悲痛の声「被災者いるので協力したいが…」
新築費用は出ない 現存分だけ
五十嵐川改修で移転対象者説明始まる
五十嵐川の改修事業を進めている新潟県の三条土木事務所と三条市は、1月20日から改修の移転対象者説明会を開き、土地、家屋補償の考え方などを説明している。説明会は23日まで行われた。
初日の20日は、本町5、6、由利の3地区を対象に開かれ、165人が出席、関心の高さを示した。
発言した出席者は「ご協力を」、「ご理解を」と繰り返す県の担当者に対して「100年、150年住んだ土地を離れることになる。困っている人がいるから移ればよいという気持ちはあるのだが」などとやりきれない気持ちを訴えた。
また、家屋の補償について、現在の建物の価値の分と解体工事費は出るが、新築工事費ではないことに難色を示す意見も挙げられた。
この日の補償に関しての説明では、3つの移転工法を紹介。
建物の現在価値と解体工事費を合わせた構外再築工法、土地の一部分が改修の対象となった場合、家を残りの土地に引っ張るため曳家工事費、補修工事費、解体工事費を出す曳家工法、建物の一部を切り取る場合に、切取工事費、残存部の一部改増築費などを出す改造工法の3つ。
工法の認定は、今月下旬から行う調査によって実施。用地交渉には5月から入り、土地の補償のほか、建物、工作物、動産移転、仮住居使用など、補償内容を個々に取り決め、契約の締結との流れ。
代替地については、対象者に対して希望場所のアンケートを実施中。
この補償の説明に、まず由利の男性が「水害によることでやむを得ない事。引越しして新しい家を建てることになるだろうが、新築費ではない。これが果たして許されるのか」と投げかけると、県の担当者が「新築の費用のことだが、あくまでも現存の部分の補償で新築費用は出せないのでご理解を」とした。
「(移転を)拒否した場合はどうなるのか。強制的に移転させるのか」との声には「強制的にとは考えていない。ぜひともご理解を」と答えた。
さきほどとは別の由利の男性が「100年、150年と住んできた。そして、70歳、80歳になって離れていく気持ちを汲んでいただきたい。私のところは普段は水の上がらない場所。でも人が困っているから移ればよいという気持ちはある。新築分のことを考慮してほしい」と訴えると、高橋一夫市長は「お気持ちはよく分かる。私のところも同じようなロケーションだが、そう言い出すと改修ができなくなる。そうするとまた水害が起きる。水害とは無縁と言わず、みんなのことを考えて協力していただきたい」と求めた。
また、八幡泰市三条土木事務所長は「補償は、今ある価値のものにきちんと補償していく」と重ねて理解を求めていた。
そのほかにも由利の男性から「リフォームして、これから年金で暮らしていくつもりだった。それなのに移転して別の場所に家を建てるお金が足りなかったら死活問題だ。対応してくるのか」との質問が出され、高橋市長は「これから、実際の土地の値段を示して、そのうえで一件、一件調べさせてもらいたい。また、地域でまとまってという意見には、アンケートでどこがよいのか調べたいし、地域で話し合いもしてほしい」と答えていた。
質疑の後休憩に入り、再開後、報道機関に非公開で、地区別での取りの価格を提示した模様。
閉じられた扉の向こうからは「市長さん『悪いようにはしないから』と言ってください」などと、迫る声が漏れていた。
終了後、各出席者は、数人でまとまって県、市の担当者に必死に質問を投げかける姿もあったが、足早に会場を後にする人が多かった。
(重藤)
