感性の計数化で売上増
初の中小企業家同友会県央ブロック例会
「見えない評価を数字に」と五十嵐さん 新潟県中小企業家同友会県央支部(猪熊尚支部長)と、同三条支部(小嶋勝美支部長)は、5月19日午後7時から、燕勤労者総合福祉センターで初の合同例会となる県央ブロック例会を開催。

 三条支部会員の、三条市金子新田、五十嵐刃物工業(株)代表取締役、五十嵐孫六さんが例会報告として「夢がなければしょうがない!アバウトから緻密な計数管理へ」の題で、経営についての体験談を話した。

 冒頭には、猪熊支部長、小嶋支部長が挨拶。

 小嶋支部長は、3月3日の三条支部設立の例を述べた後「五十嵐さんは、非常にユニークな人物。いい意味で楽しいお話を聞けると期待している」とした。

 五十嵐刃物工業(株)は、昭和18年創業。「Kanenori」のブランドで知られる刈り込み鋏、剪定鋏、鉈などの刃物メーカー。

 五十嵐さんは、「経営者は金儲けをしなければならない。いかに社員を金儲けに振り向かせるか。お客に製品を売る、社員に働いてもらうことにも感性が重要。そういった見えない評価を計数管理へ」と、創業者である父親の稼業を継いだ自身の経営者としての生い立ちを話しながら、「営業は商品の利益効率、現場は売れるモノづくりを追求。役員は経営全般に責任を持つべき」という持論を披露した。

 例会には、40人ほどが出席、6つのテーブルに分かれての会で、報告後「自社の現状と課題、悩みはなにか。仕事と経営の違いは」のテーマでグループ討論した。

 講演要旨は次の通り。

      ※  ※  ※

 私は、高校進学前から家業を継ぐことを決められ、卒業と同時に入社。5年ほど製造部門を経験した後、26歳前後で突然、父親から「あしたから仕事を辞めるから、好きにやれ」と、言われた。20歳の時に三条エコノミークラブに入会しており、勉強をするなか、自分にない能力を持つ人から教えを乞うことができたのは大いに役立った。30歳のときに父が倒れ、このとき、出入りの会社を、父についてきた人なのか、これから自分について来る人か試した。案の定、離れていく会社もあった。しかし、私がなにかやろうとするとき、必ずついて来てくれる人があった。夢を考えることは経営者にとって大切、社員には、いつも私の夢を話している。

 わが社は、世代交代が早いためにうまくいったのだと思う。37歳で取締役となり、代表権を持つと、自分の力のなさを感じた。

 1998年の金融不安が大きな転機。売上も落ち、金融機関にも話をしたが、規模の縮小など後ろ向きの話ばかり。売上が伸びないことをお客や政治のせいにして愚痴をこぼしていても売上が回復することはない。

 「目の前にお金をつかめるものがあるのに、なぜ手を出せないのか」と金融機関を説得し、金型に投資。金融機関には「1年で結果を出すように」と言われたが、結果は出なかった。しかし、逆に「お宅の業種で1年で結果が出るはずがない」と励まされた。

 そんななか下げ止まりとなり、昨年なんとか4%の売上増になった。

 試算表を見ると、忙しくても儲からない時期、暇でも儲かる時期がある。ある人の「暇だけど儲かっている」の一言で、固定費、原価などを見直した。原価率などだけで、いい加減な値付をしてはだめ。感性を大切にした自分なりのやりかたで計数を出し、値段を決めた。社員の評価にも感性が大事。そういった見えない評価を計数として示してあげる。営業の結果、売上、利益は従業員に分かるよう透明感を持たせる。

 我々の仕事は、末端ユーザーへと移行している。中間業者を飛び越え、情報を流すようになったら、県外からお客の反応が来るようになった。方針が表に出ることでお客が分かってくれる。逆に末端からリアルタイムでこちらにも情報が伝わる。ブランドの指名も多くなった。

 計数管理によって想像以上に儲かる商品もでてきたが、荒利が5割としても管理費によって儲かるはずの商品が儲からなくなることもある。営業は商品の利益効率、現場は売れるモノづくりを追求。役員は経営全般に責任を持つべき。

 利益を追求する。最終的には金儲け。そのために自社製品を世の中が必要とする方へ仕向けるのも経営者の仕事。    
                                                (外山)