厳しい意見目立つ
産業振興ビジョン策定に向け実態調査
加茂商議所商工振興委
新潟県加茂商工会議所の商工振興委員会(太田明委員長)は、昨年度からの継続事業として、今年度も加茂地域の産業振興ビジョンの策定に向け、現状調査やアンケートなどを行っており、このほど、これらの結果などをもとに作成した素案を発表した。
産業実態調査アンケートは、木工木材、ニット織物、金属工業、建設の4部会用と、卸小売、サービス、金融交通諸の3部会用に分けて実施。1153事業所を対象に依頼、631事業所から回収した。有効回答は566だった。
質問や集計、分析などは、同委員会専門委員、椎谷福男新潟経営大客員教授と石井泰幸同大助教授が手掛けた。
設問では、平成10年ごろと比較しての売上げ、経常利益などの変化、売上げ増減の要因、業界、商店街などの課題、今後の方向性、活性化策など、18項目について回答を求めた。
調査の概況で、製造業(木工木材、ニット織物、金属工業、建設)の事業所、従業員数、製造品出荷額などで、停滞、衰退傾向が目立つ原因として、(1)情報技術(IT)の活用と産業の構造改革が進みビジネス環境が変化しているのに、柔軟に対応していない(2)企業経営に守りの姿勢が目立ち、下請企業も含め経営革新に対する意識が希薄で、自立した経営と新事業展開がみられない(3)IT化に対応した事業展開として競争優位戦略であるインターネットを活用したネットワークによる企業間のコラボレーションやアライアンスなどの取り組みが見られない、の3点を挙げ、21世紀のものづくりのスタイルとしてコラボレーションなどによる生産活動の重要性を説いた。
調査結果の分析では、回答企業の約85%が赤字経営の状態で、ビジネス環境の変化に積極的な対応姿勢がみられない、マーケティング戦略の展開が不十分など、企業経営のさまざまな問題点が浮かび上がった。加えて、企業経営の将来については「このままでは生き残れない」「分からない」など、将来の展望を描けない企業が57.6%と過半数を超え、危機感、焦燥感をもちながら企業経営をしていることが分かる。
今後の産業発展の方向性として、「単なるものづくりから企画、開発、製造、販売をもった企業」「既存の技術を生かし、他の企業との連携による新しい製品づくり」を目指すとの回答が多かった。
地域の発展に向けて取り組む課題として、「工業団地・優良企業の誘致」「新しい産業の創出」「若者に魅力ある街づくり」との回答が多く、雇用と所得を生み、産業振興を図り、住みやすく、若者に魅力ある地域づくりを望んでいることが分かる。
卸小売・サービス業の事業所、従業者数、商品販売額については、全体的に停滞、または衰退傾向。その原因としてEC(電子商取引)の進展により産業構造や枠組み、流通経路が変化するなどビジネス環境が大きく変貌しているのに、従来の企業経営の感覚から抜け出せないことが挙げられる。特に減少、衰退傾向が著しい卸売業について、椎谷教授は「メーカーから直接ユーザーというふうに『中抜き』されないためにも多様な情報ビジネスを展開し、メーカー、小売とのコラボレーションで活路を見出すしかない」とし、「著しく衰退しているのは、ビジネス環境の変化にスピーディーに対応してこなかったから」と厳しい見解を述べ、「どうしたら客を集められるかではなく、オープンマーケットの中でどうやって顧客をつかむかが重要。そうでなければ発展性はない」とした。
調査結果の分析では、企業経営における売上げの動向について「減少している」が72.6%で、ほとんどの企業が経営難に陥っている。その主な原因は「販売戦略が悪かった」「顧客ニーズに合った品揃えをしていない」が上位を占めた。椎谷教授は「40数%が、負け組の立場に立っている」と話した。
商店街に「集客力」がないことについては「閉店時間が早い」「駐車場不足」が多かった。「近隣大型店の影響」との回答も多いことから、「店舗の個性を発揮する創意工夫が足りないことに起因している」と厳しい意見を寄せた。
今後の商業集積については「中心商店街を活性化」が最多だったが、「西加茂地域を開発し、商店街の集積を形成」との意見も多く、西加茂の重要性も考えていることが分かる。
最後に、加茂地域の産業振興に関しての自由意見では、木工木材、ニット織物などで「加茂市は他市町村と比べ活性化がない。企業誘致や創出などにより、卒業後も市内で就職できるようにし、若者の市外流出を防ぐ対策を」との意見を筆頭に、「市外の人から面倒な木工塗装仕事でも加茂へ行くと技術者がいて何とかなると言われた。この技術力を将来のために温存すべきだ」「優秀な下請企業が多いが、その枠を越えようとする企業が少ない。下請体質からの脱却がポイント」などとするほか、「自分以外の人がよくなるのを喜ばず、ひがみ、ねたむばかりで自助努力をしない。共にネットワークを組み、サービスを充実させ、ユーザーに喜ばれる企業、商店間の協調が大事」とする厳しい意見も。中には「静かに死を待つべし。建具というものは社会で必要なくなったもの。そっと消えてゆくことでいいと思います」との悲観的な意見もあり、委員らは言葉を失っていた。
加茂山公園を中心とした、観光に力を入れる意見も目立った。
卸小売、サービスなどでは、「企業誘致(電子産業を含む)を推進し、人口増加と若者の定住を促す」の最多意見をはじめ、「高齢者に情報を発信し、集まれる街にする」「空き店舗を活用したチャレンジショップ」「学生を意識した街づくり」「商業観光文化づくり」「加茂ブランドの訴求力を高める」などが挙げられた。中には「厚生年金族にはハングリー精神がない。若者のチャレンジ精神を支援する組織が必要」との意見もあった。
同委員会では、これらを踏まえ、今月から各業界との懇談を進める。
(廣川)
