最終年度、これからが本番
全国マグネシウムシンポジウム
 全国マグネシウムシンポジウムin新潟県央は、平成14年度から開始した、県央アクションプランマグネシウムプロジェクトが最終年度を迎えるに当たって開催したもの。2月9日には、アクションプランに参画している4グループの代表と、新潟県工業技術総合研究所が地域事例を発表した。

 開会の挨拶で桃井敬三(財)新潟県県央地域地場産業振興センター専務理事は「アクションプランを通じて、企業と接しているが、技術面では相当な進歩が見られ、先々の展望が開けている。三条・燕の金属加工地域には、歴史と伝統による技術集積、長岡技術科学大学をはじめ軽金属加工に見識豊かな機関、県をはじめとした熱心な支援など、産学官の連携がもともとうまくいっていたという積み重ねの上に成り立っていたと言える。全国的に地方経済が厳しいなか、将来の日本経済を支える基盤になればと考えており、3年の成果は大きな喜び。取り組みは、16年度で終わるが、県央地場産センターとしての取り組みはこれからが本番。両市と共同し、販路開拓、技術研究をさらに進めたい」と、県央アクションプランを評価した。

 地域事例発表では、平成11年からマグネシウム加工を研究しており、14年のマグネシウムプロジェクト開始からは支援研究を行っている新潟県工業技術研究所が「マグネシウム合金の加工技術開発に関する新潟県の取り組み」のテーマで、県央アクションプランに参画しているグループや企業の代表が、軽量ペンチ、超軽量介護用車椅子、表面処理実用化、板成形と、それぞれの開発や研究の経緯を発表した。

 (協)三条工業会の涌井清次専務理事は、マグネシウム軽量ペンチの開発の経緯を「軽量工具の需要はプロ用を中心に高く、アルミ製の軽量ペンチを発売したところ想像以上に好評だった。しかし価格が非常に高く、不具合もあった。そこで、マグネシウムを使いながらも軽量で価格の安いものを目指した」と説明。従来の鋼製ペンチに比べて44%軽量で、アルミ製ペンチよりも価格を抑えたものを開発し、5000丁を販売したという。マグネシウム加工のメリットとして「アルミの鍛造は、県外に依頼するしかないが、マグネシウムの鍛造は当地でもできる。軽量工具の需要は高く、今後も開発が進むだろう」とした。

 超軽量介護用車椅子の事例では、(株)野崎製作所、野崎喜一郎社長が、「マグネシウムの特性である、軽く高強度を重視して、介護用の車椅子開発を開始した。アルミ合金製の従来製品12.5キロに対し、8キロ以下を目標に、フレーム、ブレーキ、シャフト類などをマグネシウムに置き換え開発に着手した」とし、抜き加工やプレス、溶接などの加工について説明。デザインについても「新しい製品であることをアピールするため、デザイナーとも相談し、それまでにないカラフルなものにした」と解説。マグネシウム化によって通常で8.4キロ、さらに軽量化をねらい座面をメッシュ化したもので7.7キロと、目標値を達成した。

 昨年10月に東京ビッグサイトで開催された国際福祉機器展に出展した反響について「軽さ、カラーリングは好評だったが、価格の高さを指摘されたほか、あまりの軽さに強度を心配する声や、タイヤが細く溝にはまると心配する声もあった。これを参考にさらに改良し、キャスター幅の拡大やクッション性のアップを図った。だが、展示会で即、注文していただいた人もいた」とした。このグループでは、すでに量産体制に入り、肘掛固定式、可動式の2タイプを生産していいる。今後は「この車椅子は、介助する人のためにというコンセプトだったが、車椅子の需要は自走式が圧倒的。自走式を開発して、マグネシウムの利点を生かしたい」とした。

 そのほか、(株)中野科学、中野信男社長は、「陽酸化処理」、「化成処理」など、錆び易い特性を持つマグネシウムの表面処理について、(株)ツバメックス、賀井治久社長は、マグネシウム加工や材料を取巻く問題点を指摘しながら、「目標は、大型の自動車部品の製造。量産化は材料、予備加熱、プレス機械、潤滑、金型、スクラップ処理、後処理、表面処理などのどれが欠けてもできない。素材そのものの欠陥なども見られ、材料屋とも相談する余地がある」などとした。
                                                (外山)