本物にこだわり、打って出るビジネスモデル作る
(株)東栄自動車 鈴木英徳新社長
 まず、社名変更の理由について、社長交替と同時に社名を変更することで、心機一転、新しいスタートを切るという強い思いを込めたと鈴木社長。同社は、50年にわたって車の整備や板金塗装などを続けてきた伝統ある会社。昨年、中古車販売やカフェ、美容室、アロマテラピー、エステ、雑貨販売と車の販売、買い取り、メンテナンスの複合アミューズメントスペース「ミュゼ」など新規事業を始め、話題を呼んでいる。

 歴史ある会社を受け継いだ今後の抱負について、鈴木社長はこう語る。「歴史に裏打ちされて信頼をいただいてきました。今後は、三条市と言わず、県央地域、県央地域からもっと大きいフィールドで広くご利用いただけるような会社にしたい」。車屋というイメージが強い同社だが、車に興味がある人はもちろん、そうでない人にも、もっと身近な存在として相談しやすい会社にしたいと考えている。

 鈴木新社長には、もう1つ、大きなテーマがある。「飾る必要のない確かな品質の『本物』を提供する」ことだ。例えば、小売部門では、販売・買い取りから整備、購入後のアフターサービスまで、責任を持って行う。車は人の命を預かる物である以上、単純に安ければいい訳ではないというのが同社のポリシー。長年、整備の現場で車を見て来たスタッフの確かな技術や、大手中古車販売会社で買い取りの現場から執行役員まで務めた鈴木社長の経験を生かし、売る方も買う方も安心できる本当にいい車をそろえていく。

 ほかにも、昨年立ち上げた物流の事業部では、荷主と運送業者をつなぐコーディネートを主に手掛ける。荷主には信頼できる業者の紹介、運送業者には車の整備や仕事の提案をしていく。荷主の業者探しや運送業者の仕事探しの手間を省き、車のメンテナンスを同社が行うことで物流がスムーズ、かつ安全な車で行われるのは大きな魅力。

ミュゼのカフェスペースの前で本宮さんと 一見、畑違いに思えるミュゼも「本物を提供する」というコンセプトに基づいている。カフェのフードやドリンクはオーガニック食材と、米粉、健康面でも注目されるオリーブオイルやハーブなどで作られている。食器は燕三条、家具はヨーロッパから取り寄せ、地産地消を取り入れつつ、良質なものを使う。アロマテラピーは有機栽培の原材料から精製し、ワイン同様に厳しく品質管理された精油を、本格的に修練を積んだセラピストがブレンドして施術する。販売する雑貨はロンドンから取り寄せた。鈴木社長と、共同でミュゼを運営する美容室i‐Dの駒井將顕代表、ビューティカウンセラーの本宮かおりさんの3人でアイデアを出し合い、スタッフが品質を確かめたものだけを扱っている。

 本物志向といっても、ミュゼが目指すのは「子ども連れから、若者、年配の人まで誰でも気軽に過ごせる空間」。訪れた人がくつろいで過ごせるよう店内のデザインや香りなど細部に至るまで配慮した。

 また、3月から、毎月第3水曜日にハンドクリームなど家でも簡単にアロマテラピーを楽しめる教室も始めた。この時だけの特製ランチも味わえ、アロマとオーガニックフードで和気あいあいとくつろぎのひとときを過ごせる。

 オープンから約4カ月。カフェや雑貨購入だけの利用者も多く、県央地域の人に親しまれている。ランチやティータイムのついでに洗車などカーメンテナンスを受ける人も増えている。

鈴木社長も、当初イメージしていたものに近い空間づくりができているという実感があり、手応えは十分。

 本宮さんも「鈴木社長も私たちスタッフもみんな個性が違う。それぞれの良いところを出して、さらなる安心、安全、おいしさ、本物の良さ、きれいを追及していきたい」と新体制についてコメント。今後は、鈴木社長と手を取り合って、ここから時代のトレンドが生まれるような空間作りを目指す。

 最後に、今後の戦略について鈴木社長は「ミュゼは会社のブランディングの一環。車のこと以外でも足を運んでもらい、洗車でも、整備でも、板金でも利用していただいて、東栄自動車を知ってもらえれば」と語る。これまで支えてくれてきた顧客に加えて、同社を知らなかった人の認知度を高めて、利用してくれる人を増やしていくのが狙い。「今まであったもので耐えしのぐのではなく、こちらから打って出るビジネスモデルを作りたい。ふるさとを盛り上げ、話題になるような会社づくりをしたい」と意欲を見せた。
                                               (皆川)
 2010年03月31日本紙掲載