あるものを生かしたまちづくり
湯田上地区リフレッシュゾーン街なみづくり事業
 田上町商工会(新潟県田上町、佐野一雄会長、390会員)は、1月27日、田上町湯田上温泉、ホテル小柳で、新春会員の集いと町政懇談会を開催。その中で、アトリエアイ代表の水島信さん=写真=が、「湯田上地区リフレッシュゾーン街なみづくり事業」の中間報告をした。

 水島さんは、1970年に芝浦工業大学工学部建築学科卒業後、1981年ミュンヘン工科大学建築学部を卒業。ウィーン、ミュンヘンの設計事務所勤務を経て、1990年6月に独立、アトリエアイミュンヘンを設立。ドイツや日本で建築設計、都市計画設計などを数多く手掛けている。同事業にも学識経験者として参加している。

 水島さんは、スライドに自分の好きなヨーロッパの街並みなどを映し、「今までの建物などを滅多やたらに壊さず、あるものをいかに現代に利用できるか、200%くらい考える。どうしてもダメなら壊す。古いものを壊すことは匠(たくみ)の技を捨てること。古いものは住民の誇りとなり、それを見に人が来る」と紹介。

 「活性化できないようなまちづくりはやるべきではない。町の中にある商店街が儲からないようなまちづくりはダメ。商店が儲かれば税収が上がる」と持論を述べ、田上町については、「これだけいいものを持っていながら、なぜそれに気付かないのか疑問。職業柄、いろいろな町を見てきたが、それでも田上町からは新たな驚きを与えられる」と絶賛。竹林や庭のある古い家などを映し、「特別な建物ではないが、これだけ自然と建物が融合している街並みはない。田上は一つの道だけがきれいなのではなく、どこに行ってもこのような街並みに出会える。“点”の町も“線”の町もあるが、湯田上は“面”の町。少し化粧直しして、面のルートを完成させれば、いい町になる」と太鼓判を押した。

 改善点として、人が安心して歩ける歩道スペースの確保などを挙げた。加えて、「田上町は(西側の三条市や新潟市など)蒲原平野の方ばかり見ているが、東側をもっと意識してはどうか。今、工事している山田川・才歩川改修工事が終われば、一番近いのは五泉」とアドバイス。しかし、このまま工事を進めると、「斜め切り」で上から川を見下ろすと恐怖感があるような河川になることから、「観光面を考えるなら、水辺を歩かせるような形をつくらせるべきだ。今のところ、柵ではなくアジサイで川を囲うと言うが、これで子どもが落ちたら間違いなく柵ができる。そうなったら景観も何もない」と警告し、道路幅も8メートルは確保したいとした。

 最後に、水島さんは「こういう話をすると『金がない』と言われるが、最初から完璧なものをつくる必要はない。何期かに分けて、金ができた時につくっていけばいい。ただ、中途半端なものをつくり、後で壊すのは金の無駄」とし、金がないなりの方法があることを提案して、話を締めくくった。    
                                               (廣川)