次世代のこと考えて
北野大さん 環境について講演 加茂JC
淑徳大学教授で工学博士の北野大さんは、このほど、(社)加茂青年会議所(小池俊木理事長・48会員)の創立40周年記念講演で、「よーく考えよう、環境問題が教育に与える影響は大事だよ!!」のテーマで話した。
北野さんは、昭和17年5月、東京都足立区に生まれた。昭和47年、東京都立大学大学院工学研究科工業化学専攻、博士課程修了。分析化学で博士号を取得、専門は環境化学。タレントのビートたけしさんの実兄としても有名。現在は、淑徳大学国際コミュニケーション学部教授。「いまだに、たけしの兄です」「ドクター北野の地球なんでも好奇心」「北野家の訓え」など、著書も多数。
会場には、一般の入場者も含め700人ほどが集まった。少しでも近くで見ようという人が多く、前の座席から埋まった。
講演に先駆け、加茂JCが作った「小京都再生」の短いフィルムが流された。加茂のながいきストリートから1本入った裏道や田上の竹林など、普段見過ごしている、何気ない風景をとらえ、「小京都再生について、一緒に考えてみませんか」と呼びかけた。
講演で、北野さんが登場すると、会場には大きな拍手が響いた。
北野さんは「よく『親の七光り』などと言うが、私の場合は『弟の七光り』。だって、私と弟が一緒にいて、『たけしだ。たけしの兄だ』と言う人はいるけど、『大だ。大の弟だ』という人はいないでしょ」と言うと、会場では笑いが起きた。
環境問題について、「環境の話をしていると、人が生きていることが悪いということに成りかねない」と危惧する。
「誰でも人を殺してはいけない。特に医者は殺してはいけない」「人を騙してはいけない。特に弁護士」「泥棒してはいけない。特に警察」と述べ、地球において、祖先と今の人間、人間とそれ以外の生物を軸とする環境倫理について説明した。
環境問題による被害として、健康、財産、生態系の生物、快適性への害を挙げ、世代内、世代間、人以外の生物の不公平が生じるとし、四日市の大気汚染、水俣病を例に話した。
北野さんは「四日市の汚染では、赤ちゃんや年寄り、病気の人など、肉体的弱者が被害を受けた。水俣病も、言葉が悪いが、自分たちで湾に出て、魚を捕って食べていた経済的弱者が被害を受けた。つまり、体の弱い人や貧しい人などをいじめるのが環境問題」と強調した。
地球温暖化についても「すでに影響は出ている」とし、「でも影響を受けるのは次世代。原因をつくるのと、影響を受けるのは違う世代。これが世代間の不公平」と述べた。
また、原子力発電については「ドイツなどは原発を止めている。足りなくなったら、75%を原発で補っているフランスから電力を買うと言う。これもどうかと思うが、原発を止める理由は、次世代に負の遺産を残していいのかという世代間倫理から。日本の場合は、恐いから」と根本が違うことを挙げ、「今のところ、原発に替わるエネルギーはない。風力や太陽光などがあるが、原発1基100万キロワットに対し、風力の場合、1000キロワット級のものを4000台設置しなければならない」とし、次世代への影響を考えることを求めた。
加えて「ゼロリスクはあり得ない」とし、原発をつくる場合、人口密度が少なく、海沿いに作ることから場所が限られることを挙げ、「ある学者が、原発を作る場所に、温泉入り放題などの特典を付けて、65歳以上の年金世代を住まわせてはどうかと提案した。万が一、漏れた場合でも65歳以上なら、十分生きてきたしと言っていた。提案者は大真面目だが却下された。これもリスクを減らす措置の1つであることは確か」と述べた。
環境教育については、「英単語を書いて覚えるように、生物を見て、スケッチさせ、それを家で図鑑などで調べさせるといい」と実体験の大切さを話した。
続けて、リサイクルなどについて、理解、判断、行動、継続を挙げ、「行動し、継続していくことが難しい」とする。
今後の社会形態として「循環型社会」を挙げ、「大量生産、大量消費ではなく、ものはできるだけ長く使うこと。そうすることで愛情や愛着がわく」とし、いいものを大事に使うことを勧め、講演を終えた。
北野さんは、時折、「博士号とかけて、足の裏のご飯粒と説く。その心は、取らないと気持ち悪いけど、取っても食えない」などと冗談を言ったり、家族とのエピソードなどを交えて話を進め、集まった人たちは楽しみながら環境について学んだ。
(廣川)
