大山前議長 県央東部合併の必然性訴える
高橋燕市長 反対派に翻意を頼む 
一般質問では設置提案に言及せず
 新潟県燕市議会6月定例会本会議は、6月18日午前9時30分から開かれ、一般質問で本多了一、斎藤紀美江、大山治郎の3市議が市政について質した。

 大山市議は、合併問題を取り上げ、先の議長選の混乱、財政制度等審議会の建議案の記事を挙げ、市の逼迫した財政状況を見つめ直し是正するため、産業発展、まちの発展のためにも、発展している燕三条駅周辺の市街地を中心にした、県央東部合併を訴え、「未来を志向したまちづくり、子供対の未来のためでもある」とした。要旨は次の通り。

 大山市議は冒頭、議長選での混乱に対し、「県央東部合併賛成、反対が、10対10の状況下での議長選の混乱は、マスコミの関心を集め、私のところにも、市民からの非難があった。燕市100年の大計が1票差で左右されていいのか。改選後1回の定例会で法定協議会設置が廃案になったら、一挙に夢が消え去る。私たちの議員としての責務を深く思う」とした。

 第1に財政の現状と今後の見通しについて、「私は合併こそ行政改革であり、新しいまちづくりのチャンスだと思う。6月7日の新潟日報1面は、財源が保証されている地方自治体には『親方日の丸に自立を求める』との内容。燕市の財政不足が挙げられる。年々、地方交付税、国からの補助も厳しくなっている。これらの比率がどのように響くのか。また交付税が減った場合を過去5年間と比較し、教えてほしい。燕市の自主財源は不況でいっそう厳しくなり、高橋市政の重点である福祉を始めとしたサービスの低下、あるいは停止もありうる。また市には退職金基金がなく、これから、市職員の退職金支払いに、どう対処するのか、将来退職金はどの程度になるのか教えていただきたい。県央東部合併の効果として、特別職はじめ職員の削減による、財政の削減は非常に大きいと思う。年間軽減額はいくらになるのか。燕市単独でいた場合は財政の将来はどうなるのか。中越衛生し尿処理場も大問題。最悪、単独でいたら、し尿処理も単独でとなる」

 第2に産業と合併について、「地場産業の地盤沈下も深刻と考えている。燕市でも経営基盤強化に努めているが、燕市工業製品出荷額の低下は深刻。昨年も大幅に減少した。私にも工業出荷額の推移は予想もつかない状態。収入全体の状況と見通しについてもお聞かせ願いたい」

 「燕市の地域産業の力を信じているが、地域間競争の時代、三条、燕、吉田の3市町は、金属加工産業の一大集積地。新潟、長岡の二大地域の狭間となってしまったら、県央地域全体が埋没してしまうと危惧している。県央東部合併が最善と思うが、市長の所見をお聞かせ願いたい。燕市の業界4団体は、合併によって地域間競争に勝つことを狙っている。『燕三条ブランド』は最早、全国区のブランド。東部合併反対は、それらを失うことである。西蒲南部は、7月に法定協を立ち上げるが、西蒲にいっても『燕の名』が残る保証はない。三条と燕は、合併の核となる。燕は産業ブランドとして世界に知られている。東部合併でなくなることはない。産業についての市長の所見をお聞かせ願いたい」

 第3に新市の都市構想について「現在は高速交通の時代、燕は、燕三条駅、三条燕インターチェンジと全国でもまれに見る、最高の立地条件。新都市建設には、この二つが核となる。県央大橋がどれだけ燕の交通、産業に役立つか、私が言うまでもない。合併が進めば道路建設は急速に進み、産業、農業が発展できる。三条、燕、吉田の境界の道路は、ちぐはぐになっている現状。所見をお聞かせ願いたい。燕市の今までの発展は、先人、農家、地権者の協力のもとでできた。決して一市でできたわけではない。須頃郷の都市開発には、地権者の反対もあったが、先人の努力、地権者、農家の協力もあり、区画整理が進んだ。その成果が今日の発展。新幹線駅を中心とした県央の大発展に夢を託したい。先人たちの努力を無にしてはならない。今までに新市の中心が完成している。西蒲南部でどこを中心地とするのか、新しい町をつくる場合、中心地が必要となる。今まで膨大な投資、開発をしてきた須頃郷を核とした東部合併がよい。市長のまちづくりに対する所見をお聞かせ願いたい。特例債の期限が迫る。市長の方向性を聞きたい」と質した。

 高橋甚一市長は中越衛生し尿処理場について「広域市町村で運営している。スケールメリットによるものが大きい。今の施設は、38年経過していることから、移転、改築の準備が進められているが、莫大な費用がかかる。組合では、三条地区で用地買収を進めている。合併をすればさらに建設費を圧縮できる。しない場合は、建設費用もかさみ、し尿の処理も独自にしなければならない」

 産業振興についても「この地域が、二大地域の狭間で埋没することを危惧している。県央東部合併の枠組みを外すわけにいかない。業界からも、昨年は、吉田産業メタルセンター、今年は、三条商工会議所、今月16日には、燕商工会議所から、合併推進の要請書をいただいている。県央産業の促進を求め、産業面からの東部合併実現を目指すことは、県のパターンにも合致する。私が最も望むこと、最大限協力したい」

 まちづくりについては「県央東部には、高速道路インター、新幹線駅を核とした一大商業ゾーンがあり、地域一番の賑わい。まさにご苦労された区画整理事業を進めたこの地域が核となることを信じている。合併で、金属加工産業の発展、町の広域化が進むと思う。大きな規模での合併で民間資本の進出も活発化し、多くの人が、働き、住む、心に豊かさを持てる地域にしたい」と夢を語った。

 方向性については「法定協議会設置そのものが危うくなってきている。限られた時間のなかで全力投球したい」とした。

 中野邦雄助役は工業出荷額について、「2300億円から1500億円に減った。下請け産業も他地域の発注がなければ進まないと考え、新分野への参入、発注を図っているが、国、県の対応も変わりつある」とした。税収については「8億円を切る状況。固定資産税も、減価償却が進み、新規投資もなく減少を危惧している」とした。

 神保至史財政課長は「地方交付税も災害、合併地域を重点にされ、約20%減らされる。退職金対応は、今までと同数だが、平成10年以降退職者が増え、積み増しなどを真剣に考える。退職金のピークは平成19年、29名の退職がピーク。今年から19年まで75名が退職する」とし、「合併しない場合の財源は、高齢化も進み、介護保険の振出金や、介護施設の改修などの費用が必要で、固定資産税や、国庫支出金も減り、サービスを低下させざるを得ない」と答えた。

 2回目の質問で大山市議は「率直に申し上げ、数字を書きながら、嫌になり、不安になった。これから本当に燕を考えるなら、財政を無視してはならない。法人市民税も大幅に落ち込み、市民にも大きな影響を与える。燕市は44%という大変な依存財源に頼っている。隣の借金が多いから、燕市の方が少ないという考えは甘い。足元から財政を見直すべき。燕では、市債も増加している。市債は次の世代に借金を引き伸ばすこと。長引く不況が、市だけでなく市民生活にも大きな影響を与えている。そういう中でも支出する金は増えている。必死で市民が生き抜いている。行政改革が必要。しかし単独で進めるのには限度がある。合併効果による削減効果を聞き、合併しなければサービスの維持が難しいことも聞いた。これらを多くの市民に知ってもらう必要がある。合併はメリット、デメリットの数字あわせではなく、子供達に借金を残さないための決意。目の前の数字だけでなく将来を見据えるべき」と合併の必要性を熱っぽく語った。

 退職金について「議員になって驚いた。普通の会社では、全社員の退職金を保険制度として掛けている。ところが、燕市には積み立てがない。何億という金を一般財源、すなわち税金から払うわけで、退職金には、補助金があるのか。市債が発行できるのか。対応できるかできないかを改めて聞きたい」と質した。

 中越衛生し尿処理場に対しても「三条地域への移転は、大問題。合併しなければ白紙に戻る。東町からも撤去を願う声がある。そのために合併が必要なことを住民も知っている。合併賛成、反対と言う前にそれらの影響を受ける地域住民を無視できない。広い視野が必要」と質した。

 産業についても「燕産地が大変になりつつあることを答弁でいただいた。要請書も受けた。吉田金属団地から吉田町当局に合併を望む声もある。産業発展のために東部合併を」と訴え、さらに「三条、燕、吉田、の企業群の発展にこそ、日本の中小企業の発展があると平沼産業相(当時)も言われた。県央大橋も燕と三条の協力があってこそ完成できた。市長は県下に先駆け福祉のまちをつくってきた。県央合併が燕の未来に関わる大切なこと。東部合併を望む市民に対しての所見を望む」と質した。
 橋市長は「当然合併の大義は、未来のまちづくり。言われたとおりと思う。産地が疲弊して非常に困っているなか、ばらばらでは、力も弱く、国、県の補助も薄くなってきて、衰退の一途を辿る気がしてならない。3つの県央市町が1つになることを目指す。議員のみなさまにそういう気持ちになっていただき、合併にご賛同いただきたい」とした。

 大山市議は最後に「基本的に自立なくして町の発展はない。今議会の10対10という状況は、合併に対する慎重審議を議会に求める市民の思い。その結果が、議長選のくじ引きで決まるのはよくない。有利、不利の問題でなく、市民にとってどういうことが大事か、審議し考えること。市民の真意がどこにあるか考えるべき」と全議員、市長以下職員に言い聞かせるように話し、質疑を終えた。

 3日間にわたる一般質問で高橋市長は合併法定協議会設置を提案するのかしないのか、態度を明らかにしなかった。   
                                                (外山)