伝統の刃物産地三条を舞台に
研究映像
国立歴史民俗博物館 朝岡康二教授の労作
 千葉県の国立歴史民俗博物館民俗研究部の朝岡康二教授が、昨年夏、民俗映像研究の素材として三条市を舞台に撮影したビデオ「金物の町・三条民俗誌」の編集がこのほど完了。8日午後4時から、三条市中央公民館で試写会が行われ、市、商工会議所、撮影に協力した業界関係者など40人ほどが参加して、三条市内の町並み、産業を凝縮した映像に見入った。

 民俗学は、歴史学や考古学とは違い、伝承を基にする学問のため資料化が難しく、映像化の手法は早くからあったという。朝岡教授は、今回、限られた地域を対象にして、そこで起きている事柄から何かを導き出す手法を試み、映像を「民俗誌」と名付けた。三条市に白羽の矢を立てたのは、朝岡教授が、三条市史の編集委員を務めたことがあり、市の概要について知っていたことなどがある。

 この日、上映に先立ち、朝岡教授は「今回は、私にとってもかなりの冒険だった。まず、これまでに、祭りなど、ある程度の流れがあるものは撮影したことがあったが、まちという大規模な集まりをどうやって映像化するか、空間的な広がりを映像化するのは初めてだった。それと、民俗学は主として農村を対象にスタートしたもので、都市の研究は遅れている。農村は見えやすいが、都市は隠れている部分が多い。そして、工場の中を映像化したかった。企業のコマーシャルなどで工場内が映ることはあっても、動いている人に焦点を合わせた映像はなかった。この映像の成果については、みなさんに考えていただきたい」と趣旨などを説明した。

 上映されたのは、述べ85時間撮影した映像を90分にまとめたもので、朝岡教授は、上映されたほかに、視点を変えた数パターンのテープを編集したことも報告した。

 上映は、午後4時半ころからスタート。凧合戦の前夜祭パレードの映像から始まり、市内の風景について紹介した後、市内のメーカー、卸商社などを一社ずつ紹介。

 最初に街中の鍛冶、次に金子新田工業団地の各企業など、鍛冶屋が経済の高度成長に伴い、成長していった姿を追っていき、市内の大手メーカーの工場なども紹介していた。

 また、番外的な雰囲気で、緑林舎の小林騏一さんも登場、自身のアイデア製品「銀の爪」で、缶ビールのプルタブを開けるシーンで、「私の大好きなこれ。ちょっと失礼して」とビールを飲みだしたシーンは、会場を沸かせていた。

 市では、今後、朝岡教授から、譲り受けるダイジェスト版を市民にどのような形で、提供するか検討している。
                                                (重藤)