
米国のサブプライムローンの破綻に端を発した世界的な不況に追い討ちを掛ける原油、鉄鋼など素材はじめ食糧に至るまで諸物価の高騰、まさに不況下のインフレそのもので、中小企業の集積地、県央地域の企業経営者にとっては、ゆるがせにできない厳しい情勢だ。
急激な物価高騰によって、多くの中小企業は、物価高を製品価格に転嫁、回収するまでの間、当面の運転資金が必要になり、地域密着型の地元金融機関のバックアップが不可欠。
そこで、地域密着型の金融機関として発展してきた新潟県の三条信用金庫の杉野良介理事長に、最近の金融情勢と地元企業支援の覚悟について聞いた。
―現在の景気についてどう見ていますか
杉野理事長―サブプライムローンの影響を早くから心配していた。米国の金融機関を助けるために、世界各国がお金を注入。余った金が、石油、大豆、小麦などの投資にいっている最悪のシナリオ。日本は、戦後60年掛けて蓄えてきた外貨がどんどんなくなっている。
いざなぎ景気を超えると言われた日本の景気上昇も、67カ月間でストップした。昨年暮れあたりから地場産業も大変。この状勢は、半年や1年ではもとに戻らない。長期的な影響が考えられる。
―金融業界の環境は
杉野理事長―近年、無借金経営が重視され、企業の資金需要は減る傾向にあって、住宅ローン、教育ローン、マイカーローンなど個人需要にシフトしてきた。
しかし、大手金融機関が資金難の時、地銀、信用金庫など地域の金融機関が支えてきた。
東京などでは、土地、マンションなどの不動産、建設業などに対する貸し渋りが見られるというが、当金庫では、地元の企業については、資金の貸し渋りは絶対しない。一生懸命経営努力されている地元の企業にはどのようなことがあろうとも貸し渋りはしない。経営が立ち直るまで支援する。地域あっての我々ですから。地域密着型の信金としては、多少、不良債権が増えても、リスクに耐えられる。
幸い、長い景気回復の間に、十分な自己資本を蓄えたし、貸倒引当金も積んでいる。不良債権も大幅に減って体力もついた。
当金庫の今年3月末の平成19年度、第107期の経営内容を示すディスクロージャを見ていただければ分かるが、預金、貸出金とも順調に伸び、預金は3052億円で、前年同期に比べ191億8900万円、6・7%の伸び、貸出金も1830億円で、17億8000万円、0・98%伸びた。自己資本総額は313億円で、自己資本比率18・11%と高く、不良債権残高は前年同期より4億4000万円減って90億円になった。不良債権比率も、前年同期より0・32ポイント改善し、4・88%。もちろん、貸倒引当金を積むなどで万全を期している。
一昔前、大手銀行はもちろん、地方金融機関も金融再編が叫ばれたが
杉野理事長―かつては、大手都銀、地銀、地域金融機関とある程度住み分けされていた。しかし、これだけ世の中が国際化し、国際市場は一緒で、一挙に影響を受ける。三条の企業でも、技術、製品など優れた企業、力の付いた企業が残っている。日本全体では、依然金余り状態だが、資金の運用がうまく行くか、行かないかで業績に影響してくる。ロンドン、ニューヨークの外資系格付け機関FitchRatingsの調査で、全国にある280信用金庫の中で、債務履行能力が非常に高いと評価でき、経営能力も優れていると思われる金融機関に与えられる三ッ星、42信用金庫のひとつに当金庫も入っている。信用金庫と言っても最高は預金量3兆7000億円から、下は1000億円に満たないところまでと格差はあるが、当金庫は預金量では140番目くらい。一昨年まで二ッ星だったが、昨年、今年と2年連続で三ッ星をもらっている。今となって合併は考えていない。
―遠隔地信用金庫間で、ビジネス交流会を実施し、成果が上っていると聞きますが
杉野理事長―三条の企業は、技術力があり、優れた商品を生産しているがPRが足りないということで、平成18年4月に、東京の西京信用金庫主催のビジネス交流会に協賛、三条からの出展企業は31社に上った。同年11月には、西武信用金庫主催のビジネス交流会に協賛、三条から19社が参加。今年4月までの5回で、三条から合わせて135社が参加、入場者数は延べ1万3700人、商談件数659件、成約が63件に上っている。今年10月には、青梅信用金庫もやりたいというので、三条から12社が参加予定。
―まだまだ、県央地域の企業は発展しますね
杉野理事長―東京都内の企業が三多摩地域に転出しており、すぐ、海外に目を向けるのでなく、国内、県央地域などの技術力のある企業との取引に期待を寄せていることが分かる。地元の企業は捨てたものではない。電気自動車が出てくればマフラーからエンジンまで変わる。変われば新しい仕事が出てくる。金型も一新される。早めに設備投資をして、対応してもらいたい。経営者がやる気になっていただくこと。もちろん資金面で応援します。協同組合三条工業会、三条金物卸商協同組合などとも情報交換しながら、地域の企業の発展に尽力していきたい。
