弁当給食にノウハウ結集
オーシャンシステム 樋口毅社長に聞く
 新潟県三条市西本成寺2、(株)オーシャンシステム(樋口毅社長)は、弁当給食、食材宅配、スーパー、旅館経営の四つの柱で業績を拡大。平成14年3月期の売上高は前期より20億円増の260億円、来期の平成15年3月期は、さらに前期比30億円増の290億円を見込んでいる。

 樋口社長は、「宅配事業の営業力、スーパー経営の仕入れ力、旅館経営で培った本格料理を作るセンスを、私どもの最大の柱である弁当給食事業に生かし、シェアを拡大していきたい」としている。

 樋口社長に、これまでの会社発展の歴史を振り返ってもらうとともに、今後の方向性について聞いた。

「株式公開を機に全国へ展開」と樋口社長 同社は、昭和30年に、樋口洋平会長、樋口社長、樋口勤副社長の三兄弟の父、仁太郎さんが三条市の本寺小路で肉屋を開いたことから始まった。その後、惣菜に力を入れ、さらに惣菜作りの利点を生かして、弁当宅配事業を行った。

 弁当宅配が時代のニーズにマッチして、2倍、3倍と売上げが伸び、栄町に弁当工場を建設するまでになった。

 一日に3000食を宅配するまでに成長したが、その後頭打ちになり、伸び悩んでいるところに、保冷車で夕食の食材を宅配するヨシケイグループの存在を知った。昭和53年、同グループに加盟、食材宅配事業にも進出した。

 樋口社長は、「ヨシケイの、主婦の夕食の献立作り、買い物を代行するというサービスの存在を知った時は、このような仕事もあるのかと驚いた。それまで私どもは、地域のみを対象とした弁当宅配業だったから、井の中の蛙のような状態だった」と振り返る。

 ヨシケイの流通システムを活用し、食材宅配事業を拡大。三条市だけでなく、新潟市、長岡市にも進出した。

 現在、同社は新潟県、群馬県、北海道に営業所を持ち、全国65社あるヨシケイグループの中でもトップクラスの売上げを誇っている。

 同時に、これまで培った弁当宅配事業のノウハウを生かし、昭和62年、「フレッシュランチ39」ブランドで全国展開する子会社、(株)サンキュー・オールジャパンを設立した。同社は、弁当製造に必要なメニューの企画、食材や備品の調達や、弁当宅配のノウハウを提供するフランチャイザーで、現在、FC店が100店舗を超えるなど、全国展開を進めている。

 「もともと弁当宅配事業は得意分野。同業界で、お客様に喜ばれるサービスとは何かもよく知っている。安くておいしい弁当作り。そのためには、例えば米に、新潟県産コシヒカリを使うなど食材にコストを掛け、栄養バランスも取れておいしい弁当を作るとともに、価格を安く設定することだ。『日本一おいしい弁当を日本一安く提供する』。これが実現でき、お客様から信頼を得られれば、シェアも拡大できる」

 こうした中、さらなる事業展開を目指し、食品の小売りというスーパー事業に進出するため、平成2年、燕市佐渡に、現在のチャレンジャー燕三条店の前身であるカウボーイ燕三条店をオープンさせた。これは、北海道札幌市に本社を置く(株)カウボーイのノウハウを取り入れたもので、土日のみの営業など最小限の経費で、圧倒的な安さを売りにした営業だった。平成7年には、チャレンジャーとして同社オリジナルの営業形態へと生まれ変わった。

 樋口社長は、スーパー事業への進出は、「今から思えば魔が差したとしか思えない」と苦笑する。

 当時を振り返り、「そのころ、弁当と食材の宅配は、合わせて年間100億円ほどの売上げだった。これをさらに拡大したいと思い、縁があってスーパー事業を手掛けることになった。全くの素人が、スーパー激戦区の中で戦わねばならず、あまりに苦しくて死ぬ思いだった。一度は全部放り投げようとさえ思った」と語る。

 がまんの経営に徹し、今では、県内に9店舗を展開している。

 「素人なので普通の人の2倍懸命に働いた。小売業に携わることによって、流通のあり方など勉強になった」

 チャレンジャーの展開に加え、兵庫県稲美町に本社を置く(株)神戸物産の「業務スーパー」とフランチャイズ契約を結び、平成13年に、チャレンジャー燕三条店の敷地内に業務スーパー1号店をオープンさせた。これは、中小小売店などを対象にした、持ち帰りの卸店、キャッシュ・アンド・キャリーの業態で、中国などから業務用冷凍食材を大量に買い付ける方法で徹底した安売りを実現している。

 業務スーパーは、同社のスーパー事業初の県外出店である福島県福島市の笹谷店を含め、現在7店舗。これにより、現在同社が運営するスーパーは16店舗になった。スーパー事業単体の売上げも平成14年3月期で150億円に達するなど、同社業績アップのけん引役にまで成長している。

 「スーパー業界については素人だが、力を振り絞って苦労を重ねた結果だ。特にスーパー運営の事業は私どものスケールメリットを担う仕入れ力アップにつながった。これが、弁当給食の仕入れにも効果があった」

 平成6年には、寺泊の海辺に割烹旅館「海風亭寺泊日本海」をオープン。

 樋口社長は、「これも、今から思えば、魔が差したと言えなくもない。これまたスーパー事業と同じく厳しい状況だったが、ゼロからのスタート。お客様に喜ばれるサービスを提供しようと必死にがんばった。今では、新鮮な海の幸を使った本格料理をリーズナブルな料金で提供し、多くのリピーターから愛されている」と苦労を振り返る。

 今後の同社の方向性について、樋口社長は、「全ての事業に、『よいものを安く提供する』という姿勢を追求する。これがお客さまの喜びにつながる。4事業の中で私どもの柱は何と言っても創業以来貫いてきた弁当宅配。私どもが一番力を発揮しやすい分野だ。ヨシケイで培った営業力とチャレンジャーなどスーパーを経営して身に付けた仕入れ力、割烹旅館の経営で磨きをかけた味とセンスも、すべてランチサービス事業に生かされている。さまざまな事業を行ない、苦労した面もあったが、それが結果的に私どもの強みになった。弁当宅配は今現在、全国に100店舗以上のFC店があるが、今後はさらにシェアの拡充を図っていきたい」と力を込めた。

 同社は、ことし末までを目標に、弁当給食業界で日本初の株式公開を目指している。

 「すでに準備は大詰めの段階にきている。全国規模で、客観的に私どもの仕事を見てもらえるし、優秀な人材も得やすい」

 求める人材については、「社会経験のない真っ白な状態の大卒と、力はあるのに、今の会社で能力を発揮できていないような中間管理職を求めている。株式公開すると、今まで以上に広い地区から人材を得ることができるだろう」と、人材の獲得とさらなる飛躍に意欲を見せている。