三条市 井栗小事件受け「心」捉える教育
市教委フォーラムで地域にも協力求める
新潟県三条市教育委員会は、1月18日から、市内7中学校区で、地域住民が児童生徒を地域ぐるみで見守り教育することを話し合う、心の教育フォーラムを開催。
市教委は、昨年7月6日に井栗小学校で児童が同級生を包丁で切りつける事件が発生して以降、児童生徒の不安や葛藤といった心のあり方を客観的に数値化して捉える取り組みを続けている。
フォーラムでは、その状況を示し、地域の協力を求めたい考え。
児童切りつけ事件後、県教育委員会は、井栗小学校に臨床心理士で心理学博士の神村栄一新大教育人間学部助教授を派遣。8月には、神村助教授を講師に全市の小中学校教員を対象とした緊急集会を開催している。神村助教授は、県教委が取り組んでいる小学校6年生から中学校1年生になると不登校が増える傾向があるという「中1ギャップ」解消事業に関わっているほか、中越大震災で被災した子どものケアなども行っている。
緊急集会の後、各小中学校の教頭を中心とした心の教育フォーラム実行委員会を立ち上げ、地域との話し合いの場の企画を進めた。会場は、各中学校区別としているが、幼稚園、保育園の保護者、小学校の保護者、自治会関係者など教育に関わる人たちの参加を求めている。
一方で、児童生徒に対しては、昨年11月から神村助教授の協力を得て「生活アンケート」、「心の体温計」を実施している。
市教委では、井栗小学校での児童切りつけ事件も含め、全国で発生している青少年の事件の原因は「たまったストレスをうまく解消できない」と見て、児童生徒の心を捉えるべく、アンケートを実施することにしたという。
「生活アンケート」は、小学校4年生から中学校2年生までを対象にした。小学校3年生以下は、年齢が低いために行わず、中学校3年生については受験勉強に打ち込む時期のため見送った。
アンケートでは、児童生徒に(1)集団(2)感情調整(3)他者配慮(4)クラス適応(5)教師サポート(6)教育サポートの、6つの視点からの質問を投げかけ、自己評価をしてもらう。
具体的には、自分が落ち込んでいる時に教師・親は支えてくれるか、などの質問に、いる、いないなどの答えを選択していく。
市内全体の平均値を50に設定し、それ以上、それ以下の数値を個別に出し、「この児童・生徒は、集団生活は50以下で苦手だが、感情の調整は50以上と、できている」などと個別の傾向を捉える。
個別の児童生徒の生活アンケート結果については、保護者の求めに応じて示していくほか、心の教育フォーラムでは、各小中学校別の平均値を示して、地域に児童生徒の特徴を示す。
「心の体温計」については、医者でいうところの問診票のようなもので、児童生徒が感じているストレスを知るため、毎月実施するもの。
結果に基づき、児童生徒に教師がカウンセリングを行い、対応、次の月の結果で対応の評価を行う。
アンケートや問診の実施については、児童生徒によって、自分に辛く点数付けを行ったり、甘く行ったりする場合も考えられ、絶対的な数値ではないが、市教委では「児童生徒の危険信号をいち早くつかみたい。例えば、教師や親への評価が極端に低い場合は、もっと自分の方に向いてほしいというサインと受け取れる」とする。
(重藤)
