「食」起点に人のあり方まで
地場産で「食文化考える」セミナー
 新潟県県央地場産センターなどは、1月27日午後1時半から、三条・燕地域リサーチコアでエコプロダクツ普及セミナーとして、「食文化とおいしさを考える」をテーマとした講演会を開催。香川大学名誉教授で、(社)おいしさの科学研究所長の山野善正さんが、食を起点に、教育や人のあり方などを説いた。

 山野さんは最初に「今、世界で大きな問題は、エネルギーと環境だが、すべて人口が関係している。今の世界の人口は60数億人だが、2050年には100億人に達するという。その中で食を考えると、現在、世界の食糧需給バランスはとれているが、アメリカや日本では余っている。一方、足りない国もありアンバランス。日本は売れ残ったり、残飯になったりと廃棄する食糧が多い。逆に物を作るまでの廃棄率は少ない。ロシアでは、ジャガイモの半分近くを輸送中に腐らせているそうだ」と現状を紹介。

 先進各国の食糧自給率から見た日本については「先進国では、日本と韓国がカロリーベースでの自給率が低い。他の国は100%近く。イギリスでは産業革命のころ工業化によって15%ほどまで落ち込んだが、その後、意識的に上げてきている。日本は現在40%。1200万ヘクタール分の土地を外国から借り、同時に外国の水も入っている」と現状を示した。

 次に国内に目を向けて「都道府県別の食糧自給率を見ると、新潟県は99%だが、東京都は1%。つまり、今の地産地消を突き詰めると、東京はなくなる。だから、私は国産国消にしてはどうか」と独自の考えを提言した。

 現在の日本人の食生活については「アメリカに比べればまだよい。野菜類では、欧米人は数種類しか摂らないが、日本人はいろいろなものを食べる。ただ、パン食の普及で欧米化している。ある家庭の朝ご飯の変化で見ると1950年代にご飯だったのが、77年にはパンになっている。戦後、アメリカが戦略的に粉食を普及させたもの。全国紙も白米ばかりだと脚気になるとパン食を主張していたほどだった。しかし、欧米化すると問題が出てくる。アメリカ人がかかりやすい病気は民族的なものではなく食にある。日本人が1年ほどハワイなどに住んでいるとアメリカ人と同じような病気にかかりやすくなる。だから、私はご飯食を普及させたい」と、ご飯を中心とした日本の食の利点を説明した。

 その後、話は、食が子どもに与える影響に及び「子どもたちが好きなものはカタカナメニュー。高カロリーで塩分が多く、柔らかい。そこで、ご飯をしっかりと食べさせ、飲み物は水、お茶、おやつはおにぎり、発酵食品を常食とするべき。知り合いの子どもで4年間、このように育てたら、健康。お菓子はほしがらない。また、不登校の子どもの食事は、炭酸飲料やハンバーガーなどで、夕飯を食べないなど、デタラメ」と説いた。

 そして、食と教育の指針として(1)何よりも自分と自分の国(民族)のアイデンティティーを認識しよう(2)食及びそれに関連した確かな知識を日常的に学習しよう(3)感性を養おう(4)正しいと思ったことを実行しよう(5)あらゆる場面で人(子ども)に伝えましょうを紹介。「(1)で、自分の国の歴史を知らないと外国人にバカにされる。(5)では、最近の子どもは怖いのだが、できれば、よその子でも」とした。

 そのほかにも「栄養士が、1日30種類以上の食品を食べなさいと言うのは無理。だから、できるだけでよい。また、男性も料理をしてください。例えば、スーパーに行けば気分転換になるし、食に関心も持つようになる。食事を作るには、けっこう頭を使う。手先をよく使うので老化防止にもなります」と勧めた。

 また、外界の刺激を感じ、言葉として表現する感性で、おいしさを感じることの大切さや、栄養面などで充実した食事が人間に底力を与え、文化を創造する存在たらしめることなども力を込めて説明した。

 山野さんの講演後、休憩を挟んで「食を演出する開発商品の紹介」として、地元の3社が、製品を紹介。

 (株)イケダは、水だけで油汚れを落とすことのできる加工を施した調理器具、(株)オリエントは間伐材などを利用した日用品、工房緑林舎は魚の皮むきに便利な器具を紹介した。 
                                                (重藤)