田野市議、市長の責任を問う
返す刀で、先輩市議に「大道につこう」と訴える
 新潟県燕市議会6月定例会での一般質問は、6月16日のタナカ・キン市議の「市内の小学校でのCAPのワークショップの導入」「産業資料館の有効活用」などといい、17日の田野隆夫市議の合併についての追及といい、1年生議員ながら、はっきりとしたポリシーをもって、提案なども交えながら、市長、行政担当者の責任を問い、速やかに実行するよう迫っていた。
 しっかりとした信念を持った市民を、市民が意識的に市議会に送り出すことの重要さを見せつけるとももに、議員は経験年数ではなく、個々の市民としての意識のあり方が重要であることを、1年生議員が証明している。

合併について、市長の責任の重さ追求する田野市議 特に、田野市議は、広域合併の推進という目的意識を持って市議選に挑戦した一人で、当選後の、合併をめぐる市議会の動きを見てきたうえで、高橋甚一市長に、リーダーとしての政治哲学、4市町村の首長はじめ住民に対する道義的責任を質すなど、政治家としてよりも、厳しい社会でもまれてきた一市民として追及。歯切れの悪い高橋市長の答弁に、鼎(かなえ)の軽重が問われさえした。

 田野市議は、自らが加入している西蒲燕倫理法人会からの情報による明治維新、昭和維新、そして現在の急速で激しい変化の見られる平成維新の状況や、三条新聞の「合流点」に投稿された燕市の中学生の文章「燕と三条が仲良くやってきた県央の共同作業は、いったいどうなるのでしょうか。インターチェンジと新幹線駅が同じところにあるというのは日本でも一カ所で、全国の人は『燕三条』の町がすでにあると思っています。私たちの夢をこわさないでください」、あるいは、今年1月のある銀行の新年会での挨拶で紹介された、「小泉総理が日本の現状を憂いて提案した、日本の国際競争力を世界のトップにするための骨太の方針」を披瀝した上で、高橋市長の考えを質した。

 第一に、高橋市長の政治哲学、人生観、広域合併に関わってきたほかの四つの市町村長はじめ住民への、道義的責任をどう考えるか。

 第二に、今日の(合併問題をめぐる)政治的な混乱を招いたことについて、(1)議会の責任(2)市長の責任(3)市民の責任のいずれと考えるか。

 第三に、県央の市町村合併の選択について、燕市民に対して今後(1)市民を対象に、もう一度住民意向調査をする(2)住民投票をする(3)議会の判断に任せる(4)市長職を賭けて市民に問うのいずれか、と迫った。

 高橋市長は、田野市議が述べていないことながら「私に対する『度胸のなさ』『判断力の悪さ』『決断することができない』。そういう色々な、企業経営のみならず、私として参考になる話を聞かせていただいた」と前置きして、答弁に入った。

 政治哲学としては「市民の幸せのためにがんばる」、人生観としては「誠心誠意、全力投球する。努力はしてきたつもり」。

 混乱の責任については、「市民の責任とは思っていない。私に責任の一端はある。市議のみなさんも、『車の両輪』である以上、市民に選ばれた市長、市議の両方に責任がある」とした。そして、今後については、「申し上げられない。時間的な問題もある。時間が迫っており、論ずる時間もない」と苦しい答弁が続いた。

 4市町村長ならびに住民に対する道義的責任については、「県央東部での合併で、一歩も間違いなく、崩れることなく発言してきた。燕市議会のなかで通らない現在の状況。四つの市町村からも、燕市の態度がはっきりしないと言われている。燕市としては6月定例会中に方針を決定したいと考えている。吉田町へも、県央東部の中でと足を運んでいる。具体的には申し上げませんが。結論を急がなければならない。一日、一日と迫っているが、努力してみたい」と、自らの立場を主張した。

 しかし、田野市議は承服せず、2回目の質問の冒頭に改めて、四つの市町村長ならびに住民に対する道義的責任について、「もう1回お尋ねする。三条市、田上町、下田村、栄町、この四つの市町村長ならびに、そこに一生懸命、広域合併に関心をもってこられた住民のみなさんに対してどういう道義的責任をお持ちなのか心配している」と、鋭く追及した。

苦しい答弁をする高橋市長 高橋市長は、2回目の答弁で、「確かに2月24日に法定協議会設置を予定しながら、結果的に延び、先月の研究会で、『もう少し時間を』ということになり、なんとか県央東部法定協議会設置に参りたいという気持ちがあった。4市町村より遅れていることはお詫びしなければならない」。

 そして、田野市議は、3回目の質問で「三条市長が、県央東部発足当時、11市町村に挨拶回りしたとき、なぜ、燕市長は加茂市以外に一緒に挨拶に行かなかったのか。そこが、今になって尾を引いている」と質した。

 高橋燕市長は「三条市長は、11市町村の会長というので、その立場から、今回は一人で報告されると言われた。私も一緒にと言ったが、今回だけは一人でと言われ、加茂市については行きにくいので一緒に来てくれと頼まれた」と経過を明らかにした。

 田野市議は、さらに「田中角栄元総理の残した政治的遺産である燕三条駅、三条燕インターを生かし、大道につく精神で、県央地域の大合併を進めようではないか」と、先輩議員にも一言、訴えた。

 これまで、県央東部合併研究会で合併による新市のシミュレーションなどを検討し、いよいよ、法定合併協議会の設置という重要な局面を迎えながら、苦し紛れとはいえ、まだ、「法定協に進んでからでもやめられる」と答弁してはばからなかった高橋市長。

 これに対して、燕市民への責任はもとより、特にほかの4市町村長はじめ関係者、住民への責任の重さを、痛感しているのが田野市議。

 どちらが市長で、どちらが市議なのか疑いたくなるような質疑応答だった。
                                                (社主)