町長が誕生し、燕市と一緒に県央東部へという願いを抱いたとしても、今秋の町議選が終わるまでは、現状は変わらないだろう。変わるとしても、その後になるわけで、時間がかかる。
いずれにしても、燕市民にとって、4市町村は、近くて遠い地域になる。せっかく、金属加工産業の集積地域として、このところ急接近してきた三条、燕両市だが、合併についてはしばらくは冷却期間を置くことになる。南蒲、西蒲の壁を乗り越えるには、長い時間が必要だろう。
小生も、4市町村の動きに目を向けながら、なおかつ、燕市の都市づくりにも、関心を持ちつづけるという、これまで以上に難しい対応を迫られることになりそうだ。

売上げ急増 詐欺まがいにはご用心 2003・7・1
県央地域でも、近年、メーカー、下請などが、販売に関する情報不足に付け入る輩に振り回されて、多額の借財を背負い込み、倒産、整理するケースが時折発生している。もちろん、取引先に多大な迷惑をかけている。
国内の消費動向の変化と、中国などからの輸入品の流入で、全国の地場産業地域では、特徴のない製品を大量生産、大量販売してきたメーカー、材料卸売業、金物卸売業、機械販売業などの関連企業が、経営に行き詰まるケースが目立っている。
三条、燕、吉田の金属、プラスチックなど製造業の製造品出荷額が年々、大幅にダウンしているのでもわかる。メーカーは、「生き残り策」を模索しているが、多くのメーカーは、これまで、販売を卸売業に依存してきたために、モノを作る技術はあるが、売る技術がない。
自社の製造する商品、部品などがなぜ売れないのか。また、なぜ「値引き」という際限のない要求が続いているのか、その要因を的確に把握できないまま、その場、その場で対応してきた結果だ。
構造改革の必要性は理解できても、市場の動きを自ら把握していないし、していても、変化するための知識、技術、あるいは、資金がないなどで、身動きできない。卸売りの経験などを持つ輩が、そうした経営者の力不足に付け入るように、何かの手蔓で入社して、たちまち、新商品、新市場開拓とやらで、生産量、販売量を増やす。ところが、販売量は増えても、利益は出ない。
長い不況と消費構造の変化、中国などからの輸入品の増大で、あらゆる業種が売上げ不振に見舞われている現況で、そのようなことが起るはずがない。常識的に考えればすぐ分かることなのだが、新しい商品を開発し、新しい販売ルートを開拓するとなると簡単なことではない。
にもかかわらず、当面の経営が苦しいために、経営者は、自らの知らない世界から飛び込んできた人間を採用し、いとも簡単に、口車に乗って商品開発、市場開拓を任せる。もちろん、違う世界で商売をしてきているのだから、経営者にとっては、新しく見える商品、市場などのノウハウを持っている。経営者も魅せられ、過信し、利益が出ないのに、どんどん、生産量、販売量を拡大してしまう。
経営者にとっては新商品、新市場かもしれないが、経営者が知らないだけで、ありきたりの商品で、成熟した市場のことが多い。したがって、売れる理由は、破格の値段、あるいは、極端な場合は、取り込み詐欺に近い販売ルートに商品を流していることもある。
結果は明らかで、数年、あるいは、はじめから詐欺まがいであれば数カ月で、巨額の赤字を生み、支払代金が枯渇し、支払不能に陥る。倒産、整理は時間の問題。経営者も一見、被害者に見えるが、実は、最も大きな被害者は、経営者と会社の看板を信じて材料や部品などを納入していた取引先だ。
商取引だからということで、一般的な倒産、整理事件として処理されるケースが多く、張本人は、姿をくらまし、経営者は、債権者となった取引先にひたすら頭を下げる。しかし、まともに、倒産、整理の手続きが取られることはなく、ほとんどの場合、うやむやのうちに、取引先が泣き寝入り。
県央地域でも、既に、札付きの手合いもいるのだが、なぜか、彼らが狙う経営者は、得てして世間に疎く、情報収集に熱心でない場合が多い。もちろん、取引先も、年々、売上げが減っている中で、欲と一緒だからだまされやすい。
昔から、詐欺まがいの商取引は横行している。不況になると「うまい話」を持ち込んでくる。しかし、このごろは、世間を知らない経営者の懐に飛び込んで、いわゆる社員になって、堂々と商売をするのだから、見分けにくく手強い。
「一生懸命、努力したが儲からなかった。大きな赤字を生んだ」となれば、たとえ、最初から、だまそうという意志があったとしても、言い逃れられる。社員という立場だから責任の追求もほとんどない。
このご時世、経営不振だった会社が急激に売上げを伸ばすとか、調子のよすぎる社員には要注意。経営者が、社会の常識を身に付け、人間を見抜く目を鍛えるしかない。特に、自らがだまされるだけでなく、取引先に多大な迷惑を掛けることにもなるのだから責任は重い。

