県立加茂病院 9月危機
整形外科、産婦人科がなくなる!?
「長期療養型増床」で高齢者療養型に特化か
新潟県加茂市は、県立加茂病院の縮小に反対して、長期療養型のベッド数を増やすことで表面的には、経営主体の新潟県の意向を阻止した形だったが、逆に、高齢者の療養型を目指す方向付けがなされ、新潟県の医師不足も手伝って、9月には、医師の派遣が打ち切られるなどで、整形外科、産婦人科が廃止されかねない状況だ。
7月12日午後1時半から開かれた加茂市議会医療問題特別委員会主催の、同委員会と「県立加茂病院患者と家族の会」の意見交換会で明らかにされたもの。
意見交換会は、昨春、加茂市議会に設置された医療問題特別委員会の呼びかけに応え、県立加茂病院患者と家族の会(杉田三二代表)の関係者が出席して2時間近くにわたって行われた。
はじめに樋口博務議長が「今後の医療のあり方ということで皆様の意見を聞かせていただきたい。医療の充実に役立てば」と挨拶。
今井詔一委員長が、特別委員会について「昨春、特別委員会を設置。地域医療をどう充実していくかという第一分科会と救命救急医療についての第二分科会を設けて取り組んできた。今月末か、来月に、次の行動に移るための、若干のまとめを行う。医療問題は、1、2年で解決する問題ではなく、まだ緒についたばかり。関係機関にどう要請していくかというのでまとめたい。国公立病院を含め、県立加茂病院のような自治体立の病院の84%が赤字。新潟県と岩手県の赤字幅が一番大きく、新潟県の累積赤字が大きい。不採算部門を抱えているが、地域医療の中核としての自治体立病院の役割はどうあるべきか。加茂・田上は、都市部でありながら、救命救急センターまでの搬送に30分はかかる。加茂病院は、医師が3、40人体制であれば救命救急センターを引き受けてもいいが、現状では無理とむしろオミットしている」と、大前提になる現状を話し、お互いに自己紹介して意見交換に入った。
関龍雄第一分科会長は加茂病院の信頼度について「設備が悪いのか、医師が悪いのか、場が悪いのか。評価が低い。看護婦さんについても厳しい評価。どういう病院として残るか。難しい問題だが、これから先のことを考えると大事」と、口火を切った。
患者と家族の会事務局の坂井正夫さんは「会員は100人を維持している。ミニ集会を開いているが、出席されるのはお年寄りが多く、『一カ所で幾つも診てもらえるので便利。加茂病院に入院できず、遠くの病院に行くとなると、若い者の世話にならなければならない。長岡の病院に奥さんと一緒に行くとなると、すぐに1万円になる。年金生活者にとっては大変』と言う。ここにきて、皆さんの言われる病院にするにはどうすればいいのか、壁にぶつかっている。医師が減るなかで『医者をよこせ』ということで活動していいのか。ちょっとした改善はしてもらえるが、基本的なことはどうにもならず歯ぎしりしている」と困難な現状を語った。
今井委員長は「県は、15の県立病院のうち、加茂病院など5つの病院について、県病院局内に地域医療部会をつくって、6月中旬に1回会合が開かれた。赤字を多く抱え、その上医師も不足。診療所に格下げしようかという。今後の流れからすると、再編成が進まざるを得ない。加茂病院の存続意義をどこに見出すか」とした。
患者と親の会側では、加茂病院の医師の開業が続いていることについて、「常勤医10人で、当直も含め、24時間なんとかやっているが、朝仕事に出て、午後5時まで通常の勤務。そのあと当直で、当直の後、また通常の勤務で、午後5時にようやく終わる。それが月4回はある。整形外科などは、手術が伴う。視力の問題もあって、45歳を過ぎると細かな手術はできない。大きな病院であれば、当然、若い医師がついて、細かな手術を行い、大事なところを押さえていればいい。新潟大学は、医師不足から、9月から、応援体制を打ち切る」と、医師の足りない状況での勤務医の苦労を指摘する意見も。
産婦人科は、毎日交代で派遣されてくる医師が勤務しており、9月以降の出産の予約は受け付けていないと言う。
少子化で、若い女性は、一生に、1、2度しか経験しない出産については、「きれいな病院で産みたい」という希望があり、加茂病院は敬遠されている実態が、双方から実例を挙げて示された。
しかし、加茂市では、出産できる病医院が、県立加茂病院しかなく、加茂病院の産婦人科がなくなると、加茂市内で出産できないことにもなるがそれでもいいのかという意見も。
加茂病院の医師の総数は、医師が、毎日交替で派遣されてくる産婦人科を含め11人で、うち内科が6人、外科が2人、整形外科、眼科が各1人、産婦人科が1人。この体制で、長期療養型も含めて総合病院を維持していくのは医師の負担が大きすぎる。
双方とも、9月には、医師不足から、応援の医師の派遣が打ち切られる実情から、患者と家族の会、市、市議会、国会議員、県会議員などで、連絡協議会をつくって政治的にアクションを起こさなければならないという問題提起が行われた。
今後の行動をどうすればいいかということで頭をぶっていた患者と親の会は、この日の意見交換会で、光明が見えてきたと喜んでいた。
行政サイドは、小池清彦加茂市長の考え方一つの加茂市だけに、タイミングよく行動できるかどうか注目される。
(社主)
