燕・三条産品を売り込みたい
まだまだ期待大の中国市場、10億円規模へ パール金属(株)高波久雄社長
 新潟県三条市五明、パール金属(株)(高波久雄社長)は、これまで築いてきた中国国内での販売網を背景に、同国へ日本国内で製造した商品の売り込みを加速させる。世界同時不況は中国へも影響をもたらしたが、高波社長は「影響がないわけではないが中国の地力はそんなものではない。現在、弊社で年商5億円を売っているが、これが10億円となるのもそう遠くない」と見ている。

 中国内の160店のデパートに直営店を持つ販売網が、中国へ進出を考える日本企業からも注目されており、「弊社の販売網を生かして、燕・三条ブランド、地場産品を中国へ打って行くのが目標」と高波社長。中国からの輸入については「無くすことはないが、これ以上増やさない方針」とし、中国からの輸出、中国への輸入のバランスを取りたい考え。

中国人研修生が進出のきっかけ

 同社が中国で販売網を築いてきた背景には、18年前から受け入れを続けている中国人研修生の存在が大きい。

 高波社長は「あるとき、中国に戻った研修生の1人が『パールの商品を中国で売りたい』と持ちかけてきたことが、中国で販売を開始するきっかけだった。当初は想像もしていなかった」と、振り返る。こうして輸出した中国での商品の売れ行きが好調だったことから輸出販売に本腰を入れた。

 はじめは現地のスーパーなどが多かったが、デパートが同社に売り場を提供するという話から、パール金属の商品を販売する直営店を出店。これが好評で、他のデパートからも出店依頼がかかるなど波及効果をもたらした。

 現在は中国国内に約160店のデパートに直営店があり、ここで陣頭指揮を執るのは同社で教育を受けた研修生たち。「1度、信頼関係を結べば決して中国企業、中国人は悪くはない。こちらから誠意を示すことで必ず応えてくれる。情報網の発達など弊社にとって中国は隣近所のようなものだ」。

販売価格は日本の5倍

中国国内のデパートで出店している「PEAR LIFE」 昨秋からの世界大不況、中国国内では対欧米への輸出企業、特に海岸線の企業が不況に陥った。高波社長は「企業の倒産などで人は海岸部から内陸部に帰っていっている。この人材を使って内陸部に大型投資しインフラ開発をしようとしている。内陸部といっても西安などの大都市があり、ここにも日本から見れば桁違いの金持ちが存在する。中国の地力はまだまだ十分で、ヨーロッパにも行ったが、私から見れば現在世界中で中国ほどいい所はない。ウルムチなどロシアとの国境付近は中国、ロシア両方の富裕層がいる」。

 輸送や人件費などの原価を考慮すると販売価格は日本の5倍となっているが、売行きは好調。「日本では売れないような高級品もよく売れる」と高波社長。

販売網、デリバリー力、軌道に乗った中国戦略

 デパート戦略に続いて同社では、中国でスーパー戦略にも傾注する。すでにカルフール、ウォールマートなど中国国内のスーパー30店に進出している。

 イオンがこの3年間で100店を出店すると発表したことにも注目しており「日本市場がオーバーストア状態で頭打ち。イオンを中心に攻めていく。これができるのは、すでに直営160店を持つ配送力と在庫が中国にあるからだ。陳列、デリバリーのマニュアル、組織がすでに出来上がっていてパール金属は、中国のどこでもすぐに出店できる」と高波社長。デパート同様、直営店出店による同業他社への波及効果にも期待している。

 燕・三条地域でも中国進出を狙う企業が多いが、資回収面など中国独特の風習が日本企業にとって高いハードル。そこで同社の販売網に乗って中国で商品を売る地場企業もある。

 57兆円規模の内需拡大政策、GDP8%堅持、2010年の上海万博開催と中国は未だ市場規模の拡大を続ける。同社の中国での年商は約5億円「これが10億円になるもの間近だ」と高波社長は見ている。

パールの輸入品の実態

上海の検品センターには他社の依頼も 現在、中国から年間120億円の商品を輸入するという同社、地域内でも輸入品取扱いのイメージは強いが、高波社長は「今後、中国からの輸入は増やさない方針」だと言う。

 世界で日本製品が認知される以前から海外見本市へ出展するなど積極的に海外へ打って出た同社。昭和60年のプラザ合意で円高が強まると、海外見本市で築いた横の連携を利用して、世界各国から商品を仕入れてグローバルに展開するようになった。

 高波社長は「見本市を通じて世界中のどこで何を作っているのか把握できていた。ただ当初は地場で作る商品を海外から仕入れることはなかった」と、地元の協力企業などに配慮していたことを強調する。

 中国製品へ傾注するのも自然な流れだったが、ここでも「中国へ行ったのは地場で1番だったが、地場で作る商品は仕入れないという方針は崩さなかった。しかし、同業他社が次々に地場産品と同じ商品を仕入れて展開し始めると、これに対応せざるを得なくなった」と話す。

 近年になって、中国製品への不安が高まったことにも即対応して、上海に3000坪の検品センターを設置。ここでは200人が働き、元研修生が監督にあたっている。

 「『メード・イン・パール』パール金属の考え方で作れば、どこで作ってもパール規格であることには変わらない」とし、中国国内150の協力会社を厳選し、中国のメーカー政策、協力体制を構築した。上海の検品センターには日本へ中国製品を輸入する日本企業からも検品依頼があり、同社で扱う商品以外の検品需要も増加している。

 輸出が主の製造業が円高によって苦しむなかで、輸入品を数多く取り扱うことについて高波社長は「円高差益というが、弊社には100億円の在庫がある。急激な円高はここ数カ月のことで、在庫は今より円安時代のもの。むしろ弊社は円安の方が在庫の価値が高まり差益が出る。円安時代に高く仕入れた品物を円高だからといって高く売ることはできない」と、説明した。

 輸入を増やさないことについては「増やすとなると際限なく増えることは目に見えており、年間120億円、月10億円の現金に加えて、人材、倉庫が必要になる。中国製品をゼロにはできないが、それよりも燕・三条の商品の開発を進めて、日本でできることを考えたい」とした。

メード・イン・燕三条を中国へ

 中国で同社が広げてきた販売網を利用して燕・三条の商品を販売することを加速させる。「中国でも商品のマンネリ化は避けられない。メード・イン燕・三条の商品を開発し、中国へ売り込んでいくのが私の今の目標。輸出、輸入とも両立させる」方針。

国内市場は肉付けの時期

 昨年度、今年度と営業マン30人を新採用し「営業力の強化」を重要課題とする。高波社長は「国内ではホームセンター、スーパー、コンビニ、テレビショッピング、通販とあらゆるルートにパール金属の商品が入り込み、市場を開拓することができた。今後はこれら取引先の内容をさらに濃くする肉付けの時期。国内は営業力を強化して既存の売り場を充実させ、社内ではさらに新製品開発を進める。会社の基礎ができてきたなかで220人の営業マンの営業力で勝負。あとは攻めていくだけだ」と、営業力と新商品開発を国内の2大課題とした。

 パール金属は前年比110%に売り上げを伸ばしている。グループ全体の連結では約450億円、パール金属(株)単体では約330億円。   
                                                 (外山)