本当に実情把握した報告を
井栗小の事件受け
臨時三条市内全小中学校長会議
7月6日に発生した、新潟県三条市立井栗小学校(春川稔校長・児童数354人)での児童の傷害事件を受け、一夜明けた7日午後3時から、臨時の市内全小中学校長会議が開かれ、今後の対応などについて意見を交わした。
同会議は、6日午後1時5分ころ、井栗小6年の男子児童A君が、隣のクラスの男子児童B君にステンレス製の柳刃包丁で切りつけた事件を受けて開かれたもの。
市内の15小学校、7中学校の校長と、市の担当課職員らが出席。事件が起こった井栗小の春川校長のみ欠席した。それ以上に、報道陣が多数詰め掛け、関心の高さがうかがわれた。
会議は予定時刻より10分ほど遅れて始まった。
松永悦男教育長は、6月1日に起きた長崎県佐世保市の小6児童同級生殺害事件に触れ、「事態を重く受け止め、県教育委員会の通達も受けたが、私たちも大変だと思い、校長会でも再度、こういう事件について真剣に取り組もうと話し、命の重さ、大切さの指導、人間関係の把握、さらには児童が発する信号への対応を呼びかけた。その矢先に三条でこのような事件が起きてしまい、責任の重さをひしひしと感じている」と厳しい表情で話した。
同会議については「どういう背景で、何の問題があったのか。十分追及し、再発防止を呼びかけ、さらに深めてもらい、決定したいとの願いを込め開催した」と経緯を説明。
井栗小についても「いじめの発生報告ではゼロと受けているが、本当にゼロだったのか。発生の原因を調べていくと、子どもに悪口を言われたり、何かいじめられていたという事実があったにもかかわらず、学校側が見過ごしていたのではないか。通り一遍の指導では表しか見えない。本当に子どもの内を見るのが教師の職務と思う」とし、活発な意見を求めた。
続いて、事件の経過について説明があった。
刃渡り22センチの柳刃包丁で切りつけられたB君は、右腕と、左手の人差し指と中指に傷を負ったが、出血はほとんどなかった。現場の教室には10人ほど児童がおり、その中の児童が担任に報告。駆けつけた担任がA君を押さえつけ、持っていた刃物を取り上げ、教室に設置されているインターホンで教務室に連絡した。
B君は市内の病院で手当てを受け、春川校長らはA君に詳しい事情を聞いた。
ほかの児童は、事件について説明を受け、今一番苦しんでいるのは(A君とB君の)2人であること、ほかにも悩んでいる人がいるなら先生などに相談してほしいとのこと、憶測で話をしないようにすることを注意し、下校させた。
松永教育長らは、概要を聞き対応を検討した結果、通報を含め指導し、事件発生から5時間以上経った、午後6時12分ころ、春川校長が三条警察署に通報したもの。
その後、午後8時半から三条市立三条小学校で緊急校長会が開かれた。
7日には、井栗小で記者会見が行われたほか、臨時教育委員会も開かれた。
同会議では、緊急に取り組む事項、長期的な展望に立って取り組む事項を挙げ、実際にどのように取り組んだか、30日までに報告するよう求めた。
緊急に取り組む事項では、児童生徒に対する事項として、人の嫌がる(侮辱的、差別的な)言葉を使わないこと、学級担任として取り組む事項として、命の大切さを教える道徳指導や善悪の区別について指導すること、学校として取り組む事項として、このような事件を起こさないために学校として取り組む事柄を検討し実施すること、家庭・地域に関して取り組む事項として、命の尊さについて家庭で考えることができる内容の学校だよりなどを出すこと、校長として取り組む事項として、今回の事件をもとに全校朝会で命の大切さについて講話を行うことを挙げた。
さらに、学校の危機管理マニュアルの再点検、このような事件などの危機管理シミュレーションの実施も追加された。
また長期的な展望に立っての取組事項では、生活アンケートを実施し、それに基づいた教育相談を行うことなどを挙げた。
学校としての取組事項が曖昧であることについては、各校によって事情が違うことなどに配慮したためという。
松永教育長は「今後、自分の学校で事件が起きないためにも、本当にいじめられている子、悩んでいる子はいないのかなど、実証してほしい。ただ報告すればいいものじゃない。再点検し、この事態を把握した上で報告してほしい。私たちも、再発防止のためにも井栗小と一緒に解明していきたい」とし、協力を求めた。
最後の感想や意見などで、須頃小の豊田冨士雄校長が「命の大切さは当然だが、その中でも『刃物のまち三条』『金物のまち三条』に相応しい子どもたちを、元気を出して育てていかなければならない。刃物の正しい使い方などを指導しなければならないし、保護者にも訴えなければならない。それが三条の使命」とし、刃物教育の必要性を訴えた。
三中の星野健藏校長は「自分を語ることも指導になると思う。皆さんも教育のもとを持っていると思うし、自分の経験の中で、子どもに伝わる何かがあるのではないか。キレイ事を言っていると自分でも思うが、それしかないと思う」とした。
三条小の山田裕信校長も「保護者、地域と歩む姿勢が必要。私たち教育者が命の大切さ、友だちの大切さ、友だちの心を傷つけることの大変さを伝えたい」と話した。
会議終了後、校長らは足早に会議室を後にした。
松永教育長は、報道陣の取材に応じ、再度、今後の対応や通報が遅れたことなどについて、事情説明をしていた。
(廣川)
