ガスとし尿で紛糾
燕市議会議員協議会
 新潟県の燕市議会は、5月18日午前9時30分から、同市役所で議員協議会を開き、平成22年度の中越衛生処理組合新施設の供用開始とともに同組合から脱会、単独でし尿処理を進める申し入れを行ったこと、ガス事業の民営化について説明を受けた。

 し尿処理については、質疑に対して、吉田、分水の両町が参加する南部衛生処理組合への加入の可能性も新たに示したため市議から質問が噴出。

 ガス事業については、多くの市議が「日本一安い料金のガス事業を継続すべき」として低料金維持のため民営化に反対する意見を述べたほか、吉田、分水両町もガス事業を民営化することから、「なぜ吉田町に追随するのか」と不快感を表す市議もいた。

〜し尿処理 3案を比較〜

 高橋甚一市長は中越衛生処理組合からの脱会について、「中越衛生処理組合を構成する三条市、栄町、下田村は合併する予定。合併の枠組みの違う燕市が加わっていては支障をきたす恐れがあると、単独事業として検討を続けてきた。この度、県との協議で方向性が出て、単独で進めることになった。管理者の高橋一夫三条市長、組合議会議員には説明済み」とした。

 中越処理組合は、平成21年度に三条市塚野目地内に新施設を建設、22年度から供用開始の予定で、供用開始とともに解散。跡地は公園とする。燕市は、現有の下水道施設に受け入れ施設を設置、希釈したし尿を導入して処理を行う予定。

 受け入れ施設は、平成21年度当初に完工、試運転などを経て22年度に供用開始予定。設計から建設までに4年ほど必要で、19年、20年の両年度で建設にあたる。

 説明では、(1)一部事務組合での処理(2)燕市単独での新施設建設(3)下水道投入に掛かる経費概要を説明。これによると、(1)での総事業費は56億1000万円(2)では27億5200万円(3)では3億8200万円と、し尿投入による消化槽点検整備費用、脱硫装置の更新に1億7800万円の合計5億6000万円。補助金などを差し引いた燕市の負担総額は、(1)7億1900万円(2)14億3300万円(3)は5億6000万円。

 人件費などを差し引いた年間のランニングコストは、(1)が燕市負担分で7100万円(2)が1億2800万円(3)が受け入れ施設のみで1000万円、下水道処理施設が1400万円の合計2400万円で、下水道投入が圧倒的に低コスト。

 中越処理組合議会で、経費について詳細説明を受けている議員もおり「説明、資料不備」、「具体的な数字を」と求める声が多く挙がった。

 質疑では、田野隆夫市議が「4年後完工というが、合併協議の進む、吉田、分水も、ここで処理するのか」と質問。理事者側は「吉田、分水は、南部衛生処理組合で処理しており、西川を通る流域下水道を利用している。違う方向性となる」としたが「これまで受け入れができない状態と言われていたが、装置を付けることで、燕市分も受け入れ可能と判明した。選択肢の一つとしたい」と、新たに方向性を示したため、これについても質問が集中。

 中野邦雄助役は「今月の組合議会までに燕市として脱会するかどうかの方向性を出したい。南部処理組合の可能性もあるが、今後さらに精査し、提案していきたい」と答えた。

 さらに田野市議が「概略の数字でなく、実際には極端にランニングコストは安くならないのでないか。脱会は、政治的に三条市から離脱するものなのか」と質すと、高橋市長は「政治的配慮は全くない」と、答えた。

〜ガス料金安いのに何故〜

 ガス事業民営化について高橋市長は「エネルギー業界は、国の規制緩和により料金設定等、激しい競争が生まれ、代替エネルギーによって一層の厳しさが予感される。民間でできるところは民間に移行していきたい。専門家の確保も難しく、吉田、分水も同様の考えのもと、合併前の民営化を視野に入れた協議、研究を進めている」と説明。

 譲渡先選定の基本条件として「(1)ガス事業の公益性に基づいた事業経営がなされること(2)将来にわたって安定供給が可能な経営基盤を有すること(3)供給施設及び需要家の安全確保、サービス体制が充実していること(4)計画的施設整備が継承されること(5)ガス料金が現行水準に保たれること(6)市民の利便性が保たれること(7)燕市内の燕市指定ガス工事業者に対して積極的な支援が可能であること」の七つを挙げた。

 質疑では、酒井基市議が「料金の安いガスを民営化する意図が分からない。吉田、分水にも安いガスを供給してはどうか。供給量が減っているのなら合併を期に地域を広げればよい。企業努力が足りないのでは」と質した。

 中野助役は「延ガスラインが、吉田、分水とでは違うので、分水への供給には問題がある。価格の点については先進地を調査し、条件を確保できるところを調査、研究している」と答えた。

 阿部健二市議が「なぜ、吉田、分水に歩調を合わせるのか疑問」と、すると、高橋市長は「吉田、分水はガスの民営化で得た金をどう生かすかまでを決定している。燕もそういう方向にと思う。民営化は維持の困難さ、布設替え、価格面等、今より進めてもらうため」と答えた。

 大山治郎市議は「みなさんの意見に同感。し尿処理もガス事業もどちらも根拠が薄く、調査不足。どちらも合併に大きく関連している気がする。3市町とも同様の形態だったガス事業だが、吉田だけが走った。大きな変化につながることをなぜ、吉田が考えなかったか不満。安い料金の上、黒字も出し、市に貸付までしているほどの企業体をなぜ売るのか理解できない。吉田が決めると同調するのは不満。同時に発表するなどできなかったのか」と質した。

 高橋市長は「吉田がするからするわけでない。民営化構想はしばらく前からあった。今、経営はなんとかいっているが、大変厳しい状況」と答えた。

 民営化賛成意見では、田野市議が「市の職員が努力してきたガス事業だが、売却するタイミングが大切。公営よりも民営化の方が、料金を長く据え置けるというのが私の持論」とした。

 タナカ・キン市議も「民営化は画期的」としながらも「合併を控えるなかではおかしい。市民は新市にたいして一つのまちとして同様のサービスを望むだろう。それぞれが話し合うことがないまま進むのはおかしい」と、合併後一市で、別の企業体が存在する体勢を危惧した。 
                                                (外山)