天候に恵まれた三軌苑「春の宴」
ゆっくりとした時の移ろいの中で過ごす
 快晴に恵まれた19日午前10時から、新潟県三条市西本成寺1、法華宗総本山本成寺で、第20回三軌苑春の宴が執り行われた。

 午前10時から午後3時半まで、三軌苑の苑庭で、表千家流梅田社中、茶釜の間では、同じく表千家流野島社中による茶席が設けられた。

 初夏を思わせるさわやかな風の吹く野点日和とあって、苑庭では、隣の椿園の椿を愛で、紅葉の赤い新芽などに心遊ばせながら喫茶。席主が、紫色のきんとんのお菓子について「はじめはサクラの花を、と考えておりましたが、先週サクラが満開だったので、急きょ、フジの花をあしらってもらいました。鶴遊堂製です」と、開花が早くすでに散り初めているサクラに、フジの花に変えるほどのおもてなしの心の一端をのぞかせた。短冊や茶道具などについて、正客に尋ねられるごとに答えていた。中には新潟市選出の青木太一郎県議の珍しい顔も見えるなど、のどかな茶席だった。

 午前10時から、客殿では、同本山貫首の椿澤日壽猊下の講和で、椿澤猊下は「心ころころ」と題して、はじめから分かりやすい日常の言葉で、愉快に話し始め「社会のため、人のために生きる」「明るく、清らかに生きる」「耐え忍ぶ心を、大切に生きる」「目標を立て、工夫して生きる」「落ち着いた、広い心で生きる」「神仏・祖先を敬い生きる」の6つについて、「人生を変える6つの生き方」を紹介した。

 「一心如雲」「一心如水」の筆で書いた言葉を示しながら、「雲や水は形が定まっていない。変幻自在だ。どんなつらいことがあっても一時のことで、雲のように、水のように流れていってしまう」とした。

 「人間、60歳を過ぎるとお金でも、物でも何でも欲しがる」「私たちは着物を着ているが、あるとき、スッポンポンになりたいと誰しもが思う」、「喧嘩をしないで一生を終える人はいない」、それでも「人間は変なもので、自分より貧しい人、弱い人を見ると同情する。同情しながら一緒に生きていこうとする」など、人のありようを説いた。

 「迷いから悟りに導いてくれるのが六波羅密で、明るく、清らかに、落ち着いた、広い心で生きることが人生を変える。明るさとは灯であり、太陽、清らかさは、仏様に水を上げるが、よこしまな心を流してくれる。落ち着いた心とは、人は日ごろわさわさして生きているが、実は、大地の上に、台を作り、畳を敷いて座っている。大地なのだ。大地の恵みとして花やご飯を仏様に上げる。広い心とは空気、線香の煙が流れていく。大乗仏教の極意は、人を迷いから悟りに導いてくれること。小乗仏教は、自ら家を出て自分で修行する」とした。「仏教の言葉を使わなくても、宗教色を抜いて話した」というほどに、平素の暮らしの中に、仏陀や諸仏の教えがあることを諭した。

 正午と午後2時からは、寂光殿で、本成寺に伝わる精進料理で宴会。午後からは、三条八幡宮の藤崎重康宮司による笛の調べなどが披露され、ゆっくりとした1日の時の移ろいのなかで過ごした。   
                                                (社主)