単独の道選んだ田上町
財政厳しく、サービス低下と住民負担増
住民投票に基づいて、県央東部での合併を断念、当面、単独のままと決めた新潟県田上町だが、地方交付税のカットやもともと苦しかった財政事情から、住民サービスの切り下げ、住民負担の増大を計画、3役、管理職の報酬、手当をカットするなど苦難の財政運営の道を歩み始めた。もちろん、経費を切り詰めても、借金の返済が優先で、新たな建設事業などには手が付けられない。
田上町は、苦しい財政事情を町民に知ってもらおうと、8月末に、全戸に、広報「きずな号外」を配布したが、黒と青の2色刷りのせいもあるが、残暑厳しいなかでも、寒々と感じられる内容だ。
4面だてで、まず、1面は、「自立したまちづくりのため町民の皆様にお願い」という大きな横見出しで始まる。次に「自立したまちづくり、第一歩は、財政の健全化」と同じく横で2本目の見出し。
そして、その通りなのだが、この事態は、町民が合併に反対した結果だと言わんばかりに、「三条・田上・栄・下田」の4市町村合併についての住民意向調査の結果をグラフにして示した。結果はすでに町民が理解しているはずだが、合併反対61.0%、合併賛成23.3%、よく分からない15.2%だった。
単独の道を歩むことが決まってからは、昨年12月に、庁内職員による「財政健全化検討委員会」を設置するとともに、町の「行政改革推進委員会」に財政の健全化に向けた対応策を諮問したことを付記している。
そして、2面、3面には、田上町の財政が、危機的状況であることを数字で示し、4月から実施している経費削減策、10月から実施予定の経費削減策の具体的な内容を示している。
4月から実施している経費削減策としては、町長が14.4%、助役が9.8%、教育長が8%、議員は4%、それぞれ報酬をカット。職員、各種委員、臨時職員等は給与等の3%、課長以上の管理職手当は50%カット、各種団体への補助金10%カット、敬老会、健康づくりフェアの中止など。
10月以降の実施予定では、各種証明手数料を、住民票等1通現行200円を300円に値上げする。福祉バスの廃止。紙おむつ支給事業、重度心身障害者医療費助成事業は、いずれも所得による給付水準を見直す。ただし、重度心身障害者医療費助成事業は9月から実施。精神障害者医療助成事業は所得による給付水準の見直し。配食サービスは個人負担を現行1食200円から300円に、知的デイサービスは1食230円から300円に、それぞれ値上げする。
そして、3、4面にわたって17年度以降実施を検討している対応策を示している。
固定資産税の税率を現行1.4%から1.6%にアップすることを検討する。あらゆる施設の利用料の見直しを行うなどとしている。
その主な内容は、(1)各種検診負担金の増額、それぞれ100円から300円の増額を検討(2)幼児医療費助成年齢の見直し、現行通院4歳未満を3歳未満にすることを検討(3)学童保育(児童クラブ)の有料化、現行無料を月6000円に、年間7万2000円の負担を検討(4)幼稚園授業料の値上げ、現行、月1万3000円を月1万6000円に、年間3万6000円の負担を検討(5)保育所、幼稚園の早期・延長保育の有料化、現行無料を月3000円に、年間3万6000円の負担を検討(6)保育料の値上げ、現行、平均月1万5275円を2万1880円に、年間7万9000円の負担を検討(7)ゴミ処理の有料化、現行無料を平均1世帯当たり年間5200円の負担を検討(8)防犯灯電気料の地区負担、現行全額町負担を2分の1地区負担にすることを検討(9)町民運動会、佐藤杯駅伝大会などの廃止(10)下水道使用料の値上げ、現行平均月5552円を段階的に8045円に持っていくことを検討、年間3万円の負担を検討(11)農業集落排水使用料の値上げ、現行平均月4127円を段階的に9305円に、年間6万2000円の負担を検討。
この11の検討事項に加え、今後の検討課題として、人件費の削減、保育所の統廃合・民営化、給食センターの民営化、幼稚園の民営化などを掲げている。
ため息が出るのは、これらを16年度、17年度以降、すべて実施しても、試算では、なお、毎年1億円以上の収入不足が見込まれる点だ。
今後、行政改革推進委員会の答申を受けるとともに、財政健全化の対応策を作成し、11月以降、住民説明会を開いて、町民の理解を求めていく。
合併か、否かを住民に問う時、これだけの内容を示していれば、田上町民といっても、闇雲に合併反対に走らなかったろう。
特に、新潟市との合併などを提唱して、県央東部での合併を事実上頓挫させた業界の動きは、田上町の活性化のために作成したリフレッシュゾーン事業がまったく着手できない状況になっており、合併の意味を真剣に考えて取り組むべきだった。
(社主)
