新潟から世界へ 「創発」
にいがた総おどりの能登さん 新潟経営大学で講義
 新潟県加茂市希望ヶ丘、新潟経営大学(蛯名保彦学長)は、9月24日から平成16年度総合講座「企業経営を考えるPart2―ミッション・戦略・組織」を開講しており、10月6日には新潟市で地域活性化のために行われているイベント「にいがた総おどり」の実行委員会副委員長、能登剛史さんを講師に「新潟から世界へ 祭の可能性」のテーマで講義を受けた。

 この講座では毎回、産業界で活躍している人を講師に招き、経営の現状や経営戦略を講義してもらい、地元企業の経営について理解を深め、かつ受講生が意見を発表できるようになることがねらい。さらに、地域の生涯学習に役立てようと、一般市民の聴講も可能としている。

 この日は第2回目の講義で、1回目では、この講座全体の講師として助教授の森岡孝文氏が、社会学や経営の考え方を説明した。

 能登さんは、「子どもたちが一生懸命になれる機会をつくり、郷土愛を育て、新潟を世界に」と開催されている地域活性化イベント、「にいがた総おどり」の発起人の1人。1973年秋田県で生まれ、間もなく新潟市に移り住んだ。新潟市立高志高校を卒業後、1年間アメリカへ留学。その後、会社勤務を経て、4年前に若者3人で「にいがた総おどり」の実行委員会を立ち上げた。現在は、このイベントを中心に企画運営などをする会社、(株)サイトを経営している。

 講義前半は、今年9月18日から20日まで、新潟市内10会場で開かれ、1都1道7県から130団体、6000人が参加し、延べ23万人が訪れた3回目の様子をビデオで紹介。その後、能登さんが実行委員会設立から運営、理念、将来の展望を講義。受講生の質疑を受けた。

 にいがた総おどりの発起人は、能登さん、大学生の岩上寛(ゆたか)さん、高知県出身の佐藤春雄さんの若者3人。

 「4年前、新潟市内では、カミーノ古町が倒産し、新潟中央銀行が破綻。全国的に子どもたちが関わる悲惨な事件も頻繁に報道され、マイナスのニュースが多かった。同じ年に、本場高知のよさこいチームが新潟市で踊りを披露し、1000人からの観客を前に『一緒に』と声を掛けたら、老若男女が輪に入って踊った。その光景、子どもたちの笑顔を見たとき、こういう機会を定期的に作ろうと、一念発起した」と、きっかけについて話した。

 「子どもたちが一生懸命になれる瞬間を踊りをきっかけに経験してもらい、郷土愛、生きる活力などを見つけてもらいたい。地域住民が夢を持てる人、地域のヒーローを育てたい。平和や環境など地球を思う気持ちを含めて、次世代に伝えていきたい」と、理念を語った。

 岩上さんとの出会いについては、「行政や企業を回っているとき、商工会議所、市役所、県庁の3つの場所で『おもしろい大学生が来た』と話があった。当時は新潟県でのワールドカップの前で、彼は企画書と100人分のアンケートを持って『ワールドカップに付属して若者が参加できるイベントを』と訴えていた。世界的ビッグイベントに関してたった100人分のアンケートで、商工会議所や県庁などを回る無謀さ、考える前に行動するところに共感し、ひかれた」とした。

 4年前は、よさこい踊りの認知度が低く、「肩書き、経験、人脈、組織、資金もない若者3人で苦労した」とし、行政、企業、商店などを周りに趣旨を説明。

 「3人で話し合って、協力体制や組織を記した70ページの企画書を作った。名誉会長に平山征夫県知事、当時の長谷川義明新潟市長、実行委員長に上原明新潟商工会議所会頭を据え、私は行政や商店との交渉。岩上は当時、県内に少なかった踊りのチーム探し、チーム作り。佐藤は踊れる実行委員と決め、自分達で創り、楽しみ、方向性を示すこととした。『次世代に受け継ぐ』ことをテーマに『想う、奏でる、創る』の3つのそうを合わせて『総おどり』とした。想は未来を想うこと、奏は踊り子が奏でること、創はスタッフ、観客も一体となったイベントを創ることを目指した」と話した。

 実行委員会は3人の素案を基に、能登さんの自宅を事務局として合計5人でスタート。新潟商工会議所に企画書を持ち込み、同商工会議所内にあった新潟TMOを説得して、同商工会議所内に事務局設置へとこぎつけた。

 第1回のイベントは、総予算1500万円、参加50団体、2500人をめどにスタート。「1回目から3回目まで企画書のめどのとおりにイベントを運営することができた。今後は、さらに開催期間を1カ月に延長し、クラシックやオペラなど世界からプロを集めた世界大会の期間、素人がご当地の民謡やオリジナルの踊りで自由に参加できる期間を設定。新潟らしさの和、オーケストラなどの洋を融合したものを発信したい。そこに教育を持ち込んで、有名な講師を新潟に招聘したりすることで『踊りを学ぶならば新潟へ』と言われるほどにしたい」と構想について語った。

 能登さん個人は、アメリカへの留学しており、価値感に大きく影響した。「いろいろなカラーを持った人が自信を持って闊歩し、まちを創っている様子を見て、まちづくりは人づくりだと気がついた」とし、「バカになって、考える前にすぐに行動することが大切」だと結んだ。

 森岡助教授は受講生の質問に答えるかたちで、能登さんの講義を解説。

 能登さんを講師に招いたことについて「伝統的企業の経営者だけが、組織論、経営学を語ることができるわけではない。新規創業としてみると、『創発』という非常に難しいテーマを具現化している」とした。

 講義のテーマである、ミッション、戦略・組織という観点では、「にいがた総おどりの実行委員会は、NPOやボランティア団体のような共有型組織でありながら、管理型組織の面をうまく組み込んでいる。一方ばかりが際立っても組織は上手くいかない。共有型組織のなかに、いかに管理型組織の面を生かしたかが重要」と、説明。

 さらに、能登さんと岩上さんとの出会いについて着目し「市役所や商工会議所、県庁など2人の間で直接のつながりを持った人とのつながりが、出会いにつながった。これも非常に重要」と評価した。
                                                (外山)