電話せず!
嵐南自治会長に 避難勧告に不備
 新潟県三条市の高橋一夫市長は8月23日、市議会全員協議会閉会後の午後2時55分から記者会見し、7・13水害発生時に市が行った避難勧告の発令や周知について、精査した結果を報告。また、今後の水害対策についても述べた。

 7月13日、市は3回の避難勧告を出し、計1万555世帯に避難を周知したとしていたが、市民からは十分に周知されていなかったとの声が上がっていため、今後の対策として生かすため、担当職員に聞き取り調査を実施していた。

 この日の会見では、当日災害対策本部内が混乱していたことによる情報伝達の不徹底のため、自治会長への電話連絡による避難勧告に不備があったことを報告。

 高橋市長は「当時は、精一杯努めたが、避難勧告を出した中で、うまく周知させるためのシステムが機能しなかったため、聞いていない人がいた」と、対策本部内で不備があったことを認めた。

 13日の避難勧告1回目は、午前10時10分に篭場、中新、西大崎1から3、曲渕2に対して、高橋市長が発令。その後、高橋市長は現場を見るために市役所を離れ、佐藤和夫助役に口頭で避難勧告を出す権限などを移譲。

 午前11時に、三竹1、東新保、曲渕1と3、月岡1から4、諏訪1から3に出した2回目と、3回目午前11時40分に嵐南地域一帯に発令した勧告は、佐藤助役が、高橋市長と連絡を取り合いに行った。

 会見で高橋市長は、避難勧告を出した理由について「2回目の発令は、過去の水害の例からみて嵐南地域も危険とみた。嵐北地域では、堤防の溢水が見受けられたため。3回目は、笠堀ダムの放流量が想像を絶する規模になったため」と説明した。

 避難勧告の周知については、市の広報車両3台で、午後零時半までの間に、曲渕1から3、島田1から3、北四日町、四日町、南四日町1から4、西四日町1から4、条南町、西本成寺1、直江町1、北新保1と2、南新保などを巡回。消防車両は、堤防の溢水対策を行っている中で、曲渕2、諏訪2を巡回した。

 また、市職員8人と消防職員が、避難勧告地域の戸別訪問もした。

 自治会長への電話連絡については、市の担当職員7人が、1回目の避難勧告時に電話連絡をしたが、その際、避難勧告対象地域の13自治会も含め合計24自治会へ報告。すべての自治会長が記してある名簿を見ながら連絡したため、余計に連絡したとみられるという。また、この日、20人の自治会長がバス視察に出かけていたが、市職員が水が出たことを報告し、厚生福祉会館に戻った。20人のうち、7人が避難勧告地域の自治会長だった。

 2回目、3回目の避難勧告時に、自治会長に対して、電話連絡を行わなかったのは、対策本部の指示の中に、電話連絡をすることが入っていなかったため。指示を出した側は、1回目と同様の行動を取るものと思っていたが、指示を受けた側は、直接の指示がなかったため電話しなかった。これで、嵐南地域の自治会長に電話連絡が行かなかった事実が判明した。

 高齢者への対応については、午後零時45分に市内の居宅介護支援事業所に対して、高齢者への対応を求め、556件で何らかの対応があったという。また、平成4年に、高齢者の単身世帯に緊急通報システムの発信機を配布しているが、使用したのは、被災地域76人中、1人のみだった。

 これらの状況をまとめたうえで高橋市長は「避難勧告の発令関係は、助役に委任したが、これは妥当と考えている。ただし、五十嵐川の水位について対策本部へ伝えるシステムがあれば現場に行く必要はなかった。今年度内に地域イントラネット基盤整備事業で、防災カメラを設置することにしているが、台数などの検討を行いたい。通信手段については、固定電話についてIP電話の導入を予定しているが、携帯通信手段については、独立した周波帯の端末整備を考えている」とした。

 そのほかの対策としては、組織内の情報伝達ルートの明確化、十分な広報体制、災害弱者対策などをあげ、「嵐南地域で避難勧告を聞いたという人もいたが、うまく機能しなかったのも事実。今後もあらゆる面で検証を行い、災害に強いまちづくりを行いたい」とした。    
                                                (重藤)