現場の声取り入れ、デザイン、名前にもこだわり
初の医療用爪ヤスリ 柄沢ヤスリ「初爪」
 
 
 
 新潟県燕市燕、(有)柄沢ヤスリ(柄沢良子社長)は、このほど新製品の初爪(はつめ)を完成させ、11月19日に新潟市内で開かれた「福祉・介護・健康フェア2017」で発表した。

 同製品は、爪ヤスリとしてはじめてとなる医療従事者、患者向けのヤスリ。四肢のマヒなどで、腕の不自由な人でも使えるように、四角形のシリコン製の台座を使って、ヤスリを固定し、片手を動かすだけで爪を研げるように工夫した。台座の上に乗るヤスリも、創業78年、特に近年は爪ヤスリで高い評価を得ている同社のノウハウを投入し、独特の凹状の曲面を描いた板ヤスリを採用。細かい目に加えて、あらゆる方向に動かしても削れるようにした。

 開発のきっかけは、柄沢社長が、高校の教員だったころの教え子である島根大学の医師からのアドバイス。医師として理学療法士とのつながりもあり、現場を知る立場から、さまざまなアドバイスを同社に届け、これまでにない製品が完成した。

 柄沢社長は、「今までも、医療の現場で私たちの製品は使われていたのですが、たとえば片手がまひした方の場合、まひした方の手はいくらでも爪を削れるんですが、まひした手ではヤスリを使えませんでした。私たちも、そこまで思いが至らなかった。そこで、何とか両方の手で使えるようにしましょう、と思いました」と話す。

 製品は、燕市の補助金を活用し、東京のデザイナーと同社、それに島根の医療現場を往復しながら試行錯誤を続け、その間に、3Dプリンターで3度の試作を行い、足かけ3年を要した。その中で、現場の意見として、まひした手を固定するために台座に指の置き場を設けることなど、さまざまな意見を取り入れつつ、形状やサイズに工夫を凝らした。

 ヤスリ部分については、これまでのノウハウを活用。「このカーブは燕の技術でなければ作れなかったと思います。ただプレスするだけなら簡単ですが、ヤスリの目を残しながら、となると他では難しいのでは」と柄沢社長は話す。

 また、カラーバリエーションにもこだわりがあり、デザイナーの強い意向による、落ち着いた色合いの「シック」の4色に加え、「病院では、絶対にビビッドな色の方がいいと思う。元気が出ると思うんです」という柄沢社長の意向で、鮮やかな色合いの「ビビッド」シリーズの3色を用意した。

 独特のネーミングは、「新年が明けて7日目に、1年最初の爪切りを行うと福が来る」という言い伝えや、「リハビリに取り組む患者に、快適な爪ケアの原初体験を」という思いに加え、新潟の方言で「器用」を表す「はつめ」など、さまざまな意味を込めた。

 今後は、来年1月4日(木)には新潟伊勢丹で披露。また、1月20日(土)には東京日本橋のブリッジにいがたで首都圏デビューを予定している。

 柄沢社長は、「今回は、個人用です。今後は病院で使ってもらうためにも、医療器具としての認可を受けたいと思います。病院で使うために、医療現場の声から生まれたわけですから」とし、4月に認可を取得し、新年度以降に、医療機関などへの販売開始を目指す。

 価格は税別8500円。

 問い合わせは同社(TEL0256・63・4766/FAX0256・64・3947)へ。 
                                              (細山)

 2017年12月05日本紙掲載