目標が生活を決める 努力する大切さ
男子バレー日本代表監督 植田辰哉さん
 三条ロータリークラブ(中村和彦会長)は、18日午後1時30分から、新潟県三条市旭町2、ハミングプラザビップ三条に、北京オリンピックバレーボール男子の植田辰哉監督を招いて講演会を開催し、350人ほどが集まった。講演のテーマは「結果はプロセスにより決まり、プロセスは結果により評価される」。

 集まった人たちのなかには学生服や体操着姿の中学生など若い世代の参加者も多く、植田監督は時に中学生たちに語りかけるように「目標へ向かって努力することが一番大切。あきらめない、そして謙虚であること、恐れないこと」、「何事も具体的に考え、思考を放棄してはいけない」、「常識的な事をしていては常識の範囲を超えられない。私の高校時代は午後3時に練習が始まると終わるのは午前2時というもの。2度と戻りたくないが今があるのはこのおかげ。毎日苦しい練習や仕事があるから、たまの休日がありがたく感じられる。まず自分の責任を果たし、そうしながらプライベートの時間を守ろう」、と話した。

 また、代表監督として「ロンドンオリンピックでは5位入賞、メダル獲得を目指したい」と、次期オリンピックの目標も披露した。

 植田監督は、1964年、香川県出身。大阪商業大学卒業後、新日本製鐡(現・堺ブレイザーズ)に入社し、日本リーグを代表するセンタープレイヤーとして活躍。日本代表としても、バルセロナオリンピックで主将を務めた。現役引退後には、ジュニアチームなどの監督を歴任し、2005年から日本代表の監督に就任。自身が選手として出場したバルセロナ以来、16年ぶりにバレーボール男子日本代表をオリンピック出場に導いた。北京オリンピック最終予選で、チームがオリンピック出場を決め、コートに大の字になって喜ぶ様子が多くの人の印象に残っている。

 講演で、植田監督は、日本代表チームを立て直すときに最初にしたこととして「トップアスリートとして常に清潔であり、スポーツマンとして、ふさわしい生活を心がけ、青少年の憧れる存在であること。就任直後には、朝の挨拶もロクにできないような選手もいたが、あいさつや身だしなみから整えるために、茶髪や喫煙は止めさせた」と、紹介した。

 熱血指導の一面のほかに、綿密な計画や理論的な考証でも知られる植田監督、講演でも計画の立て方や、コミュニケーション術も披露した。

 目標に向かう心構えとして「具体的に自分のできる目標をイメージして、現実的にいつまでにやるか区切ること。これをめざして1年、1カ月、1週間、1日、1時間、1分1秒の過ごし方が決まる。例えるなら、結婚式を1年後に控えた花嫁がきれいになっていくこと。これは結婚式に向けて行動を起こすからだ。日本代表では、まずアジアで一番になること、2008年に北京オリンピックに出場することを目標とした。目標をイメージすると、あと1歩で手が届きそうだが、気を抜いたら離れそうだというのが最高の状態。夢とは目標のさらに先にあるもの」とした。

 チームワークについて「同じ力があっても、気持ちがバラバラでは力が出ない。全員が責任ある当事者であること。これは企業でも同様。人は責任と、折れない心があれば、どんなことでも乗り越えられる。家族でもチームでも企業でも、下から上に判断の材料をバラまける体制が理想的。そのためにはあいさつをはじめとしたコミュニケーションだ」とし、あいさつについて「言語の状況判断。人と話すときには相手の目を見る、タイミング、スピード、目線、あたりまえのことの確認だが、会社や社会、体育館でも必要なこと」と、重要視した。

 人を褒める、叱るといったことについては「良い事、悪い事、両方とも、具体的に何をしたから褒めるのか、何をしたから叱るのか伝えなければならない。褒めるにしても、人格だけを褒めていては、私がいなくなったら何もできない人になる。叱るにしても、例えば月曜日の朝は誰もがピリピリしている。この朝の出かけるときに叱られたら、子どもでもイライラする。叱るときや、上司への頼み事は翌日が休みの夕方がベスト」だと、褒め方や叱り方、タイミングの重要性も説いた。

 若者言葉について「『ビミョー』という言葉は思考を放棄している言葉。具体的にどうなのか説明すべきで、限られた時間のなかで、積極的に言葉を発していくことが大切。オリンピックの選手村で過ごしていると、日本人が一番シャイ。恥ずかしがらず、恐れず、相手に伝えていくべきだとオリンピックから学んだ。伝統的な日本の文化を大切にすることも重要だ」と、お年寄りや日本文化に学ぶことが大切だと説いた。

 バルセロナオリンピック金メダリストの岩崎恭子さんを事例に「彼女は14歳で金メダルを獲得したが、あまりに早すぎた。その後、アトランタオリンピックに出場し、予選敗退するが、家族の絆を確認し、ここまでの道のりで努力するプロセス、過程を経験した。一番大切なのは努力すること」とし、監督として「現場をよく知り、『Players First』でありたい」と締めくくった。
                                               (外山)
三条RC講演会