無名異焼と銅器のコラボ
IDS奨励賞 富貴堂「湯豆腐鍋」
中子を外して他の使い方も 新潟県燕市花見、(有)富貴堂(藤井宏社長)は、県内各地の伝統的な地場産品をコラボレートさせた「湯豆腐鍋」でIDS奨励賞を受賞した。同賞の受賞は平成8年に続き2回目。

 この商品は、同社が昨年の秋冬向け商品として企画したもの。手作りの銅打ち出し田舎鍋のなかに、無名異焼の中子を入れている。同社で陶器を使った商品を扱うのは、初めて。藤井社長は「陶器を扱うのは初めてだが、以前から無名異焼の良さは知っていた」と話す。

 中子は同社で設計し、懇意にしている佐渡の窯元に製作を依頼。強度や安定性などを得るため、底面に水の通り道を作るなど、試行錯誤して完成した。無名異焼は、焼き上げ時の収縮率が高く、特に台の部分に苦労したという。

 銅器は熱伝導率が高く、鍋料理に向いている。どこか懐かしいような、素朴なかたちで、無名異焼ともマッチしている。無名異焼は他の陶器に比べ鉄分などミネラルが多いうえ、保温力が強く、銅器と熱伝導率が異なるので、豆腐の味も良くなる。

 同社の藤井健さんは「以前から、窯元と懇意にしており、いつか無名異焼と銅器を合わせた製品を作りたいと考えていた」と話す。この構想と秋冬向けの構想が合致。中子以外にも蓋、お玉には県産の木材を使っている。

 「鍋はかさばるもの。用途を限定したくない」と、中子は取り外すことができ、この鍋一つで湯豆腐はもちろん、しゃぶしゃぶ、おでんなどの鍋料理のほか、多様な使い方ができる。

 審査員からは「これからは、ユニバーサルデザイン的な品、地域文化に密着した品の二方向の品が生き残る。そういう考えのもと目を引いた。作り手の顔が見える安心感がある」と、評価された。

 確かな製品同士が合わさることで、良い商品ができる好例とも言え、伝統的な地場産品の良さを引き出している。

 同社では、生活用品として銅の良さを出せる製品づくりを目指している。「原点に戻った感じ。銅の良さを100%出せる製品を作りたい」と藤井社長は話す。      
                                                (外山)