世界ではKEIBAで知られる
マルト長谷川のブランディング 経営大ビジネススクール
新潟経営大学は、6月21日午後8時から、三条・燕地域リサーチコアで、ビジネススクールの一般公開講座を開催し、(株)マルト長谷川専務取締役の長谷川晴生さんが「アジア地域におけるブランディング戦略」のテーマで、KEIBAブランドの歴史と、今後の展開について語った。
ビジネススクールでは、製造業のマーケティングについて学んでいる。そのポイントとしてブランドを挙げており、ケーススタディとして長谷川さんを招いた。
長谷川さんは、最初に自社ブランドの成り立ちについて「創業は、大正13年。ことしで80周年を迎えている。創業当時から製品にHORSE RACEの刻印を入れていた。私の父、初代長谷川藤三郎は、当時としては珍しく、競走馬を3頭所有していた。サラブレッドの勇姿に魅せられてかどうか、ブランド名に取り入れた。サラブレッドの走るための機能美を、道具にも持ち合わせたいとの思いだったようだ。その後、第2次世界大戦で、英語表示が禁止された時には、馬に騎手が乗った図柄に切り替えた。戦後、昭和30年代後半から、徐々にKEIBAに移行していった」とした。
ブランドを世界に広げていった経緯については「戦後、海外にビジネスを広げていった時に気が付いたのだが、キャラクター入りのマークは、とても有利に営業活動ができると感じた。また、世界的に、ギリシャ神話からのイメージか馬にちなんだブランド名が多い。当時、国内景気に乗って、アメリカ向けの輸出を伸ばしていった。その頃、アメリカに渡った時、サンフランシスコの土産物店で、自社製品が使われているのを見て、感慨深く思った。また、兄の先代社長が、三条貿易振興会の会長を務めていた時、盛んに販路開拓を目指し、内覧会を各地で行った。25年も以前のことだが、その時のお客さんから、今でも大事にしてもらっているのは、大変うれしいこと。良好な関係が続いているのは、信頼、信用関係がブランドを育てているから。特に、アジアのビジネスでは、親日家が多く、日本へのあこがれもある。私たちは、そのあこがれを破らないためにも、ウソのない製品を送り出していくべきだと考えている。また、ブランドを売るために、長年、デザインコンペティションにも挑戦し続けている」とした。
現在のブランド展開に関しては「三条という産地をブランドにしようと、以前から取り組んでいる。現在、自社製品のパッケージに国旗とメードインジャパン三条の文字を入れ、世界に三条ブランドを売り込もうと取り組んでいる。国内からは、売りやすいと好評だ。海外では、日本を嫌っている国もある。しかし、はっきりと、日本の新潟県三条市で生産しているということを、今後も続けていきたい。KEIBAは、馬のマークが印象深く、ブランディングに貢献しており、海外では社名ではなくKEIBAと呼ばれる。最近では、新たな市場を構築すべく、鋏の生産を始めた。ただ、KEIBAマークだと、工具のイメージが強すぎるので、010(マルト)というロゴを使っている。また、ブランドの集積地ともいえる東京での新製品の発表会も開催しており、ことしも夏に行う」と、今後の展開についても語った。
中国などで出回っているコピー商品については「今、マイクロニッパーが月5万丁ほど中国に出ている。そして、中国では、コピー製品が出回っている。喜ばしいことではないが、スタンスを変えてみれば、真似されるほど有名になったということ。ただ、食品などでは、キッコーマンのしょうゆがコピーされている。見た目は区別できないほどだが、味はダメ。日本の食文化が疑われることにつながりかねないといった大問題も出ている」との問題点を指摘した。
長谷川さんの講演後、この日のコーディネーターを務めていた経営大学の片上洋教授が講演のポイントを(1)ブランドは「マーク」があって、それが人の心にインプットされていく(2)20年、30年という信頼がブランドを支えている(3)自分たちの企業、製品が一目でわかる(4)真似をされることは喜ぶべきこと(5)製品にメードインジャパン三条と印刷し、三条全体を世界に知らしめている、とまとめた。
また、片上教授は、特に(5)について「関連業種が多く集まり、ひとつになることで地域ブランドが作り上げられる。1カ所に集まることで、東京の秋葉原が実践しているように、同じパイを取り合うのではなく、パイがもっと大きくなる」とも述べた。
(重藤)
