ドイツ市場へ、(株)「坂源、(株)エビス
サトミ・スズキさん商品開発事例発表
 ドイツ在住のアドバイザー、サトミ・スズキさんを迎えて、新潟県の三条市、燕市の企業が取り組んできた商品開発ワークショップの事例発表が3月2日、燕三条地場産業振興センターで開かれ、生花ハサミをヨーロッパ向けに刷新した商品や、ファッションに敏感な女性向けの携帯ルーペの開発事例が紹介された。いずれもドイツなどヨーロッパで発売する予定。

 スズキさんは、ドイツ・ミュンヘンで、デザインに優れた日本製品を販売する「SHU SHU Comtemporary Japanese Design」を経営。日本国内では東京都港区の(株)SATOMI SUZUKI TOKYOを拠点に、製作過程からものづくりに参画するなどして、日本製品をヨーロッパに紹介し続けている。

 燕三条地場産業振興センターでは3年前からスズキさんをアドバイザーに迎えて、域内企業のヨーロッパ向け商品開発を推し進めてきた。今年度は、三条市金子新田丙、(株)坂源(坂井信行社長)、燕市佐渡山、(株)エビス(丸山清社長)の2社で、スズキさんは3年間で合計6社と商品開発を行った。

 坂源は、華道家やフローリスト、フラワーデザイナーなどプロユーザーに人気の商品「ハンドクリエーション」を、ドイツ市場に向けて、刃や柄、パッケージのデザインを見直した。

 白い柄に、グレーに近い落ち着いたシルバーの刃を採用。生花用、ハーブ用の2種類を開発し、平積み型から縦置き型にパッケージも刷新した。

 スズキさんによると、ドイツのスーパーマーケットには必ずといっていいほど花屋があり、花を飾る文化が定着している。「野菜やなどと同じ感覚で、花やハーブを買う。鉢植えのハーブを切るもの、生花用の2種類の提案で、感度の高い方に使っていただく。日本で愛されて使われているものを、色を変え、使い方の提案をしてどこまで戦えるかが挑戦」という構想。

 ドイツのスーパーチェーンの高価格帯店舗や、世界中のロングライフデザインを集めた小売店、プロユーザーに向けて花屋チェーンなどに提案する予定。「創業113年の企業が作るメードインジャパンとしてはお値打ちの価格に仕上がった」とする。

 坂井社長は「新しい金型を起こすこともなく、色、パッケージの変更で新しい商品を作ることができた。販売まで面倒を見てもらえるのは非常に心強かった」と、スズキさんのアドバイスを評価していた。

 エビスは、水平器・水準器、拡大鏡などのメーカー。「レストランのメニュー、ワインリストを見る時など老眼鏡の代わりになり、ファッションアイテムにもなるようなおしゃれなものを」というスズキさんのアイデアで、円形のルーペとステンレスミラーが一体になった、まったくの新商品「Essence(エッセンス)」を開発した。

 ターゲットは「40代から50代、キラキラ好きの女性」で、シャンパンカラーの合皮と組み合わせて取り出して使うことが楽しくなるようなデザイン、「周りから『これは何?』と言われることが大事」といい、化粧品会社などへのOEM供給も検討する。

 丸山社長は「まったく新しい分野の商品を作ることができた。スズキさんとの開発はワクワクするような毎日だった」と振り返っていた。

 スズキさんをアドバイザーに迎えた事業は今年度で一旦終える。「値付け、ヨーロッパのライフスタイルの紹介や問題解決も含めて、こういった仕事ができたことに感謝している。ただ作ったというだけでなく、『売れている』と言われるよう、ドイツに持ち帰って販売していきたい」とスズキさん。同事業で開発した滑p利製作所の「Shin(シン)」も、カナダやオーストラリアから受注があるなど本格的な販売を予定するという。 
                                            (外山)

 2017年3月06日本紙掲載