
首都圏の外食産業界などをサポートするために、新潟県の燕三条地域の業者らが集まって発足した「にいがたフードサポート研究会」。設立から4年目を迎えた今年度、新たに農業部会が立ち上がった。
小林七一郎部会長は「まだ動きだしたばかり。1年では難しいかも知れないが、2、3年後にはレールに乗りたいなと思っている。それが地域の活性化につながると思う。会員も増えてほしい」と展望を話す。
にいがたフードサポート研究会自体は、平成17年に県央地域の製造業者が中心となって発足。全国屈指の地場産業集積地帯という地域特性を生かし、首都圏を中心とした飲食業界などと連携、交流を図りながら、キッチンツールやハウスウェアを中心に高付加価値製品の開発、流通開拓に取り組んできた。
その中で、飲食業界から米や野菜など農作物も提供してほしいとの要望を受け、今年の年明けから、新潟県三条地域振興局農業振興部(三条農業普及指導センター)が中心となって呼びかけたところ、18人が興味を示し、参加することになった。
小林部会長も、その1人。小林部会長は、新潟県三条市東鱈田地内で真鴨を田んぼに放し、有機米を作っている。真鴨は水田の雑草を食べるため、除草剤の使用などを減らすことができる。さらに真鴨が泳ぐことで、水田内の土がかき混ぜられるのもいいそう。
同部の話を聞いて、小林部会長は「面白そうだと思った。私を含め、大半の農家は作るだけで、販売するのが不得意。どうにかしなければならないと感じていた。その中で、こういう会が立ち上がることは、非常にいいと思った」と参加理由を話す。

そのほか、ナスやエダマメ、サツマイモ、サトイモ、イチゴなど、さまざまな野菜や果物などの生産者、またはそれをジャムや漬物にする加工者が集まっている。
同部の山口孝平普及課長は「ただ米や野菜などを作っているのではなく、こだわりを持って作っている人たちが集まった」と喜ぶ。
その後、設立準備会を立ち上げ、話し合いを重ね、今年5月29日、設立総会を迎えた。この日は、(社)日本フードサービス協会などに所属する、新潟県出身で十日町市にも会社がある(株)吉池の高橋登会長、「つばめグリル」でおなじみの(株)つばめの石倉悠吉社長も駆け付けた。
高橋会長や石倉社長は、準備期間中の3月に県央地域に足を運び、実際に農家を視察。どのような商品を、どのように生産しているのかなどを見て回った。その時は8社ほどが訪れ、中には料理長自らが来たところも。実際にほしい商品を取りまとめたりもしたという。会員も東京に行き、どのような商品が、どんなふうに使われているのかなどを視察した。
小林部会長は「自分の作ったものをプレゼンするのは、未知の部分。もちろん、会員の中には経験者もいるが」と苦笑いしながらも、「今までのように、自分たちは作るだけで、販売は人任せなどにしてきたことから、販売力が弱いことなどに対し危機感を持っている農家も少なくない。でも新規開拓といっても、どうしていいか分らない人も多い。その点、この部会は、すでに首都圏に窓口が開いている」と同部会のメリットを話す。
設立後、まだ2回定例会を開いただけだが、さまざまな意見が出ているという。「自分は米だが、野菜や果物を作っている人、それを加工している人、さらに若者や女性と、いろいろな人の意見が聞けて面白い。まとめるのは大変だが、柔軟な発想も多く、刺激を受けることも。まだ動き始めたばかりだが、こういった意見が大切になっていくと思う」とする。
今後は、どのような商品を提供できるのか、実際にサンプルを送る予定。さらに同じ品目を作っている会員同士、栽培協定のようなものを結び、品質レベルを一定のところでそろえようという意見も出ているという。
また、上野・アメ横に出店している吉池の店先を借り、昨年の工業部会同様、実際に会員や職員らが店頭販売することも計画している。「お客さんの率直な意見を聞いたり、反応を見る機会はなかなかない。大変だと思うが、きっと自分たちにプラスになると思う。怖い反面、楽しみでもある」と小林部会長。
準備期間同様、首都圏と同地域の行き来も定期的に続けていく予定で、季節ごとの旬なものを提供したいという。現在、どのような商品を提供できるかリストアップしている最中とのこと。「商品も独りよがりにならないようにしたい」と山口普及課長。
今後の活動について、小林部会長は「1年では難しいかも知れないが、2、3年でレールに乗りたいなと思っている。そのためにも、レールを外れ、脱線しないようにしたい。この活動が軌道に乗り、首都圏との太いパイプができれば、地域活性にもつながると思う。会員も増えてほしい。そうすれば提供できる品目が増える」と期待を寄せている。
(廣川)
