坂源100周年 笑顔を忘れず汗をかけ
次期社長に伝える言葉
坂井源一さん 生け花、園芸鋏メーカーの新潟県三条市金子新田、(株)坂源は、創業から数えてことしで100周年を迎えた。これを節目に、7月から、坂井源一社長が会長に、坂井信行常務が社長にそれぞれ就任する。

 坂井源一さんは、4代目社長として事業を継ぐ信行さんに、「目標を持て 知恵が出る/顔の見える会社になれ/笑顔を忘れず 汗をかけ/旅 出会い そこには宝の山がある」との言葉を贈り、今後の舵取りを託す。

 同社の創業は明治36年。現社長である源一さんの祖父、源次さんが、一ノ木戸村の自宅(現三条市仲之町)で、ノミの柄次期社長を継ぐ信行さんのカヅラ作りを始めた頃までさかのぼる。

 その後、鋏メーカーに転業し、生け花や園芸用鋏など、本物志向の道具作りにこだわり、事業を発展させてきた。

 源一さんは、「鋏など、刃物は、日常に欠かせない道具として、これからもずっと求められていく。急激に伸びるような市場ではないが、すたれることはない。その中で、よく切れ、なおかつ切れ味が持続する、使い勝手のよいものを作り続け、信頼を得ることに努めてきた」とこれまでの歩みを振り返る。

 一級品の材料を使い、鍛造、熱処理、仕上げなど、出来上がるまでの工程を省かずに鋏づくりに取組み、技術を集積してきた。また、刃物に対する時代のニーズに果敢に挑戦し、フッ素樹脂加工やチタン、セラミックといった新素材加工の技術を取り入れ、商品作りに生かしてきた。

 中でも、今から21年前の昭和57年に発売を開始した園芸鋏「ハンドクリエーション」シリーズは、同社の商品開発に対する姿勢から生れた。その年のグッドデザイン賞に入選するとともに、今でも売上げを伸ばしているロングセラー商品。

 刃物の切れ味をそのままに、鋼の上にフッ素樹脂でコーティングし、樹液などによる錆付きを防止した。さらに、それまで金属だった柄部をエラストマー樹脂にすることで、重量を従来品の半分ほどに軽減。デザインも洗練されており、柄部に人差し指をかけるくぼみを付けるなど、細部にこだわりを見せている。

 同商品は発売から20年以上経った現在も、特に花屋のスタッフなどから信頼を得ている。また、今でも改良を重ね、シリーズを充実させている。例えば柄のカラーバリエーションを増やすことで、使い手が用途に応じて商品を選ぶことができるようにした。さらに、ことしは、左利き用の発売を予定している。

 同社は、園芸鋏だけでなく、包丁やキッチン用品などにまで商品開発の分野を広げて、商品開発に取組んでいる。例えば、料理店などで、料理の盛り付けに使う盛り箸。従来は先端部がステンレス製だったが、これをチタン製に改良した。チタンはステンレスより格段に軽いことはもちろん、水に溶けてイオン化しない。そのため、料理の味を変えることがなく、安心して使用できると評判を得ている。現在、日本料理店などで取り入れられ、着実に売上げを伸ばしている。

 今回、社長職を退く源一さんは、次期社長の信行さんに、これまで培った、商品開発にチャレンジする前向きな姿勢を伝えている。

 源一さんは、「私どもの会社は、創業者から現在にいたるまで、後継ぎの夫婦に、守ってほしい言葉を伝え、受け継いできた。例えば創業者の源次は、『人生に近道がなし/失望もなし/人生に希望をもて/辛抱せよ』という言葉を残した。2代目の私の父、幸一は、私に『失敗を恐れず、あきらめず/何事も一生懸命であれ/ブランドを守り、仕事に励め/社員と家族を大切に』という言葉を贈ってくれた。私は次期社長に、『笑顔を忘れず汗をかけ』と、一生懸命前向きに生き、事業を盛り立てるよう、伝える」とし、今後の事業発展に期待を込める。
                                                (三浦)

〜創業100周年と新社長就任式典
新社長「お客様に喜ばれる製品づくり」〜


初代源次の作品ガッチリ受けとる坂井新社長 明治36(1903)年に創業し、ことし100周年を迎えた新潟県三条市金子新田、(株)坂源は、6月29日午前11時半から三条ベルナールで、創業100周年記念式典並びに新社長就任式典、そして祝賀会を執り行った。

 高橋一夫三条市長、渡辺勝利三条商工会議所会頭はじめ、三条工業会の役員、同業者や、東京・木屋をはじめ県内外の取引先など関係者が列席。 

 100年の伝統を受け継ぎながら、新しい時代の要求に応えて、新しい製品を生みつづけてきた同社の努力を称え、この日をもって会長に就任した3代目の坂井源一社長から、4代目として会社を継承することになった坂井信行新社長並びにフタッフの今後の活躍を祈念した。

 同社の歩みについては、既に、別掲記事に詳しいので省くが、創業100周年記念式典は、坂井宜宏副社長の挨拶で開会。坂井源一社長が、創業以来、3代、100年の同社の歩みを紹介しながら、「100年の間、いろいろなことがございましたが、きょうお集まりの皆様からご協力頂き、励ましの言葉を頂いてきた。ささやかですが、100周年の記念式典を執り行わせていただいた」と挨拶。

斎藤弘文三条工業会理事長の音頭で乾杯 高橋三条市長は、「100年前、日本は産業革命がスタートを切ったころ。北前船が鉄道に取って代わられ、三条市でも、五ノ町の船着場が繁盛していたが、大型倒産、廃業が相次いだ。関東大震災で、金物が復興。ウオルト・ディズニーは、『ディズニーランドには終わりがない。進歩し、世界に創造力がある限り、成長していく』と言った。坂源さんも、4代目の社長さんを中心に、たくましい創造力で、発展していくことを確信し、期待している」と祝辞を述べ、さらに各界の来賓祝辞が続いた。

 新社長就任式典では、創業者の坂井源次さんが作り、2代目幸一さん、3代目坂井社長に受け継がれてきた作品が、格言とともに、坂井新社長に伝えられた。

 社員から坂井社長の労をねぎらって花束が贈られ、坂井新社長が「お客様に喜ばれるサービス、製品を届け続ける。時代のせいにすることなく、知恵と行動で、次の100周年を目指し、会社発展のために頑張ります」と力強く誓った。

 社員代表の「誓いの言葉」の後、渡辺会頭が、「書いたものを用意してきましたが、新社長の顔を見て、読むのをやめます」と前置きして、「新社長は、学校を卒業と同時に、当社に入社、営業マンとして頑張ってくれた。縁あって、坂源さんに来られ、新社長になられた。彼の成長ぶりを拝見して喜んでいる」と親しく声を掛け、「家業だけでなく、ボランティア、商工会議所活動、ライオンズクラブでも、リーダーとして頑張って地域に貢献した」と坂井源一社長の行動力を称えた。

 高森コーキ会長の高森博さんも、取引先であり、ライオンズクラブなどの友人として、毎年、孫と一緒に元旦マラソンに出場している坂井源一社長の人となりを紹介しながら「元気印のお手本。坂井家も(株)坂源も、200年間保証付きだね」と、祝福した。

 祝賀会では、嵐嘉明県議が、坂井源一社長と同級生のよしみで、運動会でいつも優勝していた坂井社長の思い出を披露、「将来の100年に向かって大成功されますように」と称えた。
                                                (社主)