
200VIHクッキングヒーターなどの電気調理器に対応する高品質な家庭用金物及び厨房周辺機器、洋食器を主に製造販売している新潟県燕市下中野、(株)フジノス(丸山健社長)は、新事業として軽量、省スペースで力の弱い女性やお年寄りにも配慮した高付加価値型のIH対応製品を開発、新販路を模索する。
この事業は昨年10月、経済産業省が新事業を行う中小企業を支援する「地域産業資源活用事業計画」の支援先として選ばれ、これを受けて今年6月には国民金融生活公庫の「中小企業地域資源活用プログラム」に基づく融資先として県内で初めて認定された。
同社は昭和30年代に現在の会社の母体となる会社が創業し、平成7年にフジノス(株)として法人化した。
業務用、家庭用のIH対応鍋のほか、洋食器も取り扱う。現在社員数は45人で自社ブランドのほか、OEM商品も扱う。
主な取引先は、地元商社や厨房関連会社のほか、全国の電力会社や大手家電メーカーなどで、200VIHクッキングヒーター対応鍋の先駆者として家電メーカーでは自社の取り扱いIHクッキングヒーターの「推奨鍋」としてカタログに掲載している。
また、業務用では業界初の200VIH対応鍋「ロイヤル」シリーズを開発、発売している。
あらためて記載すると、IHクッキングヒーターはガスの直火に比べて熱効率が高く、鍋底面の耐久性と発熱性、鍋本体の均熱性を兼ね備えなければならず、通常の鍋よりも高度な技術が必要になる。市場には安価な製品も出回る中で同社の製品の確かさは取引先のメーカーの信頼からも推し量ることができる。

営業戦略については、少数精鋭でセールスマン1人ひとりが商品知識のほかに、しっかりとした技術知識を身に付けている。設計部門は設けず、セールスマンがお客の声を製造部門へフィードバックしていく。金子秀司専務は「経歴は関係なく社員には入社後、まず製造部門を経験してもらい、しっかりとした技術知識を付けてもらっている。メーカーの営業マンである以上、セールスエンジニアであり、提案型営業ができなければ、弊社では営業活動がうまく行かない」と、話す。
IHクッキングヒーター関連への傾注については「現在、一般家庭には10%程度普及していると言われている。新築住宅の50%以上が採用しているとも言われ、リフォーム住宅でも採用する家が増えている。さらに業務用でも高層ビルや食品衛生に特に気を使わなければならない厨房で採用されている」とし、業務用と主に電力会社、家電メーカールートの家庭用を2つの柱に、少子高齢化による安全性の追求など、今後さらに普及する成長分野と見ている。
IHクッキングヒーターは鍋だけを過熱させるため、炎を使う場合と比べて周辺の温度を引き上げないなどのメリットもあるという。
新事業として展開するのは「軽量で省スペース型、高付加価値」を目標に、高齢者や女性でも扱いやすい「ソフィット」シリーズ。高火力に対応するため鍋底が厚く、重くなりがちなIH対応鍋への挑戦だ。
同シリーズでは、柄をシリコンとメラニンの樹脂製として、持ったときの柔らかさを確保。さらに鍋を持つための補助ハンドルを付加、鍋蓋のハンドルも順手、逆手どちらでも持つことができるよう形状に工夫を凝らした。リウマチなど片手に何らかの障害を持っていて「握る」という動作が難しくても補助ハンドルに手を添えて扱うことができるという。
金子専務は「IHクッキングヒーターは、火を使わず、安心・安全を求めて導入される高齢なユーザーも多いと考えられます。団塊世代の大量退職時代を迎え、今後さらに進むであろう高齢化に対応することはIH鍋にも必要です。また、専門店や量販店、デパートなど、弊社では未開拓のルートでフジノスブランドを浸透させることも視野に入れている商品です」と説明、ユニバーサルデザイン的思想をIH対応鍋に組み入れて新販路を開拓する。この商品については6月に東京ビッグサイトで開かれた「インテリアライフスタイル」で紹介したが、さらに改良を加えて来年には発売する予定。
成長産業と目される分、IH市場には新規参入業者も多い。また、定番商品を多く扱う同社では原燃料の高騰による影響も大きいうえ、熟錬工の確保も課題となる。これらへの対応は「原燃料の高騰で値上げも考えなければならないが簡単ではない。しっかりとした説明責任を果たすことが重要だろう。熟錬工の退職も問題となるが、いつまでもベテランに頼ってばかりもいられない。とにかく若い社員に吸収してもらうほかない」とし、あくまで前向きに、さらに高付加価値の商品で対応していく。
金子専務は今後の展開について「市場ニーズに対応できる柔軟性を持った企業でありたい。そのため、10年先には全く違った商品を作っている可能性も」と、市場ニーズに対応するため変化を続ける会社を目標に挙げた。
(外山)
