先代の遺志引き継ぎ、「紙」の可能性探る
大和写工印刷(株) 渡邊邦宏社長
 先代急逝のため、この4月に就任。昭和35年創業の同社を先代、征和さんから急きょ引き継ぐ形となった。

 「先代の入院時から覚悟していた。就任のときは、『とうとう、そのときが来たか』という感じ。入院してからしばらくは、アドバイスはもらえたので、そこまで突然といった感じではなかった。ただ、社長のままで逝かせてしまったのが心残り。会長にさせてやりたかった。せめて、生きているうちに代変わりをして、早い段階で安心させてやれればよかった」と渡邊社長。

 現在、従業員は21人。いずれもベテランぞろいで気心の知れた仲だが、「引き締めなければならない部分は引き締めていく」と社長としての厳しい一面ものぞかせる。

 高校時代に印刷の仕事に興味を持ち、父である先代に相談したところ、東京にある印刷の専門学校を紹介された。20歳で学校を卒業後、同社に就職。先代の方針で、印刷の現場、配送、営業など、すべての仕事を経験した。それぞれの仕事の特性やつらさを知っていることが、社長としての強み。「これからは、時代が時代なので、先代の言葉に従い、品質を大事に、お客さまにあった良い品物を提供していければいい」。

 また、新たな試みとして、「環境にも力を入れていきたい」と渡邊社長。「まだ形にはなっていないが、何らかの認証マーク取得などを考えていかないと」と考えている。

 活字離れやIT化、原材料価格高騰など、現在、印刷・出版業界を取り巻く環境は厳しい。しかし、「それでも紙は身近にあるものだから」と渡邊社長は言う。「商品の取扱説明書やパッケージなども自社の分野。商品を際立たせるようなものを作っていきたい」。また、同社は特殊紙を積極的に取り扱っている。トレーシングペーパーのような透けるものや、極めて薄い紙などだ。「そういった独自性が強く付加価値のあるものについては、本腰を入れて作っている最中。ほかにない面白いものを提案できたらいいな、と思う」。

 三条市在住で、子どもは3人。小学4年の長女を筆頭に、1年の長男、2歳の次男とにぎやかな家族。「休日は子どもと遊べるときは、できるだけそうしている。何かとお金がかかるけど、そこは政府のくれる子ども手当に期待」とし、「この春からPTA活動に参加し始めた。なにか力になれたらと思って」と話していた。    
                                             (細山)
 2010年04月30日本紙掲載