五十嵐川改修 年度内に
県計画立案後 市と協議
 7・13水害からの復旧作業が進む中、新潟県では、三条市内の五十嵐川改修を行うべく、堤防が決壊に至った経緯などの調査と、新たな改修計画の立案を進めている。

 改修の規模などは現時点では固まっておらず、市との協議もあるため公表されていないが、三条土木事務所(八幡泰市所長)は「大至急計画を立てる。その後、市との協議を進める。国土交通省は、県が激甚災害指定を申請すれば採択するので、年度内に着工したい」としている。

 県が進めている調査は、今回の水害で、五十嵐川に流れ込んだ水量や、信濃川増水による下流部での排水の状況、洪水時の水の流れなど、詳細にわたっている。

 調査と同時に進めている改修計画の具体的内容については固まっていないが、下田村も含め、河川全体を検討し、「今回と同じような雨が降っても対応できるように取り組んでいく」と、本格的な改修を行う方針。

 三条土木事務所では「街中を流れる河川なので、簡単に新しい排水路をつくるというわけにはいかない」と難しさを話す。

 また、高橋一夫三条市長も、7月19日に小泉純一郎首相が視察に訪れた際に、五十嵐川抜本改修の考えを訴え、22日に東京に赴いた折には、国の諸官庁にも、改修について説明したという。

平成8年に全戸配布したパンフレット 五十嵐川は、下流部の川幅が狭く、以前から改修が必要とされてきた河川。

 県では、危険で放置できない河川として、平成6年から、流下能力などの調査を行っていた。

 平成7年7月に五十嵐川が増水した時は、市内の観測所で、20.7メートルの警戒水位を超える21.33メートルにまで増水した。堤防の高さは24.33メートルで、水が溢れ出すには、若干の余裕はあった。しかし、平成5年11月に大谷ダムが竣工して以来、初めての増水だったため、大規模な改修の必要性を求める声が高まったという。

 その後、県、三条土木事務所、市が共同で、大規模改修の必要性を訴えるパンフレット「川を考えてみませんか? 五十嵐川」を作成。市内全戸に配布している。

 パンフレットでは「五十嵐川の上流の下田村には笠堀ダムと大谷ダムがあり、洪水には大丈夫なように思えますが、下流の三条市の市街地では川幅が狭くなっているために水の流れが悪くなっています。100年に1回くらい降る雨にも大丈夫な川にするためには、一新橋あたりで毎秒2400立方メートルの大水が流れる川幅が必要ですが、現状の川ではおよそ半分以下の水量しか流れません。最近はあまり三条市附近に洪水は起きていませんが、決して安心できる状態ではありません。今後の安全で快適な町づくりのためには川の改修が必要です」との文面で改修を訴えた。

 大規模改修を進めるとなると、下流部の住宅地や商店街を中心に河川区域内で400戸、区域外も含めると1000戸の移転を伴う大事業となるため、市民の合意形成が進まないまま、現在に至っている。

 市では、五十嵐川の改修については、市民の理解が第一と捉え、長期的に取り組んでいく課題との認識だった。

 しかし、今回の水害は、パンフレットで訴えた100年に1回の大雨を上回る、「誰も経験したことのない大雨だった」との声が多い。また、近年の大雨は一定の地域で突然、大量の雨が降る「ゲリラ的な降り方が多い」とされている。

 三条土木事務所では「当然、決壊した堤防を直しただけでは、市民は安心できないだろうから、改修という流れになるのは当然。市の意向に沿って計画を定める」として、改修に着工する時期については、「激甚災害の指定を受け、今年度内に災害復旧事業として進める」としている。

 なお、激甚災害指定を受けると、河川改修に伴う国庫補助が増額される。通常の公共土木施設復旧のための国庫補助はおおむね6割から8割ほどだが、激甚災害指定を受けると、これに1割から2割が加わる。
                                                (重藤)