
三条昭栄開発(株)(代表取締役・國定勇人三条市長)が、パルム1跡地の所有権移転登記手続きを地権者に求めている「共有持ち分移転登記手続請求事件」の第6回口頭弁論が、13日午後4時30分から新潟地方裁判所三条支部で開かれた。
訴えられた地権者(被告)の鈴木金士郎さん側が求める跡地の売却先と売買金額・2億8000万円の決定までの詳細な経過や、その他裏付けとなる資料などは、依然、地権者側が納得する内容まで示されず、裁判に至って示された覚書など、これまで示した資料以上に説明する必要なしとする三条昭栄開発側(原告)とは平行線。口頭弁論は、地権者側の準備書面に対し、三条昭栄開発側が釈明を検討するというこれまで同様のまとめで15分かからず終了した。次回は3月2日午後4時30分からの予定。
口頭弁論後、地権者側代理人の中村周而弁護士、齋藤裕弁護士が会見して裁判の経過を説明した。
地権者代理人の中村弁護士は「原告側がこれ以上の釈明が出ないということになれば、お互いの主張を立証していくことになる。三条市や第四銀行の関係者に証人尋問していくことにもなる」と、裁判は次回以降、新たなステージに突入する可能性があるとした。
また、齋藤弁護士は「昭栄開発の監査の時、鈴木さんが公認会計士を連れて行き、資料を求めたが、昭栄開発側は一部の書類しか示さなかった。昭栄開発側は今回の口頭弁論に当たって提出した準備書面で、『この公認会計士が会社の正式な機関でない』と、資料の示せない理由を上げているが、もしそうだとしたら、なぜ一部の書類は示したのか。都合のいい書類だけを出し、都合の悪い書類は第三者だから示せないというのは虫のいい話」と指摘。
さらに裁判に至って「覚書」が提出されたことに「担当職員が『契約書類は無い』と説明したことを事実上認めながら、それは訴訟の争点ではなく構わないという言い方。職員が監査役にうそをついたということになり、普通の会社であれば懲戒処分になってもおかしくない。逆に言えば、懲戒処分になっていないということは、職員はうそをついていない(書類はなかった)のでないか。そうなってくると提出された覚書や、2億8000万円という数字そのものも怪しくなる。やはり2億8000万円という数字の裏付けがなければ、地権者のもらうべき額も見いだせない」と、売買契約書の有無についての発言を重要視した。
地権者の鈴木さんは、13日付けで移転登記手続きに応じない理由などを記した陳述書を提出しており「形式的に私と三条昭栄開発は土地売買の売主と買主の立場にあるが、実質的には私を含む地権者が土地の売却を依頼した立場で、三条昭栄開発は受託者。土地売却の依頼者が受託者に対して、どのような内訳で売買代金が決まったかについて、詳細な説明を求め、関係資料を求めるのは当然の権利。原告の言い分が裁判で許されるならば、他人に土地売却を依頼することすらできなくなる」と主張している。
さらに地権者側は、昭栄開発側が「被告側が説明に納得したら全部解決などということで通用するほど甘い話ではなく、被告において多大な損害賠償義務が刻一刻と発生していることを、被告自身がその重大性を冷静に判断すべき」と主張していることを「どう喝」とし、この訴訟を、意見が異なり行動する人たちを経済的、政治的な権力者が威圧する「スラップ訴訟」と位置付けている。
スラップ訴訟とは、経済的に優位にある立場の者が、経済的に弱い立場の者に多額の損害賠償を求めて訴えを起こす訴訟のこと。言論の自由を奪うことにもなり、欧米を中心に問題化されており、スラップを禁じる法律を制定する自治体もある。日本では、武富士が被害者である借り手側を逆に訴えたケースなどがあげられる。
被告側関係者は「自治体が関与している会社がスラップ訴訟を起こすと言って住民をどう喝するなどというのは前代未聞」、「原告に根深い全体主義的発想があり、それが強引な売買手続きに至り、本件紛争を引き起こしている」と強く非難している。
(外山)
