仕事が逃げてしまう
水害復旧に時間がかかると
危機感募らす嵐南の木工業者
7・13水害で被害を被った新潟県三条市の企業が、再開に向けた復旧作業を続ける中、事業再開後の二次的な被害を心配する声が出ている。
被害の大きかった嵐南地域には、木工関係の事業所が多くあるが、設備機械のメンテナンスを行う業者が同地域に1社しかなく、機械修理の見積もりに時間がかかっている。そのため、事業再開まで時間がかかり、製品が納入できないと「お客が他所に行ってしまう」という。
在庫、半製品の90%以上が被害を受け、現時点で分かっている被害額は3800万円以上という南新保、(株)サンモク(佐藤雄二郎社長)では「資金の手配などはしているが、仕事が逃げてしまう」と危機感を募らせている。
同社は、工場敷地内が150センチまで浸水したため、ほとんどの在庫や製品が廃棄物になった。近年の経費節減効果などが出始め、業績がよかった時期だっただけに、打撃は大きい。
現在、設備機械のうち、20台ほどを修理に回しているが、大型のNCルーターや六軸モルダーは、業者の見積もりを待つため、今もそのまま工場内においてある。
専門的な機械のため、他の業者に任せるわけにはいかず、嵐南に1社しかない機械を扱う業者は、他の被害を受けた会社にも赴いているため、手が回らないという。
機械の修理が遅れ、事業の本格的な再開に影響を与えることで、何よりも「お客が逃げてしまう」ことを心配している。
事業を1カ月も停止したままだと、例えば、ホームセンターへ製品を納める業者が「他所へ発注することになる。お客様は待ってくれないだろうから。そして、再開したとしても、ホームセンターが棚を空けて待ってくれていることはないだろう。嵐南地域には、昔、広い土地と、騒音対策のため街中から移ってきた木工業者が多い。うちも戦後、裏館から移ってきた。今、嵐南地域の木工関係の会社は同じ問題を抱えているだろう。廃業するところも増えるかもしれない」と心配している。
今回の水害で同社が受けた被害は、今後の設備機械の修理状況によっては、1億円にもなるという。
機械に保険はかけてあるが、風水害による被害は、一般的に加入する火災保険ではなく、総合保険でなければ適用されない。リースの設備機械では、修理代を持ってほしいという話も出てきている。
材料である木材は一度、水につけると色が変わる。合板は接着剤が溶けて変形もするため、製品としては扱えないものになってしまう。従業員上げて清掃などに取り組んでおり、廃棄物となった材木が敷地内にうずたかく積まれている。
行政のゴミ撤去も、個々の事業所までには手が回らない様子。佐藤社長は「ゴミは、道路にはみ出たものは持っていってくれたが、企業のゴミは別ということで、敷地内のものはそのまま。人出が足りないのでボランティアも頼んだが、企業なのでダメだった。産業廃棄物ならば自己責任で処理するが、これは天災だから」とこぼす。
また、水害発生時を振り返って「水の速さがあっという間だったから、在庫を上にあげておく暇がなかった。7月13日に出荷する予定だった製品もあったが、大雨だったので後日にすることにしていたが、それも…。もはや、自助努力の範ちゅうを超えている。昭和36年の水害は経験していたが、その後、ダムが2つできて水害は来ないと思っていた」とする。
現在、同社では、従業員上げて復旧に取り組んでおり、盆明けには一部操業を再開できる見通し。「幸い、学校の教材関係は、2学期に間に合えばよい。その後、徐々に再開していきたい」とがんばっている。
(重藤)
