燕市長選決着
多数の無効票、低投票率 今後の市政への影響懸念
 前市長の辞任を受けて行われた新潟県燕市長選挙は、12月7日即日開票され、307票の僅差で、産業界、旧県央東部合併賛成派市議から推され再出馬した高橋甚一前市長が3回目の当選を果たした。旧東部合併反対派市議が中心となって推した杉山光映元市長は、期間中毎日の演説会や街宣で地盤を固め、下馬評では有利と見られていたが、あと一歩及ばなかった。

当選後、中野助役(左)と打ち合わせする 今回の選挙では、投票率57.03%、無効票878票と、前回平成12年9月の市長選に比べ、投票率で12ポイント余りの低下、無効票で620票余りの増加を見せ、混迷を極めた燕市政に対する市民の不信感の強さをうかがわせた。
 同市宮町の高橋甚一候補の選挙対策本部事務所には、大山治郎市議、斎藤紀美江市議ら旧賛成派市議、選対責任者の和平寅男氏をはじめ、事務所に入りきらないほどの支持者が集まった。

 午後10時30分に、高橋候補の当選確実との一報が流れると、会場は祝福の声と熱気に溢れ、支持者に混じって、高橋一夫三条市長、久住久俊三条市議、地元国会議員の秘書など、市内外の政治家たちも祝福に駆けつけた。

 高橋候補は「うれしい反面、責任の重さを感じている。1カ月の空白のなか、あすから市役所に登庁することに緊張感もあり、緊張をもって原点に返りたい」と話した。県央東部合併研究会などで、行動をともにした高橋三条市長の祝福については、「大変ありがたい。お互いに協力したい」と話していた。

杉山陣営
ラジオの速報に耳を傾ける支持者ら
 10月末の住民投票で東部合併を主張して敗れ市長を辞職した高橋候補が、投票結果を尊重すると翻意して出馬したことへの批判もあったが、高橋陣営では、市の実状を知る前職としての合併、行財政改革推進のほか、クリーンな政治、女性が参加できる政治を訴えてきた。選対事務所にも、たくさんの女性が姿を見せており、女性の支持層をターゲットに展開してきた運動が実を結んだ。

 一方、同市廿六木3区の杉山陣営選挙対策本部事務所には、午後9時過ぎから続々と支持者が参集し始め、事務所には150人ほどが集まった。

 7年前の汚職事件で政界を去り、市長職復帰を狙った杉山候補の陣営では、下馬評でも有利、選挙運動でも手応えを掴んでいたが、支持者らの楽観ムードと裏腹に、選対の市議らは緊張した面持ちを見え隠れさせていた。

 開票作業が始まってから15分ほど立ったころには、星野義則市議が「未確認ですが、こちらが優勢です」と発表すると、早くも祝勝ムードに、会場からは拍手が巻き起こった。しかし、情報確認に動き回る星野市議に支持者が「あんまり顔色が冴えないみたいだけど」と声を掛ける一場面もあり、選対は水面下で奔走している様子だった。

 事務所が揺れたのは、10時30分ごろ、支持者のひとりが聞いていたラジオから、2回目の開票速報が流れ、高橋候補の当確が出ると、「負けた」という市民の声にどよめきが起き、杉山候補の顔を見ないまま、帰ってしまう支持者の姿も見られた。
杉山候補は、支持者らに「みんなががんばってくれた。ありがとうございました」と礼を述べ、自分が立候補した意味を理解してもらえなかった、と力不足を詫びた。支持者らに激励を受けると、杉山候補は11時30分ごろ事務所を後にした。

 大岩勉市議は「運動によって追いつき、追い越したと考えていた」としながら、敗因として、ほぼ全戸に撒かれた杉山候補の事件記事を使ったチラシを挙げて「これを見て気持ちが良いと思う人はいないだろう。これによって浮動票が動いた」と話していた。

 票差307という接戦。投票率の低さとともに、前回の3倍以上の無効票878を、市長、市議会ともに重く受け止める必要があるだろう。  
                                                (外山)