売り方考えたものづくりを
平山知事 三条、燕業界人とパネルディスカッション
 新潟県三条地域の県出先機関でつくる三条地域振興連絡会議は、8月25日午後1時半から、三条・燕地域リサーチコアで「知事と語るむらおこし・まちづくり」を開催し、平山征夫県知事と三条、燕両市の業界人らが、今後の地場産業振興などについてパネルディスカッションした。

 平山知事は「アクションプランで集まったような、やる気のある企業が増え、自立できる地域、産業を構築してほしい」と期待した。

 県下の出先機関を単位に順次開催しているもので、平山知事は、この日の午前、三条市三貫地、(株)スノーピークの訪問や、三条商工会議所青年部メンバーとの意見交換を経て、午後からのパネルディスカッションに臨んだ。

 パネルディスカッションのテーマは「グローバル化時代に対応したものづくり基地を目指して〜新たな競争社会における自立への展望を探る」。

 コーディネーターは平山知事、5人のパネラーは、スノーピーク社長の山井太さん、(株)ツバメックス社長の賀井治久さん、(株)マルト長谷川工作所専務の長谷川晴生さん、県央地場産センターアクションプラン推進室戦略プロデューサーの鴨志田栄子さん、新潟経営大学助教授の石井泰幸さんが務めた。

 開会後の挨拶で、平山知事は、まず7・13水害に触れ「県全体で1600億円の被害総額が出ているが、個人の住宅や大企業の被害額は入っていない。昭和42年、43年の羽越水害の被害総額1000億円台前半をはるかに上回る額で、新潟県としては最大の水害となった。これから立ち直るために一生懸命努めたい」と、県としても災害対策を進めていることを紹介し、パネルディスカッションに入った。

 パネラー5人は、三条燕地域の産業が抱える課題と、解決策をメーンに意見を述べた。

 山井さんは「三条をはじめ県央地域は、夢を形にできる地域。作りたいものを作れる技術が揃っている。しかし、よい技術を持ちながら、安いものを作っている。日本は人件費の高い国で、中国と同じ安いものを作っていたのでは合理的でない。そこに根本的な問題があると思う。この地域の企業は、北イタリアに学ぶべきだと思う。小さいメーカーでも直売店を持っている。例えば、産地でまとまって直売店を出していく手法もあると思うし、扱う商品はIDSなどに選ばれた高付加価値商品とする。こうやって、いくつかの産業施策を合わせて進めていくべきだと思う」とした。

 賀井さんは「この地域のよいところは、長年の付き合いの中で、互いの良いも悪いも分かっており、ものによるが、新しい品物を作る場合、大企業の研究所よりも早いスピードでできると自負している。燕について言わせてもらえば、かつて洋食器で世界を相手に商売していたのだが、それが活用されていない。ノウハウの継承がないとすたれてしまう。今大企業は、安さではなく新規性、将来性を持った企業を見つけたいと思っている。具体的にはマグネシウムが注目されている。また、全国には、中小企業だけが集まっている地域が多くあるが、どこも大企業にうまくやられているのが現状。だから、地域同士がタイアップしてアピールできるようなことをしたい」と述べた。

 長谷川さんは「弊社はことしで80周年を迎えるが、この間、ものづくりは作れば売れるというものではなく、危機感を持って取り組むものであり、経営者が常にそれを持っているから今日がある。業界を取り巻く環境は厳しい。しかし、今に始まったことではない。長年、作業工具をアメリカ向けに輸出していたが、中国をはじめアジア勢に席巻されておりどう対応するかが問題。そして、ここ数年の間、作業工具とは違うジャンルに取り組んでいる。作業工具については、中国への輸出に取り組んでいる。メードインジャパンのステータスで、徐々に浸透し、毎年2ケタ台の伸びを示している。日本人には、感性という武器がある。これは外国にはない表現だ」とした。

 鴨志田さんは「この地域の経営を手伝わせていただいている中で、もっとお客様指向のものづくりを進めるべきだと感じている。ものづくりは、生産することは手段で、売ることが目的。PRの仕方が不器用だと感じている。売るための問題が解決すれば、グローバル化にも対応できるはず。優れた製品をつくり、消費者に使う喜びを与える付加価値があれば、ものの価値が上がる」とした。

 石井さんは「経営者は哲学を持って会社を経営するもの。もう一度、なぜ商売を始めたのかという原点を見つめれば、新たな道が見えてくると思う。今、IT活用でものを売ることが言われているが、中間商品の場合はネットでは売れない。やはり、社長同士の信頼関係がないとダメだ。加えて、難しいことだが、企業同士が組む仕組みをつくってほしい」と述べた。

 平山知事は、パネラーの発言の合間に、金融支援について触れ「銀行はリスクを冒して企業を育てるのが本来の姿。今、地域の金融機関の中で一生懸命人材を育て企業にアドバイスしていこうというところも出てきた。地方における金融機関の役割が大きなテーマになっている」とした。

 また、パネラーや参加者からは、7・13水害を教訓として今後の発展に生かすため「この経験をチャンスと考え、発展していくべき」、「高齢者、障害者を救出するための取り組みを」などの意見が挙げられていた。

 さらに平山知事は、任期の残りが2カ月と迫っているからか、パネラーの山井さんが「三条市、燕市、吉田町の合併は、産業界のためにも必要と思っていた。知事はどう思うか」と振ると「私は最初に県として示した枠組みで、三条と燕を一緒にした。私も水面下で努力したが、最終的には小異を捨てて大同につけなかったのだろう。個々の持っている技術を1つにまとめ、競争と協力ができるようになってほしかったが残念」。最後には「私としては不満。もう辞めるので何でも言える。しかし、歴史における課程であり、その分だけ楽しみが残ったと思ってください」とまとめた。     
                                                (重藤)