使い捨てから愛着へ 限られた条件、技術継承デザインに
若monoアイデアコンペ、ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール表彰式
大賞の廣田さん 金属洋食器や金属ハウスウェアなどの優れたデザインを審査するジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール2017と、39歳以下の若手クリエイターから募った金属製品アイデアを審査する若monoアイデアコンペティション燕2017の表彰式が、3月24日、新潟県の燕三条地場産センター・リサーチコアで開かれ、若monoアイデアコンペティションでは大賞に東京都の学生、廣田征雅さんのステンレス製万年カレンダー「Calen―bar」が選ばれた。

 Calen―barは、八角形の端部をもったステンレス製のバーに月や日付を刻み、カラーリングを移動させるなどして日付を示す卓上カレンダー。「『使い捨て』から『愛着』へ」と謳い、毎日、日付を動かすことで愛着が増していくというアイデア。

 大賞受賞の廣田さんは、武蔵野美術大学4年生で、幼稚園から小学校6年生まで柏崎市で暮らした経験もあり、燕市や新潟市への思いもある。

 表彰式で廣田さんは「デザイナーとしての将来に自信を感じるとともに、世界的に評価されている金属加工産業の皆様とつながることができたのは願ってもないこと。皆様の技術と対等に渡り合えるデザイナーになりたい」と述べた。デザイナーとして就職を決めているが、独立も視野に入れている。

 両コンペの審査委員長を務めた豊口協長岡造形大学名誉教授は、若monoアイデアコンペティションについて「技術的には難しいかもしれないけれど、燕の産地で作ることができますかという挑戦状のようなマインドがあった。試されていると言うと大げさかもしれないが、実際のモノに生かしていくことが次の製品にとってプラスになるのでないか。日本中の39歳以下の若者のメッセージに、産業界は応えていかなければならない」と講評した。

 IDEA準大賞は、神奈川県のデザイナー、三宅諒さん(グループ・yonanp)の「蓋の落ちない、シンプルな急須」、同じく東京都のデザイナー、岸玄昌さんの「野菜のすずり(おろし金)」、東京都の会社員、杉繁征さんの「個性のある銅器(タンブラー、ぐい呑み)」が選ばれた。急須の取っ手にまで伸びた蓋によって、蓋を抑えずに注げるアイデアや、あえて無造作に叩き上げることで、しっくりくる持ち方、飲み方をさがす楽しみなどを提案するもの。

 ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールが今回で40回目の節目を迎えたこともあり、同コンペと同時に、学生や若手クリエイター視点の製品アイデアを集め商品化を目指すコンペとして、若monoアイデアコンペティションが今年初めて開催され、インダストリアルデザインコンクールには31社、55点と応募社、作品展数とも前年を上回り、若monoアイデアコンペティションには76人・グループ、91点の応募があった。

 ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールでは、グランプリの経済産業大臣賞に(株)トーダイの金属洋食器「ソフィーシリーズ」、準グランプリに(株)富田刃物の「HORI HORI KNIFE(レジャーナイフ)」、同じく準グランプリに(株)新越ワークスの「油切れの良いカス揚げ」、優秀賞には(株)ヨシカワのバターナイフ「EAトCO Nulu(イイトコヌル)」、戸塚金属工業(株)の「ドコデモ☆クックオープン」、審査員特別賞に(株)アサヒのビアカップ「漆磨 箔銅華(シーマ ハクドウカ)」、下村企販(株)の「TUBAME水切りバスケット」が選ばれた。

 グランプリに選ばれたトーダイの森山正次社長は「ブライダルやカジュアルレストランで、円卓に7人から8人、そこに10本くらいのナイフやフォーク、スプーンが並ぶ限られたスペースで、細身という条件があった。表を平に、裏を丸く、細身でもバランス良く、持ちやすくデザインしたため、型も1回ではなく、2回、3回と調整する必要がある。型を調整できる技術を継承しながら、まだまだ精進したい」と、デザインや受賞について話していた。                                         (外山)

 2017年3月25日本紙掲載