中小企業99%以上のイタリア企業の個性
三条デザイン研究会 小林会長に聞く
三条貿易振興会、(協)三条工業会青年部、三条デザイン研究会の3団体は、イタリア市場視察調査事業として、10月27日から11月2日まで、イタリアの金属加工産地の企業などを視察した。
家族経営による中小企業が圧倒的に多いイタリア企業を視察して、参加したデザイン研究会の小林知行会長は「個性がないと経営していけない環境の中、常に経営者がブラッシュアップしていかなければ生き残れない。自社の今後についてのヒントがあったと思う」と有意義だった視察事業を語る。
一行は17人で、県央地域と同様に金属加工産業が盛んなブレーシア・ルメツァーネのメーカー4社を視察した。
ブレーシアは、県央地域で言えば県央広域圏にあたるもので、ルメツァーネが三条地区という枠組みという。
金属加工産業の中でもナイフ、フォークはメイド・イン・ブレーシアとして知られ、燕市の業界とも交流している地域。
視察では、「個々の企業の生産設備は日本と同じ。それよりも、同じ産地で仕事をする中でのスタンスの違い、何を目指しており、どのような商品構成、戦略を取っているのか。現場を見るよりも、考え方の交換をしたかった」と小林会長。

イタリアは、従業員100人未満の中小企業が全体の99%を超えており、従業員1000人以上の企業は400社ほどと、圧倒的に中小企業が多い国。
中小企業が多いのは、家族経営による企業が多いからで、経営陣、経理担当までが同じ名字というケースもある。
企業の規模を拡大するよりも、利益を上げ、所得を増やすことを大切にしており、会社を大きくしようという気風がないという。
生活圏も狭く、自分の家族、一族、近所の人と3段階だけで構成しており、日本との文化の違いを感じさせる独自の世界観を持っている。
「日本だと、売上げを上げるのであれば、工場を増築して、支店を作っていくが、向こうは作る、売るといったことを一つの会社では行わない。大きくなりようがないし、それ以上のことがない。会社の規模よりも目の届く範囲でしっかり進めていく経営。そういうシステムにすることで、自分の所得の増加にもつながる」といった具合だ。加えて、独立心が旺盛という。
視察したルメツァーネの現況は、県央の産業と同様に中国などからの打撃を受けている。同じ製品を10分の1の価格で作ってくる脅威ではあるが、業界では「自分のことをするしかない」との気概を持っており、責任感が非常に強い。
イタリア人には働かないというイメージがあるが「経営者に限っては、働いた分だけ、自分の利益になるので、がんばっている」と実情を話す。
イタリアの中小企業の現状を聞くことで、小林会長は、良いと思った点、悪いと思った点、両方を見てきたという。
良いと思った点は、個性的な経営ができること。ブランドを確立するのに有効で、ブランド名イコール経営者の名前で、それぞれの特徴が決まっている。「企業の数が多いので、逆に個性が強くないと経営していけないのだろう。例えば、アメリカなどのアングロサクソン的な会社だと、規模を拡大して、最適なものにシフトしていく。イタリア的な会社は、自社でできないものは他にまかせる。規模が小さいので他社とのネットワークを使う。企業の数が多いので、代替も多く、組み合わせが豊富になっていく。自分の会社も中小企業なので参考になった」と見ている。
ただ、個性的な経営が、逆に悪い点にもなると小林会長は言う。
家族の個性は発揮できるが、家族の能力以上のことができないとも言え、「個性を発揮しているが、個性の限界があった場合、それ以上にはなれない。常に、経営者がブレイクスルーできないと、売上げにつながらなくなってしまう」とする。
イタリアで、中小企業の数が多くなってきたのは、戦後からだが、結果的に個性の強い企業が生き残っている。
県央地域の企業でも家族経営が多い中、この製品を作っているのは、あの会社と、個性的な企業も多いだけに、小林会長は「自社の今後について考えるのにヒントになった」と捉えている。
なお、主催した3団体では、月末に市内で報告会を開く予定で、小林会長が報告する。
(重藤)