まず燕市との合併模索
住民意向調査踏まえ 7月中には結論
議長インタビュー(6)  吉田町議会議長 海藤正年氏
 新潟県燕市の高橋甚一市長は、県央東部合併研究会の席上、吉田町にも県央東部に加わってもらうよう努力しているので今しばらく待ってほしいとしている。

 当の吉田町は、逆に、金子勝町長らが、住民意向調査の結果を踏まえて、高橋燕市長に「吉田町との合併。さらには、燕市も含め、西蒲南部・寺泊町村合併検討協議会への加入を」と呼び掛けている。

 吉田町としては、あくまでも住民の声を尊重して、手順を踏んで進めていくというスタンスだが、残された時間は限られている。

 この難しい局面で、議長インタビューシリーズの最後として、吉田町議会議長海藤正年氏に、同町議会の状況を聞いた。 

 新潟県西蒲原郡南部・寺泊町村合併検討協議会から、吉田町が脱会したとき、「金子勝町長は町議会に対して、財政シミュレーションを精査すると、西蒲南部・寺泊の各町村と吉田町には、保育料、ガス料金、水道料金などに大きな開きがあり、吉田の場合は、西蒲南部・寺泊と合併した場合、各料金を値上げせざるを得ない、これでは町民の納得を得られない、と説明した」と、海藤議長は振り返る。

 町長から脱会の話があったのは「平成14年11月31日に脱会したわけだが、11月28日の合併調査検討特別委員会。町長から脱会の提案がなされ、委員会内で議論し、挙手による採決で決定した」

 以前から、議員の大半は、西蒲南部・寺泊による合併に反対だった。「11月28日の採決では、脱会賛成13人、反対4人、退席一人、欠席一人で、赤川清委員長は反対のようだった」

 金子町長は、「住民意向調査に基づき、まず、燕市との合併」ということで、高橋甚一燕市長に働き掛けている。しかし、高橋燕市長は、県央東部での合併を考えており、吉田町にも県央東部への参加を求めているが、「住民の意見からいってそれはない。議会の中にも県央東部の声はない。議会の意見が住民の声とも言える」

 燕市との合併が難しい場合、吉田町単独で進む可能性については「単独はあり得ない。西蒲南部・寺泊を脱会した頃には、単独でという意見もあったが、地方交付税が減少し、税収が落ち込むなど、財政が苦しいことは、住民にも浸透している。5月26日の特別委員会(本紙既報)で町長が言ったことが、町のあるべき姿。私もそう思う」と、金子町長の「まず、燕市と合併。その次に西蒲南部・寺泊と」という考えに賛成している。

 燕市が、姿勢を変えない場合、次の合併の相手としては、元の西蒲南部・寺泊に戻るのか、あるいは岩室村のように、新潟市の法定合併協議会に参加を目指すことになるのか。

 「町民意向調査を踏まえた合併ということで、一番が、燕市、次に燕市を含めた西蒲南部・寺泊となった。吉田町の相手としては、燕市ということになっている。燕市の意向を聞いていこうということになった。西蒲南部・寺泊との合併に反対の5人も、燕市を含めた、西蒲南部・寺泊での合併ということには賛成している。燕市がだめになれば西蒲南部・寺泊との合併もあり得ない。燕市がだめになれば、新潟市、次に県央東部ということになる」

 かなり時間がかかりそうだが、今後の見通しは、「燕市の出方次第」とし、「燕市がだめになれば、西蒲南部・寺泊もだめ。次に新潟、県央東部というのが、住民意向調査の結果。時間は多少かかるが、合併の答えは7月までに出すつもり」と、時間がかかっても住民意向調査を尊重し、手順を踏んでいく構えだ。

 燕市と吉田町、2市町で合併という意見が燕市の県央東部合併反対派議員のなかにもあるが、「燕市の東部反対派議員10人と吉田議会有志との懇親会でも、なんとしても西蒲南部・寺泊町と、という議員が7人、あとの2、3人はそうは思っていない」と冷静に受け止めている。

 前回の合併調査検討特別委員会では、さまざまな意見が噴出している。海藤議長は、大変な苦労だが「地ならし的な面があり、うまくいっている。燕市がだめになっても、西蒲南部・寺泊論がでてくるだろうが、吉田町単独で、西蒲南部・寺泊に戻るつもりはない」という。

 合併問題以外の吉田町の政治課題について「財政。吉田町は、市レベルで見られる職員の退職金問題は、準備がしてあるので困らない。大きいのは、今後の下水道整備事業。これまで、必要のない箱ものは造らないで、隣接市町村の施設を借りてきた。吉田町の公共施設は先進的だったが、現在では、老朽化が進んでいる。南小学校などは、特にひどい状態。維持費もかかるし、単独でいては、統廃合もできない」と合併しない場合の危機意識は強い。

 「老健施設もできるだけ民間活力でやってもらっている。粟生津では、農家に土地を出し合ってもらい、そこを町が買い取り、無料で貸出す計画があった。県外の福祉法人が名乗り出て、ほぼまとまりかけたが、県レベルの段階で、その法人の実績のなさや、発足年数の短さを理由に、許可が下りなかった。しかし、その土地はあくまで福祉施設として使いたい。福祉施設誘致が当面の課題」

 産業誘致については、「まだ、大通川そばの工業団地に、町が持つ土地がたくさん残っている。そこへ企業誘致はしたいが、新しい工業団地の造成は考えていない」と言う。

〜10月の町議選にらみ 合併に政治家生命かける〜

 海藤議長は、昭和4年9月生まれの73歳、昭和19年に米納津尋常高等小学校高等科を卒業し、35年以上農業を営んでいる篤農家で、「当時は、新しい技術を積極的に取り入れ、研究していた」。

 農業のほかにも3年間の修業を経て、昭和36年には左官業を始め、現在は長男の正美さんが後を継いでいる。

 昭和54年に勧められて、市議会議員に立候補したが、初めての選挙活動ということもあって落選。4年後、58年の2回目の選挙で初当選以来、5期にわたり町議を務めている。副議長を1期経験し、4年前に議長に選任された。今年いっぱいで議長職4年の任期満了となるほか、10月には14日告示、19日投票で町議選が控えている。定数は現在の20から2議席減らした18議席となることが決まっている。

 来期の立候補については、「来期は、合併がうまくいけば辞めるが、うまくいかなければ続投する」と合併に政治家生命をかける。

 趣味は農家出身ということもあり「育てるのが好きで、冬期間以外は、健康のため、自給用の無農薬野菜を作っている。他に庭の植木の手入れもやっている」

 妻のミヨさん、長男正美さん夫婦と、2人の孫の6人家族。   
                                                (外山)