企業理念の重要性をアドバイス
創業塾でスノーピークとプラグイン
 新潟県県央3商工会議所が主催する創業塾の第3講が、1月22日午後6時半から、三条・燕地域リサーチコアで開かれ「成功事例に学ぶ経営者の実践談!」のテーマで、山井太(株)スノーピーク社長と礒部敦(株)プラグイン社長が、成功のポイントについて話した。起業や経営に携わる上での理念について、山井社長は「夢・ロマンと客観的な状況分析」、礒部社長は「お客が喜ばなければ企業は存続しない」と受講者にアドバイスした。

 最初に講演したのは、山井社長。スノーピークは、アウトドア用品メーカーで、自社名を冠したスノーピークブランド製品を世界に向けて販売している。従来にない製品の開発、新しいスタイルの提案などで定評があり、これまでにエディターズチョイスアウォードを2回受賞している。この賞は、自動車業界のカーオブザイヤーに相当するといわれる。

山井社長 1986年に入社した山井社長は、従来の登山用品、釣具に加え、キャンプ用品という新しい分野を扱うため「社内起業」し、システム化されたキャンプ「オートキャンプ」の原型を提案。ブームに乗ったこともあり「6億円だった売上高が93年には25億円」になるほどだった。その後、ブームの終息とともに「オートキャンプのオリジナルメーカーとして原点回帰」し、利用者の声を直接聞くキャンプのイベント、成功例が少ないという自社ホームページの掲示板などを利用して、利用者とのコミュニケーションを重視し、利用者の意見を取り入れながら、「自分たちもユーザーもほしい製品を提案していくリーディングカンパニー」の理念の下、事業を展開している。

 山井社長は、受講者に向けて「仕事を始めるとき、他社と同じく横並びでいくか、もしくは誰もしたことのないようなお客のためとなる事業を行うか、これを決めるのは自分自身。私の入社当時、オートキャンプというシステムはなかった。なぜなら、世界で一番よいものを作れるブランドメーカーにしようと思ったから。どういう志を持とうとも志にコストはかからない。なぜ、世界をと思ったかというと、夢とロマンのほかに、日本の人件費は世界一だった。作るものも世界一でなければ経営は成り立たない」と社内起業のきっかけについて語った。目標を達成するための具体的な手段について「売り物は世界一よいものと他者が出来ないサービス、もう一つは売り方だった。流通業者のマージンをなくし、エンドユーザーの利益を最大限に考えた。どの業界の常識もエンドユーザーのためにはなっていない。そこにビジネスチャンスがある。例えば、今まで安定していた業界や決定的な優劣がついている業界でこそチャンスがあるといえる」とエールを送った。

礒部社長 続いて講演した礒部社長は、起業してから6年間の決算内容を示し、経営の内容を振り返りながら進めた。

 (株)プラグインは、パソコンコンビニエンスWinpalという店舗を運営し、インターネットカフェ、パソコン機器の販売、インターネットプロバイダー、サポートサービス、パソコン教室などを行っている。パソコンが普及するにつれて、ニーズが増えているサポートサービスに重点を置いた企業だ。

 設立について礒部社長は「ウィンドウズ95が発売されたとき、インストールなどで苦心したことがビジネスの第一歩。必ず、メンテナンスなどのアフターマーケットが発展すると確信した。当時、県内にメンテナンスショップはあまりなく、自分が困ったことだから、みんなも困るはずとスタートし、物販でなく、サポート、スクールに力を入れた」と述べた。

 設立後は、初年度の変則4カ月決算では黒字だったものの、2期目にはプロバイダー資格の取得にともなう設備費がかさみ赤字。以後、赤字が続くものの当初の理念を貫き、現在は売上高1億円を突破している。

 礒部社長は、赤字決算が続いていた時期を振り返り、「お金が足りなくなっても、あきらめずに続けること。考えが間違っていなければお金はついてくる。資本が少ないところは、安売りが一番の苦策。お客がパソコンを買ってから、満足して使うまでが仕事と改めて気づいた」と述べた。

 受講者に向けては「何のために起業するのか、自分の会社の影響力、企業理念などを考えてほしい。私は、自分の得意なことを認めてもらいたい、人の役に立ちたいという気持ちから生れるものが、これから必要なビジネスと思った。自社が無くなったら、困るお客さんがたくさんいる。理念は、お客が喜ばなければ企業は存続しない」と述べ、講演を締めくくった。
                                                (重藤)