悪質事案には毅然たる態度で
巻税務署長 齋藤祐喜男さん(54)
 秋田県横手市出身。前職は東京国税局葛飾税務署副署長。昭和49年に東京国税局に奉職して以来、国税局や首都圏の税務署で主に徴収事務を担当してきた。

 自ら徴収の現場を経験してきたなかで、印象に残っている事柄として「昭和60年代、バブル経済下で高額滞納事案の徴収事務に携わったこと」を挙げ、「『土地神話』による不動産投機で、譲渡所得の滞納事案が多く発生し、大変苦労した。億単位の滞納もあったが、一方で不動産を発見して差し押さえれば、必ず完納するという特異性があった。徴収に出向くと、『これから土地を売買するから待ってくれ』ということもあった」と、振り返る。

 これまでは東京国税局管内が主で新潟県への赴任は初めてだが、「5月の連休に参加したミステリーツアーで、弥彦温泉に宿泊し、弥彦神社にも参拝。事前に行先を明らかにしないツアーだったが、弥彦神社の拝殿や杉木立に囲まれた参道が印象に残った。その2カ月後の異動で弥彦神社を管内に含む巻税務署への転勤。不思議な縁を感じている」と話す。

 地域産業についても「地場産センターを見学し、金属研磨の技を紹介する映像を見て、『不況になっても生き残ることができる』という力強さ、自信、仕事に対する誇りを持っている姿が印象に残っている」という。

 中小企業が多いこの地域について「不況で法人税や所得税などの益税課税は大幅に税収が落ち込んでいる。今後も不況が続くようであれば、比較的税収の落ち込みが少ない消費税の税収に占める割合が大きくなっていくだろう。相手の実情を正しく把握し、実情に合った処理をすべきと考えている。誠実で温和な方が多く、我々がきちんとした態度で接すれば、真面目に応えていただける」と、情報収集に努めている。

 署長としての方針は「国民から信頼される税務行政の推進」で、全国的に進められている「内部事務の一元化の円滑な定着」、「e―taxの普及・拡大」、「税務調査・徴収事務の充実」を掲げる。「これらの課題はこれまでの仕事のなかでも実際に取り組んできたもの。地域は変わり、署長となったが、継続しているという意識」とする。

 内部事務の一元化については副署長時代の3年間、試行に携わってきた経験があり「特に税務署に来る頻度の高い税理士の方々から、書類の提出、納税証明の発行が1カ所で行えるために『便利になった』と好評をいただいた。納税者サービスの向上につながると確信している」、e―Taxの普及については「9月からはパソコン操作だけで納税できるダイレクト納付も開始され、家にいながら申告や納税手続きができる。まず利便性を実感していただきたい」と啓発に努めていく。

 税務調査・徴収事務の充実では「大口・悪質な事案に対しては毅然たる態度で財産調査、徴収を実施する。これは国民が税務行政に望むことでもあり、これによって信頼や期待に応えたい」と表情を引き締めた。

 好きな言葉は「組織は人なり」で、趣味は旅行と野球観戦。旅行では奥さんと2人で温泉地を中心に巡り、前記のようなツアーに参加している。プロ野球は巨人ファン。甲子園での日本文理高校の活躍についても「打撃のチームという下馬評だったが、伊藤投手のコントロールを中心に守りがしっかりとしたチームと思った。走攻守が全国レベルだからこその準優勝。波及効果にも期待できる」と話していた。

 千葉県流山市の自宅に奥さんを残しての単身赴任。
                                                (外山)