水害で遅れた終業式
家族らに感謝し安全に過ごしたい
2学期に向け修繕作業も急ピッチ
7・13水害により、1学期の終業式ができなかった、新潟県三条市立条南小学校と南小学校、本成寺中学校は、8月6日を登校日とし、復旧工事の行われている中で、遅い終業式を行った。
水害発生から25日が経ち、特に被害の大きかった嵐南地域の被災した小中学校では、2学期に向け、体育館の床の張替や補修作業などが、急ピッチで進められている。
いつもは配給場所として被災者が大勢訪れる、南小(伊藤みさ子校長・児童数393人)では、久しぶりに児童の元気な姿で活気に満ち溢れていた。
児童は午前8時15分までに登校し、学級指導、清掃の後、終業式に移った。
同校は校舎棟が床上20センチ、体育館が床上30センチ、プレイルームは少し低いところにあるため、床上70センチの浸水被害を受けた。校舎棟は、自衛隊やボランティア、職員らが堆積した泥などを掃除したが、体育館とプレイルームは、現在、床の張替工事で使えない。体育館には重機が入り、床板をはぐ作業を行っているが、床板の下にはまだ泥と水がある状態。
三条市では、災害ゴミの収集問題に次いで、被災した学校の修復作業を重要課題に挙げており、2学期が始まるまでには使える状態にしたいとし、業者も全力で取り組んでいるが、厳しい状況だ。
プールも浸水。防火用水の関係から、プール内は清掃し、水を張ってはいるものの、浄化設備などは浸水で機能していない。
終業式は、体育館が使えず、全校児童が一堂に集まることができないため、各教室のテレビを見ながら行われた。
1年1組(荒井恵子担任教諭・児童数27人)では、放送が映らず、隣の「わかたけ」教室で見た。児童は、スピーカーから流れる音楽に合わせ、大きな声で校歌を歌った。
伊藤校長は「今日、皆さんの姿を見て、『生きていてくれてありがとう』『元気に登校してくれてありがとう』と大きな声で言いたい気持ち。恐くて、大切なものをたくさんなくした、大変な水害だった。皆さんは大変な水害を乗り越え、『人間の元気の元は人間』と心から思ったと思います。でも絶対に忘れてはならないことがある。それは、今、無事でいられるのは、皆さん1人の頑張りではないこと」とし、お父さんやお母さん、消防署員や自衛隊員、ボランティアの人などの協力を挙げ、「私たちの命の無事は、たくさんの人の必死の努力によって与えられていることを覚えておいてください」と感謝することを促した。
続けて「もう夏休みの半分が終わろうとしているが、今年は普通の夏休みではない。100年に一度の厳しい災害を、皆さんが、皆さんの家族、地域の人が乗り越えようとしている100年に一度の夏休み。自分にできることを精一杯やることが、最大の宿題。100年に一度のよい思い出を作り、2学期に元気に帰って来るのを待っています」と話した。
児童発表では、6年1組の石田貴大君が、水害と剣道大会について話した。石田君は「7月13日は、お父さんが仕事からいつもより早く帰って来た。テレビのニュースで、曲渕の堤防が切れたと聞いて、外を見たら東側のドブから水が溢れていた。じいちゃんが『貴大、早くしろ』と言い、一緒に畳を上げ、弟と妹には2階へ行くように言った。弟と妹は『お母さんに会いたい』と泣いたが、お母さんは、仕事からの帰り道にあるコンビニで一晩過ごしたので会えなかった。ばあちゃんが諦めずにタオルを振っていたおかげで、ヘリが助けに来てくれて、叔父さんの家に行った。お父さんと叔父さんとじいちゃんが家の片づけをし、僕は弟と妹、叔父さんのところの子どもの面倒を見ていた。でも家のことが心配だった」と、被災した時の状況を話した。
課外活動で行っている剣道については「水害から2週間後、剣道の大会の日になった。水害の苦しみを吹き飛ばすため、東京の武道館に向かった。その日まで、面の練習しかできなかった。相手の方が少し強くて、ゼロ勝1敗4引き分けで、1回戦負けだった。本当は水害を吹き飛ばし、勝って三条に元気を取り戻そうと思ったけど、かなわなかった。でも、東京の騒々しさと違い、荒れ果てた姿の三条市は僕らを温かく迎えてくれた。三条にはボランティアの人も大勢来てくれて、元の生活に戻ってきている。家族で一緒にいられることに感謝し、安全な夏休みにしたい」と述べると、児童らはテレビに向かって大きな拍手を送った。
終業式が終わると、各教室では、水害の話などをした。1年1組では、荒井先生が、みんなの作った粘土作品が泥水で溶けてしまったこと、ボランティアの人と一緒に教室を掃除したことなどを報告した。
児童も「おじいちゃんが泳いで家に帰って来たよ」「プレイステーションが沈んで使えなくなった」「お父さんとお母さんの結婚式の写真が1枚だけ助かったよ」「ランドセルが濡れたけど、買ったお店が直してくれるって」などと、被災した時の様子をそれぞれの言葉で話した。
荒井先生は「水害は恐い思い出だったと思うけど、ぜひ絵日記に、水害のことを書いてください」と呼びかけた。
その後、児童は初めての「おおぞら」を受け取った。荒井先生は、その子のいいところを発表しながら、1人ずつに手渡した。
同校は、「通知表」ではなく「おおぞら」という名前で、勉強や学校での生活などについて書いている。
項目ごとに、達成できたものに丸がついているが、児童の中には「オレ、丸ばっかりだよ」などと、自慢気に見せ、先生に「みんな丸で、三角やバツはないよ」と教えられる場面も。
「おおぞら」のほか、お知らせなど、たくさんのおたよりを受け取り、夏休みの注意事項などを聞き、お昼前には下校した。
2学期は9月1日(水)からだが、23日(月)から参加できる子を対象に、学習登校日として1日3時間ずつ授業を行い、1学期にできなかった勉強を補う予定だ。
(廣川)
