今年で御年79歳、めでたく日本人男性の平均寿命になった方の誕生日祝いがあった。
いろいろとご要望を聞いたところ、東京は代々木に生まれながら1度も新宿の都庁へ行ったことがない、ということで誕生会のセッティングは、都庁展望台にあるイタリアン・レストランとなった。集まる誰もが初めての45階の展望台。真夏日の夕日の日差しが強い中を四方観てまわり、あまり趣味がよいとはいえない子ども向きの土産物屋をひやかし、夕焼け時の丁度よいころあいに席へついた。
都庁が新宿に移転して今年で16年になる。そのせいか展望台はかなり庶民的に汚れている印象だった。当時は池袋のサンシャインを抜き、日本1の高さを誇る高層ビルだったのが、今では第5位となっている。展望台へ通じる直通エレベーター内は、日本人以外のアジア人、特に韓国人ばかりであふれかえっている。六本木のタワーと違い、無料で見学できる観光スポットとして内外ともに人気が高い。
行政機関である都庁が一種のデートスポットとなっているにはわけがある。公募で募ったレストランは老舗で知られるイタリアンで、ここの売りはカクテル。つまり都庁内にバーラウンジを作ったのだ。古代ローマ式の神殿をモチーフにした店内装飾、グランドピアノを置き、月に何度かジャズ演奏が流れる。絶景の夜景を見ながら食事して飲め、しかもかなりリーズナブルな価格設定になっている。確かにこれは石原都知事の発想勝ちだと言える。
第1本庁舎はパリのノートルダム大聖堂をイメージして作られ、第2本庁舎、都議会議事堂を含めポストモダンな造りになっている。立派にランドマークとして都市の顔となっているが、夜、都民広場から第1本庁舎を見上げると、東京のフリーメーソンビルだとかツインタワーだという野次が飛びかった。
けれどこの都庁舎、今ではあきれた問題を抱えている。
安普請の家ではあるまいに、雨漏りがひどいのだという。ジョイントの劣化や施工不良が原因らしい。さらに室内装飾の老朽化で建替えした方がよいという意見まで出ている。建設費が1600億円、補修に1000億円かかるのだから、これからどのようになっていくのか都民以外は見ものである。
ところで、肝心のバーレストランの味の方は、誕生日ご本人の意見では一応合格点だった。というのも夏のビール祭りで、芳醇な黒ビールが正規よりバーゲン価格になっていたからだ。都庁でバーゲンセールをやっているとは思わなかった、と声があがった。
行政はサービス業だということを都庁展望台に行くとよく学べる仕組みになっているらしい。
