行き場ない夏休みの子どもたち
子ども向け51事業中止 市民プールも電気設備ダウン
新潟県三条市は、7・13水害を受け、8月に予定していた市主催のイベントをすべて中止し、その職員らを復旧作業に振り分けている。これにより、被災した子どもだけでなく、被災していない子どもたちも、せっかくの夏休み中に「行き場」を失っているのが現状だ。
市教育委員会生涯学習課が、夏休み中の子ども向けに企画していた事業は、中・高校生ボランティアスクールや、移動天文教室など5つ。これらを中止し、担当職員は各避難所への食料の配送を手伝っている。復旧のメドが立つまでは、この体制で進めていくとのこと。
加えて、広報「さんじょう」も7月16日号は発行できず、8月1日号の休刊が決まっていることから、イベントを企画しても、全市的な周知、募集手段がない。
避難場所になっている中央公民館や、被災して復旧作業中の嵐南公民館など6公民館と、図書館、青少年育成センター、勤労青少年ホーム(ソレイユ三条)、歴史民俗産業資料館、丸井今井邸、福祉協議会ボランティアセンター、理科教育センターの子ども向け事業を中止。生涯学習課の事業も含めると、51事業を中止した。もちろん、大人向けの講座なども中止となっている。
そのため、被災した子どもはもちろん、被災していない子どもたちも「体験学習の機会」と「行き場」を失っている。
学校教育課によると、市民プールは浸水が床上70センチだったが、肝心のボイラー室が1メートル低い場所にあるため、床上1メートル70センチの浸水となり、電気設備機器などがすべて不能となった。
現在、夏休み中の再開を目指して復旧作業を急いでいるが、電気設備機能などの復旧工事の見積もりなどに手間取っているため、明確な再開メドは立っていない。
被災地内の小中学校のプールは当然、使えないが、被災地以外でも、7・13水害に伴いプールの稼動を止め、管理できなかったところが多く、再稼動となると清掃から始めなければならないので、現在、使用できる被災地以外の小中学校のプールは、小学校が2校、中学校が1校の計3校のみ。
使用できる小中学校のプールで、被災した子どもたちを受け入れるとなると、夏季休業中のプールは、各校PTAが監視しているため、無理はできない状況。
クラブ活動も同様。小学校の大会はすべて中止となったが、中学校の中には県大会などに出場するところもあるため、場所があれば練習している状況。
催しは中止したものの、開館している図書館では、さすがに7・13水害直後の利用は少なかったものの、現在では、例年並の入館者数となっている。
同館職員によれば「実際に統計を取っているわけではないが、子どもの数は増えているように見える」という。
入館者に関しては、冷夏や猛暑など、気温の影響も受けやすい。昨年は冷夏だったことから、今年の気温で入館者数が昨年並みということは、若干減っていることを示す。よって、子どもの数の増減についても、気温によるものか、行き場がなくて来ているのかは、明確には答えられないとのこと。
また、水害で紛失した同館貸出カードの再発行の申請は少ないことから、「被災者は、まだ落ち着いていない」としている。
被災した嵐南公民館でも本の貸し出しを行っていたが、本のある部屋の浸水は免れた。
同館では、修繕作業に入っている嵐南公民館から本を引き上げ、消毒などをし、要請があればいつでも嵐南公民館での貸出業務が行えるように備えている。
しかし、まずは住民票の発行など、生活に必要な業務から空いているスペースで行っているため、貸出業務のメドは立っていない。生涯学習課も学校教育課も、まずは災害復旧を第一に作業を進めており「できるだけのことはしたい」とし、どちらも人や施設が足りず、「子どもの行き場」「体験学習の機会」については、頭を悩ませているようだ。
(廣川)
