
新潟県の燕商工会議所(山崎悦次会頭)は、音楽フェスティバルなどの野外イベントや球場、ライブハウスなどでの使用を目的に、繰り返し使えるステンレス製リユースマイカップの販売事業に着手した。
会場を訪れる人たちの利便性やゴミ減量、製造工程での二酸化炭素の排出量なども検証しながら、「ゴミやCO2の削減に本当の意味で役立ち、使う人、売る人にも喜ばれるリユースカップ」を目指す。
紙コップ、紙皿、割りばしなど、祭りやイベントなどには使い捨て食器類だけでも相当量のゴミが発生する。
新潟県内でも10万人規模で動員するイベントが行われるなど、夏季には音楽関連の野外フェスティバルが盛んだ。そのほかにも地域の夏まつりなど音楽関連以外の野外イベントでも生ビールなどの販売は付きものといえそう。

これら販売用のカップは使い捨ての場合、購入の度に使い捨てるため、一回のイベントで相当量のゴミになる。そこで繰り返し使えるステンレス製のリユースカップを製造し、イベントなどの観客らに購入してもらい、使い捨てカップの相当額を値引きするなどしてゴミや二酸化炭素の減量化を図ることが目的。
マイ箸やマイバッグのような周知や普及も目指すため、ホームページの作成やイメージソング、プロモーションビデオ制作も予算に組み入れ展開する。
まず、8月22日から24日まで佐渡市で開催される「アースセレブレーション2008」で試験的に、このリユースカップを使った生ビールの販売を行い、参加者、ビール販売業者の反応や、ゴミの減量化に有効かどうかについて調査する。
音楽イベントでは主催者側が環境面に配慮する趣旨を謡うものが多く、観客も共鳴している。観客が程度まで関心を示すかが焦点の1つとなる。
燕商工会議所の事業ではさらに、リユースカップの製造工程における二酸化炭素排出量など環境負荷について、ライフサイクルアセスメント調査を実施して製造工程から使い捨てカップよりも環境負荷の少ない製品づくりを目指す。
燕市内では、8月31日に大曲河川公園で商工会議所主催のミニ野外イベントを開催し、リユースカップを使った場合の販売料金値引きや、利用者、販売側両方にアンケート調査を行うなどして佐渡市での調査を補完していく。そのほか、ライブハウス、屋内イベントでの調査や、11月に東京ビッグサイトで開かれる「エコプロダクツ2008」といった展示会への出展なども予定する。ビールの売り手、買い手、イベント主催者、誰もが歓迎できるシステムづくりが必要なためだ。
祭りや音楽関連などの野外イベント以外にもライブハウスや、野球やサッカーの球場など、リユースカップが活躍しそうな場面は多く挙げられる。
リユースカップを導入する事例は全国でも少なくないが、扱いやすさやコスト面などから、ほとんどがプラスチック製で、ステンレス製は例がなかった。
Jリーグ・アルビレックス新潟はホームのビッグスワンでも、デポジット(預かり金)制でリユースカップを導入しているがプラスチック製。同じくベガルダ仙台でもリユースカップを導入するがこちらもプラスチック製。そのほか横浜マリノス、ヴァンフォーレ甲府などがリユースカップを導入している。
デポジット制も視野にいれるが、カップを洗う手間や返却する手間がデメリットにとられやすい。
一方、ステンレス製カップのメリットは、強度や耐久性のほか、「味」で、プラスチック特有の臭気でビールの風味を損なわないほか、保冷性など「磨き屋シンジケートのステンレス製ビアマグカップ」でも実証済み。買取り方式ならば売り手がカップを用意する手間や洗浄する手間もかからない。
単価1万円以上のビアマグほどプレミアム感を強調する品ではなく、単価は「高くとも2000を切る」ことが目標。それでもプラスチック製よりはコスト高になる。市内には豊富なノウハウのあるステンレス加工技術を利用してイベントや会場のネーム入れなど、より愛着を持てるカップにできることを強みにしていく。調査結果を参考に、さらに利便性を高めるための工夫も行う。
この事業は中小企業庁の平成20年度小規模事業者新事業全国展開支援事業として事業総額860万円を100%補助で賄い、事業期間は来年2月28日まで。担当の高野雅也さんは「この夏には、プライベートで訪れるイベントにも持参して、ビールを購入する際に、このカップに注ぐよう指示してみて販売する人の反応を見てみたい」とし、鋭意、事業に取り組んでいる。
(外山)
