従来品の影響ほとんどゼロ 
現地と日本の報道に温度差
SARS 県央経済に及ぼす影響(4) 
三条市五明・パール金属
 新潟県三条市五明、パール金属(株)(高波久雄社長)は、中国などアジア地域に、大小合わせ100以上の工場を持っているが、SARSの感染者は出ていない。

 SARS問題の影響について、同社総務部の金川寿泰部長は「流通面は若干時間がかかっている部分もあるが、商品の納入などについての影響はほぼゼロに近い。このままの状態が続けば、今後、影響が出るかもしれないが、感染も沈静化しているので、影響はないのでは」との見通しだ。

 同社の中国での販売拠点である上海には、同社子会社があり、生産についての工場との交渉は現地スタッフが行っている。上海は、SARSに対しての対応が早かったため、感染の被害も少なかった。「手を打つのが遅かったら、大騒ぎになっていたかもしれない」と金川部長。

 商品納入に関しては、「何カ月も前から話を進めていることだし、従来からの商品については、発注うんぬんの問題はない」と見ている。

 しかし、「流通面は少し混乱しているようだ」とする。DHLなどの国際宅急便が、商品検査や衛生検査などのため、現地到着に3日、4日と、通常の倍の日数がかかる状態。「消毒作業など、急に体制を取ることになったため、人員が足りなくなっている」と分析しながらも、「もともと中国は、日本と違って、何日何時に着くという感覚ではないので、手続きに時間がかかったとしても、たいしたことではないのかもしれない」とする。

 現地との交渉についても、「5月末に中国から戻って来た人に話を聞いたところ、人の移動はかなり制限があったようだ。隣の市に行くのに、1週間ホテルに隔離され、検査を受けて大丈夫という確認がとれて初めて動ける状態。しかし、商談自体は1日、2日で終わるもの。その後、また帰る時も同じように1週間隔離される。それに帰国してもすぐに出社することもできない。これでは不便だし、効率も悪い」とし、「当社では、現地の子会社と連絡を密にとっているので、従来品に関しては大丈夫。今は、電話、ファクス、メールで大抵のことは済む」とインフラの活用を挙げる。

 しかし、来年度に向けた新製品に関しては、やはり現地へ行き、工場や品物の確認が必要。「新潟、上海間は7月末まで休航となっているので、行くとしたら8月以降。成田空港から、ソウル経由で上海に行くルートもあるが、空港での感染の危険もないとは限らないので」とあくまで慎重な対応は崩さない。

 その一方で、現地と日本の報道の温度差を懸念する。同社では、中国から研修生を受け入れているが、日本の報道を通して母国の様子を見ている研修生たちは、かなり不安になっている様子。金川部長は「現地スタッフと電話で話したりするが、あちらではすでにSARS問題は解決し、過去のことのように話す。人口に対して、感染者数の割合は小さいものなのだろう。とはいえ、どちらの情報を信じていいか分からず、確かめようにも現地に行けない。不安な気持ちは事実」と、もどかしさを感じているようだ。

 また、今回のSARS問題により、中国の衛生管理などでの問題点が浮き彫りになったことについて、「そういう意味ではよかった」とし、「あらゆる面で見直しが図れたのでは」と一定の評価をしている。
                                                (廣川)