理事長「総額表示浸透で正念場」
日比講師「世界に通用のニッチ商品開発を」
日本金属ハウスウェア工業組合新年会
年頭挨拶する柄沢理事長 日本金属ハウスウェア工業組合(柄沢好兒理事長)は、1月23日午後4時から、燕市白山町3、萬会館で新年会を開き、弁理士の日比恆明さんが「脱下請!成功するニッチ企業への道『ニッチビジネス・ニッチ商品の見分け方と開発・参入のノウハウ』」のテーマで講演した。

 年頭の挨拶で柄沢理事長は「昨年を振り返ると、経済面では、大企業を中心に回復基調だが、国の財政難、少子高齢化、生産拠点の空洞化、グローバル化の波によって、中小企業にとっては依然厳しく、各種資材の値上げが製品に転嫁できずに産地としても収益性が圧迫されている。昨年、産地を挙げて展開した消費税総額表示の反対運動の結果、ある程度の成果が出たが、総額表示が浸透するこれからが本当の課題となってくる。日本金属ハウスウェア工業組合、日本金属洋食器工業組合、つばめ物流センターと連絡を深め、さらに活発な組合活動を展開したい」とした。

 事務局報告の後、講演会となった。

 日比さんは、愛知県出身で、東京都の日比特許事務所所長。1977年に弁理士資格取得、1981年に日比特許事務所を開設した。著書に「下請けはやめてニッチをめざせ」、「大商談 これが《見本市》だ」などがある。

 日比さんは、「中小企業がもうかる商品をいかにつくることができるかがテーマ」と始め、上場企業と中小企業の上場廃止率、倒産率が同じ数値であることに着目して「上場企業ばかりがよいわけではない。中小企業でも優秀な会社は存在している。中小企業でも光る会社に」と、中小企業が生き残るための方法を説明した。

講師の日比さん 生き残りのための業種については「下請けや小売業、飲食店、フランチャイズなどは中小企業にとって不利な業種。中小企業に有利な製造業は(1)最先端技術を研究開発していく研究開発型企業(2)特殊な技術により他社が製造できない製品を製造できる高技術力の企業(3)社会での知名度は低いが必ず売れる隙間商品を製造するニッチ企業。なかでもニッチ企業が本命となるのでないか」。

 5年掛けて全国のニッチ企業を取材して回った経験をもとに、具体的な事例を交えて、ニッチ企業、隙間商品について掘り下げ「隙間商品とは、年間売上高が3億円以下で大企業が参入しない。売上高は少ないが、マーケットを1社で独占しており、プロが必需品として使用したり、他社にない優れた機能で高くても納得していただけるので、利益率が非常に高い。また、新聞、経済誌などでは紹介されることは少なく、一般に知られないからこそもうかる。逆転の発想で開発された商品なので、常識では理解でき難く、経済の法則や科学の理論とは全く逆の世界にある商品」、ニッチ企業とは「隙間商品を、オリジナルの完成品として製造していること、職人技ではなく、図面を見れば誰でもが製造できること、そしてハイテクでなくローテクの技術で商品を製造している」とした。

 ニッチ企業のタイプとしては「(1)マイナー型(2)ノウハウ蓄積型(3)ハイテク型(4)商品企画型(5)特定産業密着型」の5つがあると紹介。「新たな需要を築き『なければ困る』という隙間商品と、『あれば便利』というアイデア商品とは全く性質が違う」と注意。隙間商品開発に関しては「大企業にない特殊な商品を、既存の下請技術の延長線上で作っている企業が多い。経営者は40代半ばから50代で商品開発を始めている。資金的には余裕があることも重要。また、隙間商品ではマーケットリサーチはしていない。マーケットリサーチをした時点で隙間商品ではなくなる」とした。

 自身が弁理士であるにも関わらず「特許とは大企業にとっては便利だが、中小企業にはあまり必要でない」と考えを述べ、「ニッチ企業で特許を出願している企業は少なかった。なぜなら、特許に頼らずとも業界を独占できる要素があったから。隙間商品では、特許で業界を独占することは無理。中小企業は弁理士に仕事を頼んではいけない」とした。

 最後に、世界における日本の製造業について「中国製品の日本進出は、20年前の日本とアメリカの関係と似ている。現在のアメリカで中小企業が全くなくなったかというとそうではない。日本の企業にできない仕事をして生き残っている。日本の中小企業も中国の企業にできない仕事を見つけることが大切。隙間商品は売上げが数億円規模だが、日本だけでなく世界に通用するニッチ商品を開発すれば、飛躍的に売上げは大きくなる。これからの日本の中小企業は世界に通用するニッチ商品の開発を」として講演を閉じた。
                                                (外山)