こだわりの「手作り」
三条市 火造り刃物工房の外山修司さん
和式ナイフ職人として、全国にもファンの多い、外山修司さんが、今年から新たに、三条市金子新田に「火造り刃物工房」を立ち上げ、手作りにこだわった刃物を作り始めた。
外山さんは、「お客様の声を直接聞いて製品を作ることは楽しい」と、新しい仕事にも力が入る。
外山修司さんは、昭和14年、三条市に生まれた。現在、62歳。
15歳で(株)タダフサに入社。研究や勉強を重ね、工場長にまで上り詰めた。
技術は、親方や先輩の作業を見て習得した。外山さんは、「『時間があれば見てろ』が親方の口癖。見て覚えるの積み重ねでした」と、当時を振り返る。「親方が病気になった時、納入先の人に『親方がいないんじゃ、製品はできないな』と言われた。当時、私はまだ半人前だったが、すごく悔しかった。一人前だったら、もっと悔しかったと思う。でも、その悔しさが原動力になった」と話す。
定年退職する際、外山さんの腕を惜しむ人たちから声がかかった。(株)山村製作所の山村登社長も、その一人。「鍛冶職人が好きだ」という山村社長は、工場の敷地内の一角を作業場として提供した。外山さんは、そこを借りて再び製作することを決めた。「またこんなふうにやるとは思わなかった」と苦笑い。
しかし、退職後1年ほど現場から離れ、趣味の山歩きなどで、さまざまな場所を訪ね、ナイフを使う人の生の声に触れた。「自分が納得するようなナイフを作っても、使う人が納得しなければダメだと感じた。大収穫だった」とし、全てにこだわり、「手作り」で製品を作り始めた。
「一番のこだわりは鍛造」で、名前も「火造り刃物工房」と付けた。
今は、プロ用の高級刃物や共柄そば切、アウトドア用の和式鍛造ナイフなど、各種オーダー品を作っている。品数は15点ほどあるが、今後さらに増やす予定。
外山さんの製品作りは、まずイメージから始まる。長い経験から得た知識をもとに、お客の要望に応えられるかどうか判断するが、今まで「できない」と断ったことは一度もない。
柄の部分を、桜の枝を削ったもので作った「山刀」や、皮紐を巻きつけた和式ナイフなどは、機能はもちろん、遊び心を刺激する要素もふんだんに詰まっている。なかでも、1枚の鉄板で刃先から柄まで作った「奥大谷刀」は、全国でも作れる人はわずか。「柄の部分を作るのに苦労した。太ければ握りにくく、細ければ割れやすい。持ちやすい形になるまで、何度か失敗した」という。この刀は、柄の部分が空洞になっているので、山でクマが出た時、空洞部分に木の枝などを入れ、ナギナタのように使って身を守ることもできると、人気が高い。
外山さんは、「お客様と話し合った上で製品を作れるのはうれしいこと。本格的に製品を作り始めて、まだ間がないので、自分の作った製品に対し、どのような反応が返ってくるかは分からない。でも、製品を知ってもらい、直に手に取ってもらえれば幸い」とし、「今、このように作ることができるのは、私一人の力ではない。前の会社や協力してくれたスタッフがいたからこそ」と、感謝の気持ちを忘れない。
「あと何年作れるか分からないが、こだわり続けたい。難しいものにこそ挑戦しがいがある。今後はホームページも立ち上げてみたい」と、意欲的だ。
(廣川)